前頁 | 目次 | 次頁 |
高速増殖原型炉「もんじゅ」に係る行政庁安全審査結果の地元関係者への説明について 科学技術庁原子力局
1. はじめに
動力炉・核燃料開発事業団が福井県敦賀市白木に建設を計画している高速増殖原型炉「もんじゅ」(電気出力280MW)について、その行政庁安全審査結果の説明が、去る2月22日(月)、敦賀市及び美浜町の関係者に対して、2月26日(金)、福井県議会及び福井県理事者に対して行われたが、「もんじゅ」のここに至る経緯と今回の地元関係者への説明の概要について概説する。 2. 高速増殖原型炉「もんじゅ」の立地に係る経緯
高速増殖原型炉「もんじゅ」の敦賀市白木への立地については、先ず、昭和51年6月に事前環境調査が開始され、昭和53年8月から、国(科学技術庁及び通商産業省)及び福井県による環境審査が始まった。また、立地予定地が若狭湾国定公園内にあるため、自然公園法に基づく審査も昭和54年2月から開始された。 このうち、国による環境審査は昭和55年7月、県による環境審査は同年9月に終了しており、現在は関係省庁との間で調整が図られているところである。また、自然公園法に係る県の審査についても、昭和55年9月「自然公園法第17条第3項の規定に基づく許可申請に先立つ全体計画の承認についてはやむを得ないものと認められる。」旨の審査結果が、県議会に報告されている。 一方、昭和55年9月、地元の要望もあり「もんじゅ」が新型炉であることに鑑み、地元の建設同意を得るためには国としてその安全性について責任ある見解を示す必要があるとの判断から、商用炉の場合とは手順を変えて安全審査を先行させることについて福井県に申し入れを行った。その結果、福井県の了解が得られ、昭和55年12月動力炉・核燃料開発事業団は原子炉等規制法に基づく原子炉設置許可申請を行い、科学技術庁による安全審査が開始された。この行政庁安全審査については、昨年12月実質的に終了している。 「もんじゅ」計画に関する地元住民への周知、地元住民の意見の把握については、昭和53年11月に、当時進行中であった環境審査及びこれに続く予定であった原子炉安全審査に地元住民の意見を反映させるため、環境影響調査書の公開及び縦覧の措置がとられるとともに、地元と協議のうえ地元関係各界の代表者に対して、国の立ち合いのもとに対話形式の説明会が開催されており、また、計画の一部変更等についても所要の時期に説明会開催等の措置がとられてきた。 3. 今回の地元説明について
今回の地元関係者への説明は、昨年12月に科学技術庁による安全審査が実質的に終了したことにより、その結果を地元関係者に示すために行われたものである。 以下、その概要を述べる。 (1) 敦賀市及び美浜町の関係者に対する説明〔2月22日(月)、敦賀市中央公民館〕
立地予定地の敦賀市及び隣接町ではあるが地理的、社会的に立地予定地と密接な関係を有する美浜町から招請された関係者総計117名(出席予定者165名)の出席を得て説明及び質疑応答が行われた。 説明は、高速増殖炉の必要性と「もんじゅ」計画、高速増殖原型炉「もんじゅ」原子炉設置許可申請の概要と安全性、及び「もんじゅ」の行政庁安全審査の考え方とその結果の概要について、スライド等を活用して行われた。 説明の後、事前配布されていた関係資料と当日の説明内容に基づき質疑応答が活発に行われ、特に、高速増殖炉の特徴である冷却材にナトリウムを使用することに係る安全性、燃料にプルトニウムを使用することに係る安全性、防災対策、近隣原子力発電所との安全上・環境上の重畳効果、地域振興策等について関心が集中した。 (2) 福井県議会及び福井県理事者に対する説明〔2月26日(金)、福井県議会本会議場〕
坪川貞純福井県議会議長以下、34名の議員(議員定数40名)と、栗田幸雄福井県副知事以下34名の福井県関係部局の職員に対し、説明及び質疑応答が行われた。 2月22日の敦賀市及び美浜町関係者に対する説明と同様の説明が行れ、ひきつづき質疑応答が行れた。質疑は、2月22日の質疑応答を踏まえ、更に詳細な技術内容を含むものであり、高速増殖炉の制御性、ナトリウムの取扱、プルトニウムに関する安全性、防災問題、地元振興問題等について活発な質疑応答が行われた。 4. 今後の手続について
今回の行政庁安全審査結果の説明により、「もんじゅ」の立地による環境への影響とともに、その安全性についても国の見解を地元に示したこととなり、今後は地元において議会審議等において検討され、「もんじゅ」の立地について知事の判断を待つこととなった。 今後、知事の建設同意が得られた後には、商用炉における電源開発調整審議会に相当する関係省庁の了解を経て、原子力安全委員会による安全審査、公開ヒアリング等の手続が行われる予定である。 ![]() |
前頁 | 目次 | 次頁 |