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関係機関

第34回IAEA総会について

科学技術庁

1.日時:平成2年9月17日(月)~9月21日(金)

2.場所:ウイーンIAEA本部(オーストリアセンター)

3.参加国:加盟国113ヶ国のうち87ヶ図から約550名が参加
 我が国からは、

大島 友治 科学技術庁長官(原子力委員会委員長)
中江 要介 原子力委員会委員
遠藤 哲也 在ウイーン国際機関日本政府代表部特命全権大使
石塚  貢 科学技術庁科学審議官
太田  博 外務省大臣官房審議官
向 準一郎 通商産業省資源エネルギー庁長官官房審議官

 らが出席
4.主要議題審議結果概要

(1)全般的概要
①今次総会は、原子力安全問題等IAEAの直面する重要課題について原子力分野での国際協力推進の中心的専門機関としての立場から地道な掘り下げた議論が行われ、総じて有意義な総会であった。

②今次総会の議長には、ソ連・東欧グループよりVajdaハンガリー科学アカデミー会員、ハンガリー原子力委員会委員長代理が選出された。

③我が国政府を代表して大島大臣が演説を行い、原子力の必要性とともに、原子力平和利用の前提である国際的な核不拡散体制の維持・強化の重要性を訴えるとともに、IAEAの活動を重視し今後とも可能な限りの協力を継続して行くとの姿勢を内外にアピールした。(総会第1日目、ブラジルに引き続き2番目に代表演説を行った)


(2)個別事項
①原子力安全問題 
イ)最近東欧地域をはじめとして世界的規模で原子力の安全性確保の重要性が再認識されてきていることから、安全問題について活発な議論が行われた。その結果、来年の9月の総会直前に開催予定の「原子力安全に関する国際会議」の重要性が確認された。

ロ)具体的成果として、チェルノブイル国際研究センターに関するIAEAとソ連との協定が締結され、チェルノブイル事故後の影響等について今後組織的な研究を推進する基盤ができた。
②財源問題(保障措置、技術協力)
イ)ゼロ成長予算の下で保障措置、技術協力等の事業を効率的に実施するための財源負担につき先進国、開発途上国等の間で審議がなされた。
(1991年度予算:約1億7千9百万ドル/約268億円)
③政治問題
イ)IAEA総会の場では、例年イスラエル、南アの核脅威に対する非難決議が採択されてきているが、今次総会では両国をめぐる情勢に否定的な変化がなかったこともあり、IAEAの場での資格停止問題については議論されなかった。なお、我が国を含む西側諸国は、IAEAは技術的性格、普遍性を維持することが重要であるとの理由により双方の決議に反対した。

ロ)イラク問題については、現在IAEAからのイラクに対する技術協力はイラクをめぐる現在の状況にかんがみ停止しており、IAEAとしても国連総会決議をうけて今後ともイラクに対する技術協力を行わないとの方針をとってきていたこともあり、右決議案は提出されなかった。従って今次総会では、IAEAのイラクに対する技術協力問題、及びイラク、クウェート両国の代表権問題について一般討論の場で主にイラク、クウェート両国間で双方の基本的立場について発言があったものの、大きな問題とはならなかった。

ハ)北朝鮮の保障措置協定締結問題については、韓国他一部の国の代表演説の中で名指しで北朝鮮に対して早期締結を訴える発言がみられた他は特段の動きはなかった。
 ④その他
イ)今次総会では、開発途上国から技術協力活動予算の拡大、理事会構成国及び事務局職員採用につき開発途上国の占める割合を増やすべしとの強い主張がなされ、米ソ等の現状維持派に対する強い下満が表明された。
*なお、大島大臣は原子力分野での世界各国の有力者が集まるIAEA総会出席の機会を利用して、米、ソ、仏等の各国代表及びIAEAブリックス事務局長と会談を行い、右関係国及びIAEA事務局との相互理解の促進、関係強化をはかった。


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