国際原子力機関(IAEA)の第16回総会は、昭和47年9月26日から、メキシコ国メキシコシティーにおいて開催された。
その概要は次のとおりである。
なお、ウィーン以外で総会が開催されるのは、昭和40年第9回総会の日本開催についで2度目である。 |
1 参 加 国
加盟国 55
国際連合および専門機関 2
その他の国際機関 5
非政府機関 4 |
2 日本国政府代表団
代 表 加藤 匡夫 在メキシコ大使
代表代理 成田 寿治 科学技術庁原子力局長
石井 享 在オーストリア大使館参事官
高岡 敬展 在オーストリア大使館一等書記官
随 員 中島 孝夫 科学技術庁原子力局政策課
小倉 義弘 外務省国連局科学課
川島芳郎 核物質管理センター専務理事 |
3 会議議事
(1)開 会 式
第16回総会は9月26日午後4時35分からメキシコシティーの国際会議センターにおいて、仮議長オテロ=ナバスクスにより開会宣言が行なわれた。
(2)議長選出
議長にはメキシコ代表のフロール=ド=ラペーナ氏が選出された。
(3)メキシコ大統領演説
エチベリア、メキシコ大統領は、ラテンアメリカ核兵器禁止条約の批准を促進するとともに、現存の核兵器を破壊するようによびかけがあった。
(4)信任状委員会の任命
信任状委員会はコロンビア、インド、インドネシア、イタリー、日本、ルーマニア、ソ連、米国およびザイール共和国の9ヵ国で構成されることとなった。
(5)副議長の選出
副議長として、オーストラリア、カナダ、フランス、ガーナ、インド、日本、ポーランドおよびソ連の8ヵ国の代表が選出された。
(6)一般委員会委員の任命
(7)IAEA加盟について
バングラデシュの加盟が承認された。これによりIAEA加盟国は103となった。
(8)仏代表から、ガボン産ウラン鉱の分析の結果、ウラン中のウラン-235が0.730%から0.440%とばらついている事実を発表した。
(9)事務局長演説および一般演説
2日目から、エクランド事務局長演説、各国代表演説および、1971〜72年の理事会報告が行なわれた。
なお、米国代表シュレシンジャー原子力委員長は、NPT保障措置協定の早期締結を期待する旨の大統領メッセージを読みあげた後、米国としては、原子力は、環境に影響を与えることの少ない主要なエネルギー源であると評価していること、開発途上国への援助および環境保護基準の設定に関して果たすIAEAの役割りについてふれるとともに、ユーラトムがIAEAとの間にNPT保障措置協定を締結したことを歓迎しまた、米国の原子力活動を適当な時期にIAEAの保障措置の下におくための取極めに関する話し合いを始めたことなどをのべた。
わが国代表は、3日目に演説を行ない、本年6月に改訂された原子力長期計画について招介するとともに、高速増殖炉、新型転換炉、海外探鉱、ウラン濃縮技術の研究開発、再処理工場の建設、原子力船「むつ」の建造等、わが国の原子力開発利用状況について説明を行なった。
続いて、IAEAの保障措置制度の進展に応じてわが国における国内保障措置制度の所要の整備をすすめていることを強調した。
また、クリーンエネルギーとしての原子力の特質を発揮するためには、原子力施設の安全性確保と放射性廃棄物の処理処分の解決が、重要な課題であり、IAEAの果たす役割りに期待する旨の発言を行ない、さらに、濃縮ウランの供給は将来ひっぱくすることが予想されることから、兵器用濃縮ウランがIAEAを通じて、平和産業用に放出されることを提案した。
(11)1971年度決算を承認
(12)IAEAと政府間機関との関係
ラテンアメリカ核兵器禁止機関(OPANAL)とIAEAとの協力関係樹立に関し、英、オランダ、米国などが積極的支持を行なった。
(13)第17回総会開会日
1973年9月18日とすることが承認された。
(14)理事国選挙
メキシコ、アルゼンチン、サウディアラビア、インドネシア、および西独が新理事国に選ばれた。
(15)1973〜78計画および1973年度予算を承認 |