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電気事業審議会需給部会中間報告

1990年6月
電気事業審議会
需給部会


長期電力需給見通しのポイント

1.電力需要

(1)総需要電力量:民生部門における家電機器の省電力化、住宅・ビルなどの断熱化、OA機器の省電力化等、及び産業部門における電力使用の合理化等に不断の努力を傾注することを前提に、1988〜2000年度まで年率2.7%程度(対GNP弾性値約0.7)、2000〜2010年度まで年率1.5%程度(対GNP弾性値約0.5)の伸びを見込んだ。

(2)自家発自家消費:電力寡消費型産業構造への移行に伴う産業部門での伸びの鈍化、及び民生部門における燃料電池等によるコジェネレーション、太陽光を始めとする新エネルギーの導入等を勘案して、1988〜2000年度まで年率2.2%程度、2000〜2010年度まで年率1.0%程度の伸びを見込んだ。


2.電力供給
 最適電源構成の構築を念頭に置きつつ、電給バランス上必要な供給力を確保するため、以下の基本的考え方のもとで、各電源の開発を推進する必要がある。

(1)原子力:優れた燃料供給及び価格の安定性、経済性、環境特性等に着目し、ベース供給力として位置付け、極力開発を進める必要があるが、電源開発計画あるいは運用計画上、需要急増に対応する柔軟性に限界があることに鑑み、電源構成に占める割合に適正な水準がある。また、その導入に当たっては社会的受容性の確保が最大の課題である。

(2)石炭火力:優れた燃料供給の安定性、経済性等を有することから、一定量の依存はするものの、地球環境問題への対応から、発電効率の向上を図るとともに、ベース・ミドル電源として活用する。その結果、2000年以降設備は増加するが、発電電力量はほぼ横ばい。

(3)LNG火力:優れた環境特性を有することから、需要地近接型の電源として導入を継続することとし、ミドル・ピーク電源として位置付けるものの、すでに相当量の導入が進んだため、電源に占める現状のシェアを維持しつつ、長期安定的なLNG調達に配慮しながら、極力導入を進める。

(4)水力・地熱:CO2等の環境負荷の点で優れ、また国産エネルギーとして極めて高い供給の安定性を有することから、基本的にはベース電源として積極的に開発を推進する。なお、揚水式発電については、瞬時負荷追従能力に優れることから、今後とも一定比率の開発に努める。

電力需要の見通し




(5)石油火力等:国際合意等に留意し、依存度の低減に努めつつも、その柔軟性、運転特性に期待して、ピーク電源であるとともに、バッファ機能を有する電源として位置付ける。

(6)メタノール火力:石油火力を補完する電源として、技術開発の動向等を踏まえつつ、適宜導入を図る。

年度末電源構成




(7)分散型電源:技術開発の動向、立地地点の電力需要、熱需要の動向等を勘案しつつ、積極的に開発を推進する。

電供給目標





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