前頁 | 目次 | 次頁

「日本原子力産業会議と中華人民共和国第二機械工業部との間の原子力平和利用分野における協力に関する覚書」について


(社)日本原子力産業会議

 日本原子力産業会議(原産)は、9月3日、北京の人民大会堂天津庁において中華人民共和国第二機械工業部(二机部)との間に、原子力平和利用の協力に関する「覚書」を取り交わした。「覚書」には平等互恵の原則に基づく日中間の原子力平和利用分野における協力推進の形態として①専門家の相互派遣、②会議、セミナー等への参加者の相互派遣、および③技術情報交流以上3項目が明記されている。本協力の具体的内容、実施方法は日中双方の関係者によりさらに検討し、決定されることになる。

 原子力平和利用分野における原産と中国との間の相互交流は昭和54年11月の「第14回日本アイソトープ会議」に中国国家科学委員会の視察団の受入れ、昭和55年3月の「第13回原産年次大会」に二机部からの視察団を受け入れ、6月には当方から「放射線利用調査団」、7月には二机部の招請を受け円城寺副会長を団長とする「原産訪中代表団」を派遣し、さらに同年9月には李覚副部長を団長とする「第二機械工業部訪日代表団」の受入れを行い、それぞれ関係施設の視察、関係首脳、専門家との懇談を通し相互理解を深める等、日中間の交流を図ってきた。これらの交流を通して、日中間の人的交流、情報交流を内容とする協力を図ることが有意義であるとの相互認識に基づき此の度の「覚書」の締結となったが、その際原産の主張で本協力成果が、平和利用以外に用いられぬよう一文を付したことは特筆に値しよう。

 二机部は原子力研究開発(原子炉および核燃料サイクル全般)を担当する機関で、既にPWR型原子炉30万kWの設計を自主開発で完了している。さらに12.5万kWの重水炉の開発方針も決まっている。中国は水力、石炭資源に恵まれているとはいえ、輸送の問題等から電力需要の大きな華東地域、広東省では原子力発電を進める方針である。日中協力の重要性は云うまでもないが日中協力において我々が留意しなければならないことは、あくまで中国側の自主開発路線を尊重し、周辺の状況の整備をみながら進める事が肝要であろう。


前頁 | 目次 | 次頁