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スウェーデンの地下研究計画への参加について

平成3年5月15日
動力炉・核燃料開発事業団


 動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は、スウェーデンSKB(核燃料廃棄物管理会社)のHRL地下研究計画(Hard Rock Laboratory)に参加することとし、5月14日共同研究協定に調印した。
 同計画の主要目的は、地表から地下500m程度までの地質、地下水理、地下水の地球化学的特性等を予測し、これを坑道掘削過程で検証することを通して詳細な調査手法を確立することである。当面の共同研究期間は坑道掘削段階である1991年から1994年までの4年間の予定である。
 動燃は地層科学研究の一環としてこの計画に参加することにより、地下水理や地下水の地球化学的特性等に関する知見と地質環境を評価する手法を得ることができる。これは、今後動燃の地層科学研究に適用することが可能である。
 SKBでは、このHRL計画に対して、広く外国の研究機関の参加を呼び掛けており、幾つかの機関が参加を検討している。

 SKBの概要

SKB(Svensk Karnbrans Iehantering AB: スウェーデン核燃料廃棄物管理会社)

  • スウェーデンの原子力活動に関する法律(原子力活動法)は、原子炉所有者に対して、使用済燃料および放射性廃棄物の最終処分の責任を課している。この責任を果たすため、原子炉の所有者である4電力会社が株主となって、1984年にSKBを設立した。
  • SKBは一貫した研究開発計画に基づいて、これまでに廃棄物輸送システム、中間貯蔵施設、中低レベル廃棄物処分場等を開発実用化してきている。
  • また、地層処分研究開発の分野においても、OECD/NEA国際ストリーパ計画の実施担当機関として10年を越える実績を有しており、その研究開発能力と国際プロジェクト管理能力は高く評価されている。

 HRL(Hard Rock Lavoratory)計画の概要

(1) 地下研究施設
 1)位置:スウェーデン南東部のオスカーシャム(Oskarshamn)地区のエスパ(Aspo)島の地下地質は花崗岩類よりなる。
 2)規模:地表から地下500mに至る全長3kmのアクセス坑道とこれから派生する8本の側方坑道(坑道総延長3.6km)よりなる。

(2) 研究計画の構成
 1)事前調査段階(1986−1990)
 目的:a)地質環境初期条件の予測

b)施設建設の影響予測

 2)地下施設の建設を伴う試験研究段階(1990−1994)
 目的:a)坑道の開削が地質環境に与える影響の解析評価

b)地質環境初期条件の予測手法の検証及び改良

c)改良された手法による地質環境の詳細な予測

d)各種地球科学データの取得

e)水理/物質移行モデルの高度化

<1990年10月にSKBは施設建設に着手>

 3)地下施設を利用した試験研究段階(1994−)
 目的:a)処分場規模における水理/物質移行モデルの確証

b)ニアフィールドにおける核種移行現象の把握

c)処分場建設技術の開発及びモックアップ試験

(3) HRL計画への参加を検討中の機関
 動力炉・核燃料開発事業団、電力中央研究所
 米国エネルギー省(US DOE)、カナダ原子力公社(AECL)
 スイス放射性廃棄物貯蔵全国組合(NAGRA)、フィンランド産業電力会社(TVO)

図:HRL建設位置(ÄSPÖ島)
図:HRL建設位置(ÄSPÖ島)

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