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軽水炉改良標準化調査中間報告について 昭和51年4月13日
通商産業省
1 昭和48年の石油危機を契機として、我が国のエネルギー構造のあり方について反省がなされ、原子力発電に対する期待が高まってきた。世界的にみると、原子力発電の中でも、軽水型原子力発電所が主流を占めており、ここ当分は我が国においても中核をなすものと考えられるが、我が国の軽水型原子力発電所の現状をみると、その運転実績は必ずしも満足すべきものとは言えず、トラブルの発生や定期検査期間の長期化により所期の稼動率が必ずしも得られていない。 2 一方、我が国では軽水炉技術については、すでに十余年の建設運転の経験が積み重ねられており、それに基づく自主技術により軽水炉の改良標準化を推進して、安全性、信頼性をより一層向上させるべきであると考えられる。このため、通商産業省は昭和50年度に原子力発電機器標準化調査委員会及び原子力発電設備改良標準化調査委員会を設置して、鋭意検討を進めてきたところであり、今回調査結果をまとめた。 3 標準化の検討に当たっては、技術開発の進歩との兼合いも考慮して、この1、2年間の技術開発により、確信をもって適用し得るものを採用することとした。 また、我が国では、立地条件にかなり差異があるため、当面は標準化の対象を原子炉蒸気発生設備を中心とし、従業員の被ばく対策、自動化・遠隔化等による保守点検作業の適確化、機器の信頼性の向上等を図ることを主眼とした。 標準プラントの出力としては、今後の電力系統容量及び広域運営の強化等を考慮し、沸騰水型炉(BWR)及び加圧水型炉(PWR)それぞれについて80万KW級と110万KW級の2種類とした。 4 標準プラントについては、格納容器の形状の改良、格納容器内スペースの拡大と機器配置の改良を図るとともに、BWRにあっては、
① クラッドの発生防止、除去対策
② 制御棒駆動機構等の取替、交換作業の自動化・遠隔化
③ 燃料交換装置の改良
④ 容器、配管類検査、機器の自動化・遠隔化
⑤ 弁、ポンプ類の信頼性向上及び保守点検の容易化
等が特に考慮され、PWRにあっては ① 蒸気発生器細管検査の自動化の強化
② 原子炉容器蓋の取外し作業の改善
③ 燃料検査装置の改良増強
④ 容器、配管類検査機器の自動化・遠隔化
⑤ 弁、ポンプ類の信頼性向上及び保守点検の容易化
等が特に考慮されている。 5 軽水炉の標準化の推進のためには、国にあっては、政府資金の活用並びに技術基準類の整備充実等、また、設置者にあっては標準プラントの採用等、更にメーカーにあっては、改良標準プラントの確立等を図ることとし、それぞれが緊密な連絡体制の下に一致協力してその役割を果す必要があるが、通商産業省としては、今回の調査結果に基づき、51年度には引き続き具体的展開を図っていくこととしている。 |
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