45原委第28号
昭和45年2月5日
内閣総理大臣 殿
原子力委員会委員長
日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更
(放射性廃棄物処理施設の変更)について(答申)
昭和44年11月20日付け44原第6029号で諮問のあった標記の件について、下記のとおり答申する。
記
標記に係る許可の申請は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準に、適合しているものと認める。
なお、各号の基準の適合に関する意見は、別紙のとおりである。
(別紙)
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律第24条第1項各号に掲げる許可の基準の適合に関する意見
1 本変更は、第1号から第3号に掲げる許可の基準に適合しているものと認める。
2 第4号に掲げる許可の基準の適合に関する原子炉安全専門審査会の審査結果は別添のとおりであり、本変更により原子炉施設の安全はそこなわれることはなく、第4号に掲げる許可の基準に適合しているものと認める。
日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更
(放射性廃棄物処理施設の変更)に係る安全性について
昭和45年1月30日
原子炉安全専門審査会
原子力委員会委員長
西田 信一殿
原子炉安全専門審査会
会長 内田 秀雄
日本原子力研究所大洗研究所の原子炉の設置変更
(放射性廃棄物処理施設の変更)に係る安全性について
当審査会は、昭和44年11月20日付け44原委第426号をもって審査の結果を求められた標記の件について結論を得たので報告します。
Ⅰ 審査結果
日本原子力研究所大洗研究所原子炉施設の変更に係る安全性に関し、同研究所が提出した「大洗研究所原子炉設置変更許可申請書」(昭和44年11月17日付け申請)に基づいて審査した結果、同施設の変更に関する安全性は確保しうるものと認める。
Ⅱ 変更の内容
本申請は液体廃棄物処理施設および固体廃棄物処理施設を概要次のとおり変更するものである。
1 液体廃棄物処理設備は従来、低レベル廃液貯槽(200m3×3基)および排水監視ポンド(容量150m3)だけであったが、新たに、低レベル廃液貯槽(200m3×3基)、同処理装置(処理能力10m3/hr)中レベル廃液貯槽(70m3×4基)および同処理装置(処理能力1m3/hr)をそれぞれ設けること。
2 固体廃棄物処理設備としては従来固体1時格納庫だけであったが、新たに圧縮減容装置、焼却装置(処理能力各約2m3/day)、コンクリート塊封入装置(処理能力的0.15m3/day)、固体集積保管場を設けること。
Ⅲ 審査内容
本変更にかかわる廃棄物処理施設は次のような安全対策が講じられることになっており、また、それぞれの設備にかかわる安全設計の方針は妥当であり、本変更によっても、本原子炉施設は、十分安全性を確保し得るものであると認める。
1 液体廃棄物処理施設
液体廃棄物は放射性物質の濃度により、低、中レベルに区分し、それぞれ、低レベル廃液貯槽および中レベル廃液貯槽により、一時貯留し、所内の一般排水により、希釈して海へ放出する。希釈放出の困難な場合、低レベル廃液にあっては、凝集沈澱装置により、また中レベル廃液にあっては蒸発濃縮装置によりそれぞれ廃液中の放射性物質を除去し、濃度を低下せしめることになっている。
これらの処理により、排水口における放射線レベルを法令に定める許容値以下に十分に抑えるよう配慮されている。
また廃棄物処理施設における各設備の処理能力は十分な容量を有している。
2 固体廃棄物処理施設
固体廃棄物は放射線量率により、中低レベルと高レベルに分類される。うち、中低レベル固体はその性状により、可燃性、不燃性の別に区分し、可燃性のものは主に焼却装置により、また不燃性のものは主に圧縮減容装置により処理されドラム缶に封入され固体集積保管場に保管される。
一方、高レベル固体はコンクリート容器へ封入され、同じく固体集積保管場に保管される。
また、固体廃棄物処理施設における各設備の処理能力は十分の容量を有している。なお、固体集積保管場については、十分な保管能力があり、かつ周辺の一般公衆に対する放射線被ばく上の配慮が十分なされている。
3 その他
上記設備の設置に伴い、それぞれ廃棄物処理施設には、主要部にエリアモニタ、ガスモニタ、ダストモニタ等を設置し、廃棄物処理に伴なう放射線の管理が行なわれるほか、処理施設内で放射性じんあい等を含む空気またはガスを発生する設備についてはフィルタ排風機等よりなる排気浄化装置が設けられることになっている。
Ⅳ 審査経過
本審議会は、昭和44年11月24日の第75回審査会において次の委員よりなる第60部会を設置した。
渡辺 博信(部会長) 放射線医学総合研究所
左合 正雄 東京都立大学
浜田 達二 理化学研究所
部会および審査会においては、次表のように審査を行なってきたが、昭和45年1月24日の部会において部会報告書を決定し、同年1月30日の第77回審査会において本報告書を決定した。

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