前頁 | 目次 | 次頁

原子力開発利用長期計画の改訂について


昭和52年4月26日
原子力委員会

 1. 計画改訂の趣旨

 原子力委員会は、昭和47年6月、原子力開発利用長期計画を改訂し、以来その計画に基づき、関係各界の緊密な協力の下に、我が国の原子力開発利用の推進を図ってきたところである。

 前回計画改訂後約5ケ年を経過したが、この間、我が国における原子力開発利用をめぐる内外情勢は大きく変化し、現計画の中には、我が国の原子力開発利用を推進する上での指針として、必らずしも実態にそぐわない面も見られるに至っている。

 このため、原子力委員会は、昨年12月に公表した昭和51年原子力年報及び本年3月に決定した昭和52年度原子力開発利用基本計画において明らかにした通り、以下の基本方針及び審議要領に基づき、可能な限り速やかに原子力開発利用長期計画を改訂するものとする。

 2. 計画改訂の基本方針

 改訂計画においては、原子力発電のみならず放射線利用等の分野も含めた全般的な原子力開発利用の計画を示すものとするが、特に原子力発電については、今世紀中は軽水炉が原子力発電体系の中心を占め、1990年代に高速増殖炉の実用化を図り、2000年以降に核融合の実用化をめざすという基本的見通しのもとに、今後約10年間の原子力発電の開発、各般の研究開発等の具体的方向を示すものとする。

 また、計画改訂にあたっては、特に以下の諸点に十分留意するものとする。

(1) 計画達成に対する制約条件となる立地、技術、資源等について十分検討するとともに、計画実現のための手段である資金及び人材の確保策等に十分配慮して、実効性のある計画とする。

(2) 原子力以外のエネルギーも含めたエネルギー全体の計画との整合性を確保する。

(3) 原子力の安全確保に万全を期し、原子力開発利用に対する国民の理解と協力を得るための方策を検討し、原子力施設の立地の促進を図る。

(4) 原子力の平和利用に徹し、核拡散の防止に努める一方、核燃料サイクルに関する我が国の自主性の確保を図る。

 3. 計画改訂の審議要領

(1) 原子力委員会に学識経験者、関係行政機関の職員等をもって構成する長期計画専門部会を設置し、改訂計画案を作成する。

(2) 長期計画専門部会に、必要に応じワーキング・グループを設け、これらを機動的に運営することにより同専門部会の審議の円滑化を図る。

(3) 原子力委員は、必要に応じ長期計画専門部会の審議に参加する。

(4) 原子力委員会は、長期計画専門部会からその審議状況について適宜報告を求め、その報告に基づき、関係各方面と必要な意見調整を行う。

(5) 審議にあたっては、原子力委員会の関連専門部会、懇談会等を可能な限り活用する。

(6) 審議期間は約1ケ年とするが、必要に応じ中間報告をとりまとめる。

(7) 計画改訂に係る事務は、原子力局及び原子力安全局において処理する。


前頁 | 目次 | 次頁