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核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案要綱 昭和52年4月
科学技術庁
標記法律案は3月22日に閣議において、第80回国会に提出することが決定された。 要綱は、次のとおりである。 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案要綱
第1 国際規制物資の使用に関する規制の改正(核兵器の不拡散に関する条約の実施に関する保障措置協定の締結に伴う規定の整備)
1 国際規制物資の計量管理に関する規定の整備
(1)国際規制物資使用者等は、国際規制物資の適正な計量及び管理を確保するため、計量管理規定を定め、内閣総理大臣の認可を受けなければならないものとすること。 (2)内閣総理大臣は、計量管理規定が国際規制物資の適正な計量及び管理の確保に十分でないと認めるときは、前項の認可をしてはならないものとするとともに、その変更命令及び遵守義務について定めること。 (第61条の8関係)
2 立入検査に関する規定の整備
(1)主務大臣は、この法律の施行のため必要な限度において、必要最小限度の量に限り、その職員に核燃料物質等の試料を収去させることができるものとすること。 (2)国際原子力機関の指定する者は、主務大臣の指定する職員の立会いの下に、国際約束で定める範囲内において、国際規制物資を使用している者の事務所に立ち入り、帳簿等の検査、関係者に対する質問又は必要最小限度の量に限り、核燃料物質等の試料の収去ができるものとすること。 (第68条第1項及び第4項関係)
3 指定情報処理機関に関する規定の整備
(1)内閣総理大臣は、国際約束に基づく保障措置の適切な実施に資すると認めるときは、国際規制物資の使用の状況に関する情報の解析その他の処理業務(以下「情報処理業務」という。)をその指定する者に行わせることができるものとし、その指定の基準は、情報処理業務を適確に遂行する能力があること、民法第34条の規定により設立された法人であること等とするものとすること。 (第61条の10から第61条の13関係)
(2)業務の実施義務、業務規定及び事業計画等の認可等、適合命令、指定の取消し、報告徴収、立入検査その他指定情報処理機関の業務に対する監督規定等を定めること。 (第61条の14から第61条の23関係)
4 その他
(1)内閣総理大臣又は国際原子力機関は、国際規制物資の移動を監視するために必要な封印をし、又は装置を取り付けることができるものとし、何人も当該封印又は装置を正当な理由がないのに取り外し、又はき損してはならないものとすること。 (第68条第5項から第7項関係)
(2)内閣総理大臣は、立入検査等の事務の一部を政令で定めるところにより、通商産業省又は運輸省の職員に行わせることができるものとすること。 (第74条の2第2項関係)
第2 再処理の事業に関する規制の改正
1 再処理の事業の指定等に関する規定の新設
(1)動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所以外の者で再処理の事業を行おうとする者は、内閣総理大臣の指定を受けなければならないものとするとともに、動力炉・核燃料開発事業団又は日本原子力研究所が再処理の事業を行う場合は、再処理施設の設置について内閣総理大臣の承認を受けるものとすること。 (第44条第1項及び第3項関係)
(2)内閣総理大臣は、(1)の指定の申請があった場合においては、その申請が次の1から4までの基準に適合していると認めるときでなければ、指定してはならないものとすること。 1 再処理施設が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。 2 その指定をすることによって原子力の開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。 3 その事業を適確に遂行するに足りる技術的能力及び経理的基礎があること。 4 再処理施設の位置、構造及び設備が使用済燃料、使用済燃料から分離された物又はこれらによって汚染された物による災害の防止上支障がないものであること。 (第44条の2第1項関係)
(3)内閣総理大臣は、(1)の承認の申請があった場合においては、その申請が(2)4の基準に適合していなければ、承認してはならないものとすること。 (第44条の2第2項関係)
(4)内閣総理大臣は、(1)の指定又は承認をする場合においては、指定又は承認の基準の適用について、あらかじめ原子力委員会の意見を聴き、これを尊重してしなければならないものとすること。 (第44条の2第3項関係)
2 再処理施設の使用前検査等の制度の新設
(1)使用前検査
1 再処理事業者(再処理の事業を行う場合における動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所を含む。以下同じ。)は、再処理施設の工事及び性能について内閣総理大臣の検査を受け、これに合格した後でなければ、再処理施設を使用してはならないものとすること。 2 前項の検査においては、再処理施設が次に適合しているときは、合格とするものとすること。 (1)その工事が認可を受けた設計及び方法に従って行われていること。 (2)その性能が総理府令で定める技術上の基準に適合するものであること。 (第46条関係)
(2)定期検査
再処理事業者は、再処理施設のうち政令で定めるものの性能について、総理府令で定める技術上の基準に適合しているかどうかについて内閣総理大臣が毎年1回行う定期検査を受けなければならないものとすること。 (第46条の2関係)
(3)使用計画
再処理事業者は、総理府令で定めるところにより、再処理施設の使用計画を作成し、内閣総理大臣に届け出なければならないものとすること。 (第46条の4関係)
3 その他
(1)再処理の事業の指定等の規定の新設に伴い、指定の欠格条項、変更の許可及び届出、事業開始等の届出、合併、相続、指定の取消し、再処理施設の解体等に関し、所要の規定の整備を行うものとすること。 (第44条の3、第44条の4、第46条の3、第46条の5、第46条の6、第46条の7及び第50条の2関係)
(2)原子力基本法等の一部を改正する法律の施行に伴い、1の(2)の基準のうち3の基準(技術的能力に係る部分に限る。)及び4の基準の適用については、原子力安全委員会の意見を聴くものとする等所要の調整を行うものとすること。 (核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案第2条関係)
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