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巻頭言

原子力委員会委員長就任に当たって

国務大臣
原子力委員会委員長
三ツ林弥太郎



 我が国の原子力開発利用は、すでに30年の歴史を有しており、今日まで原子力委員会が定めた基本方針のもとに関係者のたゆまぬ努力と国民の理解と協力により原子力発電の定着、核燃料サイクル事業化計画の具体化、新型動力炉等の開発など着実な進展を遂げてきております。この間住民や環境に被害をもたらすような事故を一度も起こしていないという優れた安全実績を重ねていることは特に重要であると思います。

 今後21世紀に向けて我が国の経済社会の発展を図り、国際社会にも貢献していくためには、これまでの技術開発の成果、安全実績等を踏まえて、原子力開発利用のさらなる進展を図っていく必要があり、その進むべき方向を明らかにすることは、原子力委員会に課せられた極めて重要な使命であると認識しております。

 また、先般のソ連のチェルノブイル原子力発電所の不幸な事故は、原子力における安全確保の重要性を改めて認識させるものであり、事故の教訓を真摯に受けとめるとともに、安全確保に係る国際協調の一層の強化に我が国は積極的に貢献していく必要があると考えます。

 このような時期にあたり、原子力委員会の委員長を務めますことは極めて光栄であるとともに、その責任の重大さを痛感し、今後全力を尽くして職務に励む所存であります。委員の皆様におかれましても何卒御支援御協力を賜りますようお願い致します。

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