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中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)について(答申)


52原委第126号
昭和52年3月8日

内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長

 昭和51年12月14日付け51安(原規)第183号(昭和52年2月22日付け52安(原規)第62号で一部補正)で諮問のあった標記の件については、下記のとおり答申する。

① 標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第26条第4項において準用する第24条第1項各号に掲げる許可の基準のうち第1号、第2号及び第3号については適合しているものと認める。

② 上記許可の基準第4号については、原子炉安全専門審査会による安全性に関する審査結果報告は別添のとおりであり、適合しているものと認める。

(別添)

昭和52年2月23日
原子力委員会
  委員長 宇野 宗佑 殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄

中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更(原子炉施設の変更)に係る安全性について

 当審査会は、昭和51年12月14日付け51原委第1031号(昭和52年2月22日付け52原委第121号をもって一部補正)をもって審査を求められた標記の件について結論を得たので報告する。

Ⅰ 審査結果

 中国電力株式会社島根原子力発電所の原子炉の設置変更(電子炉施設の変更)に関し、同社が提出した「島根原子力発電所原子炉設置変更許可申請書(昭和51年12月1日付け申請及び昭和52年2月14日付け一部補正)」に基づき審査した結果、本原子炉の設置変更に係る安全性は十分確保し得るものと認める。

Ⅱ 変更内容

 新しい炉心の熱特性評価方法を採用することに伴い、熱的制限値を変更する。

最小限界出力比
7×7型燃料集合体 1.26
8×8型燃料集合体 1.29
(変更前は最小限界熱流束比 1.9以上)

Ⅲ 審査内容

1 熱的制限値の変更

 新しい炉心の熱特性評価方法を採用することに伴い、熱水力特性及び過渡現象解析結果の検討を行って熱的制限値の妥当性を確認した。

(1)熱水力特性

 本変更は、新しい炉心の熱特性評価方法を採用することに伴うものであるが、この手法の詳細は、原子炉安全専門審査会が昭和51年2月16日に採択した「沸騰水型原子炉の炉心熱設計手法及び熱的運転制限値決定手法について」に記載のとおりである。

 本原子炉の熱水力特性を、同検討報告書にもとづいて評価した結果問題はないと判断する。

(2)過渡現象解析

 通常運転時の熱的制限値を定めるため過渡現象解析にもとづき最小限界出力比(以下MCPRという)の変化(以下ΔMCPRという)を評価し、最大のΔMCPRを生ずる過渡変化を確認した。

 本原子炉において最大のΔMCPRを生ずる過渡変化は7×7型燃料集合体及び8×8型燃料集合体とも発電機負荷遮断・バイパス弁不作動であり、ΔMCPRはそれぞれ0.20及び0.23である。

 したがって通常運転時のMCPR制限値を7×7型燃料集合体については1.26、8×8型燃料集合体については1.29とすることにより、過渡変化時のMCPRは限界値1.06を下まわらない。

2 平常運転時における原子炉施設周辺の被ばく線量評価

 今回の変更申請に伴い、本原子炉施設が「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」(以下「線量目標値に関する指針」という)に適合していることを確認するため、平常運転時に放出される放射性気体及び液体廃棄物中の放射性物質による原子炉施設周辺の被ばく線量評価を行った。

 評価は、「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に対する評価指針」に基づいて行った。

 その結果、敷地境界外で放射性希ガスからのγ線による全身被ばく線量が最大となる地点は排気筒の西北西約940mの敷地境界であり、その地点における全身被ばく線量は、液体廃棄物中の放射性物質の寄与を含めて年間約1.7mremである。

 また、気体廃棄物中の放射性よう素に起因する甲状腺被ばく線量が最大となる地点は排気筒の西北西約940mの敷地境界であり、その地点における年間被ばく線量は、液体廃棄物中の放射性よう素の寄与を含めて約5.9mrem(幼児)である。

 これらの評価結果は、いずれも「線量目標値に関する指針」に示される線量目標値を下まわっている。

Ⅳ 審査経過

 本審査会は、昭和51年12月20日第154回審査会において審査を開始し、昭和52年1月28日第155回審査会及び同年2月23日第156回審査会において審査を行い、本報告書を決定した。

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