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関係機関

第33回IAEA総会について

科学技術庁


1.期間、場所
 1989年9月25日(月)~29日(金)


2.参加国
 100ヵ国から約600名が参加
 我が国からは、

斎藤栄三郎 科学技術庁長官(原子力委員会委員長)
緒方謙二郎 科学技術庁原子力局長
遠藤哲也 外務省官房付大使
向井準一郎 通商産業省資源エネルギー庁長官官房審議官
都甲泰正 原子力安全委員会委員

     等が出席


3.議事概要
 今次総会には、国務大臣斎藤科学技術庁長官が、米国に次いで2番目に演説を行い、IAEAに対する協力をはじめとする我が国の原子力政策全般にわたり言及された。(国際協力、環境問題、安全性の確保、PA問題の重要性等)

(1)総会議長の選出
 韓国、北朝鮮の2ヶ国から立候補者があり、総会当日北朝鮮の辞退により、韓国のチュン原子力委員会委員長が選出された。

(2)ブリックス事務局長ステートメント
・地球環境問題(CO2増加による温室効果等)の重大性及びその中での原子力発電の果たす役割について言及。

(3)原子力安全・放射線防護の国際協力の強化

① 放射性廃棄物の投棄問題
 放射性廃棄物を含む有害廃棄物の越境移動に関する実施基準作成のための作業検討状況につき報告がなされた。

② 原子力損害賠償責任
・本年2月発足のワーキング・グループ(原子力損害賠償責任のすべての側面につき調査するワーキング・グループ)の活動状況につき報告がなされた。
・本年10月30日から11月3日まで第2回ワーキング・グループ会合が開催される旨報告がなされた。
③ 核物質防護条約、原子力事故関連二条約(早期通報条約、援助条約)加入状況につき報告がなされた。

(4)イスラエル問題(イスラエルが持つ核能力とその脅威)
・イスラエルに対し、全ての核施設をIAEAの保障措置の下に置くよう要請すること。
・IAEA事務局長に対して、中東地域における保障措置適用について技術的研究を行うこと。
・「イスラエルが持つ核能力とその脅威」について引続き、理事会、総会の議題とすること。
上記決議案が採択された。

(5)南アフリカ問題(南アフリカの核能力)
・昨年の総会における「南アのIAEA加盟国としての特権、権利を停止することについて、今次総会において審議し、決定する。」との決議に基づき、南アがすべての原子力施設をIAEAの保障措置の下に置く事等について、審議がなされた。
・今次総会においても、上記決定が先送りされ、来年9月開催の第34回総会において、審議、決定することを内容とする決議案が採択された。

(6)1990年度事業計画及び予算(実質ゼロ成長予算)

① 通常予算162,800,000米ドル(我が国分担率11.27%)

② 技術援助協力基金(目標達成額)45,500,000米ドル(我が国拠出金11.27%)


(7)理事会理事国の選出

(8)保障措置財源、技術協力財源

① 保障措置財源問題
・1990~92年の暫定的措置(低負担国が毎年インフレ率分を増加負担)に基づく6月理事会勧告につき承認された。
(我が国の主張:保障措置財源は全加盟国により公平に負担されるべき。)
・保障措置財源問題に関し、非公式ワーキング・グループを設置して検討する旨のスウェーデン提案を採択。

② 技術協力財源問題
 長期的観点から技術協力財源につき引続き検討する旨の理事会報告が承認された。


(9)その他

① ブリックス事務局長の再任を承認。
  (1989.12.1~1993.11.30)

② 総合特別科学プログラム(新世代の原子力、原子力安全)
・9月26、27日の両日、総会と並行して「新世代の原子力」をテーマに、プログラムが開催された。
我が国からは、セッション-1(最適規模、安全性、性能についての要件)に中部電力の蓮見取締役、セッション-2(安全確保、ライセンスの緩和のための規制要件)に資源エネルギー庁の向井審議官、セッション-4(政府の支援の必要性)に動燃佐々木理事が参加した。
・9月28日、「原子力安全」に関する非公開プログラムが開催された。
我が国からは、Severity Scaleに関するパネルディスカッション等に都甲原子力安全委員会委員長代理及び向井審議官が参加した。

③ 理事会議長
遠藤外務省官房付大使(IAEA理事)が総会直後の理事会において理事会議長に選出された。(任期1年)

④ 今後の主要会日程
・2月理事会(1990年2月20日)
・6月理事会(1990年6月11日)
・第34回総会(1990年9月17日~)


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