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日米再処理交渉に関する科学技術庁長官談話


昭和52年7月15日
宇野科学技術庁長官談話

 動力炉・核燃料開発事業団の使用済燃料再処理施設の試運転の問題については、すでに日米首脳会談及びロンドンの7箇国首脳会議において、福田総理から米国のカーター大統領に対し直接我が国の考え方を申し述べたところであり、それをもとに日米双方がそれぞれの立場の理解を深めつつ鋭意折衝を重ねてきた。特に、今般の日米合同調査においては、最大限の技術的努力がなされたことにより日米の相互理解が一層前進したことについて、私としては、十分に満足している。

 我が国にとって原子力平和利用の推進は、国民生活の維持向上を図る上に不可欠であるが、他方、原子力が軍事目的に転用されることのないよう最大限の努力を傾注することは自明のことであり、原子力基本法の制定、非核三原則の設定、核兵器不拡散条約の批准等は、まさに核不拡散という不動の原則に則ったものである。我が国は、かねがね原子力平和利用と核不拡散は必ず両立しうるものと確信しており、先般のロンドン首脳会議においても福田総理からその旨を表明されている。私は、核不拡散に対するカーター大統領の崇高な理想と真摯な情熱に対し深甚の敬意を表するとともに、我が国も原子力の平和利用については、これに劣らぬ熱意を有していることをここに重ねて明らかにしたい。

 日米交渉は、今回の調査結果をもとにさらに政策的見地からの交渉に入ることになるが、政府としては、これまでの日米間の交渉成果を踏まえ、適時閣僚レベルの折衝を行うことにより、本問題を早急に解決すべく全力を尽くす所存である。


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