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資料 「国際熱核融合実験炉のための工学設計活動における 平成4年7月17日
原子力局
1. 経緯 核融合は、人類の究極のエネルギー源として期待されており、1985年の米ソ首脳会談に端を発した国際熱核融合実験炉(ITER)プロジェクトは、日本、米国、EC、ロシアの4極が協力して人類のエネルギー問題の解決に貢献しようとする画期的なプロジェクトである。1988年から1990年にわたって、実施された概念設計活動(CDA)の成果を受けて、引き続き、工学設計活動(EDA)に係る交渉が日、米、EC、ロシアの4極間で行われていきたところ、昨年11月にモスクワで開催された4極協議最終会合において、ITER/EDAに係る協定等の仮署名が行われ、主要人事について実質合意がなされている。
その後、各極とも、本協定等の正式署名のための国内手続きを鋭意進めてきた結果、近々本協定等の正式署名が行われる見込みであり、本協定の署名・発効により、実験炉の開発のための詳細設計と技術データの蓄積を目指した工学設計活動が開始されることとなる。
我が国は、本活動に主体的に取り組んでいくこととしており、特に、日本原子力研究所に設置される共同中央チームには、諸外国から多数の研究者を受け入れるとともに、最高意志決定機関である理事会の共同議長は、我が国から就任することとなっている。このように、本活動に積極的に取り組んでいくことにより、我が国の国際的責務を果たしていくこととなる。
2. 工学設計活動の概要
3. 協定等の署名の時期及び署名者 ・7月21日(火)、閣議を経て、米国ワシントンにおいて本協定等への署名が行われる予定。
・署名者は、我が国は平林在米日本大使館特命全権公使。米国は、ワトキンスDOE長官。ECは、ヴァンアト駐米代表。ロシアは、ミハイロフ原子力大臣の予定。
4. 今後のスケジュール 7月下旬以降、第1回ITER理事会が開催され、工学設計活動が開始される予定。
5. 協定等の案の概要 (1) 締約者:欧州原子力共同体、日本国政府、ロシア連邦政府及びアメリカ合衆国政府。
(2) 協定等の内容:ITER/EDAを実施するための組織、権利義務等を規定。
① 協定本文及び附属書:EDA全体に係る項目を規定。
② 議定書:具体的な活動を規定。
議定書1においては、EDAの初期(当初の20カ月以内)の活動の詳細を規定。
議定書2(協定署名後10カ月以内に草案作成)においては、議定書1に続く本格的な活動の詳細を規定。
③ 目的:EDAの共同実施。ITERの総合的な計画目標は、平和目的のための核融合エネルギーの科学的・技術的実現可能性の実証。
④ 範囲:ITERの工学設計、建設、運転、利用、解体等の計画等。
⑤ 組織:
(イ) 理事会:EDAの全般的指導・監督。
(ロ) 所長:共同中央チームの組織、指導・監督。国内チームへの作業割当案の作成等。
(ハ) 共同中央チーム:設計活動を実施。構成員は、各極ほぼ同数を提供。設計場所は、サンディエゴ、那珂及びガルヒンク。
(ニ) 国内チーム:工学R&D等の実施のため4極に設置される組織。作業の割当は、各極ほぼ均等。
(ホ) 運営諮問委員会:運営・管理的事項について、理事会に報告、助言。
(ヘ) 技術諮問委員会:理事会の要請に応じ、技術的事項について助言。
(ト) 特別作業部会:議定書又は理事会の議決により、所長の責任以外の特定の作業を実施。
⑥ 権利:EDAの結果得られる情報及び知的所有権については、各極は、無償で使用できる(知的所有権については、研究開発の場合)。知的所有権は、当該事項の創出された極及び当該事項を創出した者を派遣した極に、それぞれ帰属する。第三国における取扱いについては、国内チームで発生した場合は、当該極に帰属し、共同中央チームで発生した場合は、理事会で決定される。
⑦ 義務:法律の範囲内でのEDA及び損害賠償の実施。
⑧ 期間:署名の日から6年間(文書による変更可)。
なお、協定の正文は、英文である。
国際熱核融合実験炉工学設計活動理事会理事予定者
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