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資料 核燃料リサイクル専門部会報告 原子力委員会 核燃料リサイクル専門部会 |
1.はじめに 原子力委員会の核燃料リサイクル専門部会は、本年6月以降、使用済燃料の再処理により回収されるプルトニウム及びウランの利用の進め方について、総合的かつ具体的に調査審議を進めてきた。 当専門部会の審議事項のなかで、特に、英仏への再処理委託により回収されるプルトニウムの我が国への返還輸送を円滑かつ確実に実施することが、喫緊の政策課額となっている。 プルトニウムの返還輸送としては、動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)が利用するプルトニウムに係るものと、電気事業者(電源開発株式会社を含む。)が利用するプルトニウムに係るものがあるが、当面の数年間に限ってみた場合、我が国における主たるプルトニウムの利用者は、動燃である。 以上の状況から、当専門部会としては、これまでの調査審議の結果を踏まえ、動燃が利用するプルトニウムの返還輸送の当面の進め方について、以下のとおりとりまとめたので、報告する。 なお、電気事業者が利用するプルトニウムの返還輸送、軽水炉におけるプルトニウム利用、回収ウランの利用等については、当専門部会において、引き続き、調査審議を進めていくものとする。 2.返還輸送の開始時期 動燃は、現在運転中の高速増殖炉の実験炉「常陽」及び新型転換炉の原型炉「ふげん」でプルトニウムを使っており、さらに、現在建設中の高速増殖炉の原型炉「もんじゅ」の運転のためのプルトニウムを必要としている。 「もんじゅ」は、1992年10月に計画されている臨界に向けて建設が進められており、動燃は、このための初装荷燃料の製造を本年10月に開始した。「もんじゅ」の初装荷燃料の製造に必要となるプルトニウムは、動燃が現在保有しているプルトニウムと、東海再処理工場で今後回収されるプルトニウムとで賄う計画である。 「もんじゅ」の初装荷燃料の製造は、1992年春には終了する計画であるが、その後、引き続き、「もんじゅ」の取替燃料及び「常陽」の取替燃料の製造を行うこととなり、これらにプルトニウムが必要となるため、東海再処理工場が今後予定通り操業した場合においても、国内のプルトニウムに不足が生ずることは避けられない見通しである。 このため、1992年秋頃までには、プルトニウムの返還輸送を実施するものとする。 3.返還輸送の方法 プルトニウムの返還輸送の方法としては、航空輸送と海上輸送の2つの方法がある。 我が国としては、動燃が利用するプルトニウムについては、航空輸送を基本に、「返還輸送」の準備を進めてきており、このため、1984年以降、航空輸送容器の開発に取り組んできた。我が国としては、今後とも、動燃において航空輸送容器の開発を進めていくものとするが、1987年12月に米国議会で成立したいわゆる「マコウスキー修正条項」を新たに満足する必要が生じたことなどから、その開発にはなお相当の期間を要する見込みであり、1992年までに実用化することは、不可能と判断される。 このため、当面の返還輸送は、海上輸送により行うものとする。 4.返還輸送の推進方策 1992年のプルトニウムの返還輸送は、新日米原子力協定の下での第1回目の輸送であり、また、その後引き続き行われることになる返還輸送を円滑に実施していくためにも、極めて重要なものである。 このように、1992年の返還輸送が原子力政策上の重要な課題であることから、国としては、関係省庁の密接な協力の下に、新日米原子力協定の実施取極附属書5のガイドラインに沿った海上輸送が実施できるよう、万全を期す必要がある。 このような国の支援体制の下に、1992年の返還輸送は、電気事業者等関係者の協力を得つつ、動燃が実施主体となって行うこととし、動燃は、今後、輸送計画の作成等の諸準備を早急に進めていくものとする。 |
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