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第220号 原子力委員会メールマガジン 放射線の利用について―その11


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2017年4月28日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃   (4月19日)
┃    ・原子力規制委員会からのプルトニウムバランスに関する質問につ
┃     いて
┃   (4月26日)
┃    ・「原子力利用に関する基本的考え方」について
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

放射線の利用について―その11
                              中西 友子

 前回述べたように、研究用原子炉を用いる放射化分析法は、金属元素の検出
感度が極めて高い。そこで、今回は、放射化分析法を用いた自生植物による金
属の集積や貴重な金属の鉱脈を探す試みについて紹介したい。それは自生植物
の中には特定の元素を体内に集積する性質を有するものがあるからである。

 まず、植物による金属の集積について、セレン(Se)を例に挙げると、およ
そ100年ほど前、米国で数多くのヒツジが死亡し大問題になったことがあった。
その原因はセレンを特異的に数千ppmに至る濃度に蓄積していた牧草だった。
セレンは植物に吸収された後、一部はジメチルセレンとなり植物体から外に出
ていく。このジメチルセレンはニンニクのような匂いを放ち、臭いに敏感な馬
は食さなかった。しかし、ヒツジはあまりこの臭いは気にせず、美味しいのか、
探し出してでも好んでこの牧草を食べたため、主にヒツジだけがこの牧草の犠
牲となった。

 このように植物が特定の金属を集積することが知られており、特に多量の金
属を集積する植物はハイパー・アキュミレータともよばれる。そのため、金属
鉱業事業団(当時)では長期にわたり、自生植物に含まれる金の量から金鉱脈が
探索できるかどうかについての調査を行っていた。毎年、膨大な数の植物や土
壌が採取され、試料中の金の量は極めて微量なので、放射化分析により測定さ
れていた。しかし、大量の試料の放射化分析は日本では困難なため、全てカナ
ダに送られ、カナダの原子炉を使って分析されていたのである。放射化分析法
における金の検出感度は非常に高く、例えば、分析する人が金のネックレスや
指輪をしていると、その金から出ている微量の金の蒸気で試料が汚染されてし
まい、金の測定値が正しくなくなるという、私たちの五感を遥かに超えた超高
感度分析法である。

 放射化分析の結果、植物からはppb(10-9g)レベルの金の含有量が検出された。
やはり金鉱脈地点での金の含有量は高く、その値は鉱脈から離れるに従って低
くなるものの、1-2km離れた地点でも、植物中の金の含有量は高かった。鉱脈
からの距離により変化する金の量は、土壌よりも植物の方がはっきりしていた。
植物の方が養分吸収時に土壌中の金も合わせて吸収し、その地点における土壌
中の金濃度よりも高い濃度に蓄積するためではないかと推察された。いろいろ
調べられた植物の中で、ppbレベルではあるが、ヤブムラサキの金の含有量が
高く、一時この植物は金を集める植物として話題となった。

 このように動けない植物は生育している土壌中の元素をうまく利用して生き
てきている。そこで、鉱脈を探索する際には植生もそのヒントを与えていたと
考えられる。ヘビノネコザと呼ばれる植物の分布は鉱脈近くで多いため、かつ
てはこの草は金気(かなけ)草ともよばれていた。

 また、植物中の各種元素の含有量を調べてみると、生育している土壌中の元
素量と関係していることが多いことから、同じ野菜でも含まれるいろいろな元
素の割合を分析してみると、どの土地で育ったのか、すなわち産地の推測がつ
く場合がある。同様に、牛肉中の各種元素の含有量を調べてみると、米国産か
日本産か区別がつく場合もある。
 これらの多元素分析法として放射化分析は大いにその威力を発揮することが
できることが知られている。

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
 催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子
 力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●4月19日(水)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】原子力規制委員会からのプルトニウムバランスに関する質問につい
て
<主なやりとり等>
 原子力規制委員会からのプルトニウムバランスに関する質問について、事務
局より回答案を説明し、その後、委員の間で議論を行いました。事務局案のと
おり、原子力規制委員会へ回答を行うこととしました。

●4月26日(水)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】「原子力利用に関する基本的考え方」について
<主なやりとり等>
 「原子力利用に関する基本的考え方」について、事務局より全体版の説明を
行い、その後、委員の間で議論を行いました。事務局案を修正の上、パブリッ
クコメントを開始することとしました。

●原子力委員会では「原子力利用に関する基本的考え方」の策定に向け、議論
 を進めています。各論の議論を行った際の資料については、以下のURLから
 御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/chusyutu.htm

●また、原子力委員会では「原子力利用に関する基本的考え方」の策定に向け、
 この度、国民の皆様から広く御意見を募集しております。詳細につきまして
 は、以下のウェブサイトより御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/pressrelease/pressrelease20170427.html

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・
 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
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■首相官邸
 ┣原子力防災会議
 ┃(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/ )
 ┣原子力災害対策本部
 ┃(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/ )
 ┗原子力立地会議
  (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/ )

■内閣官房
 ┣原子力関係閣僚会議
 ┃(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/ )
 ┣最終処分関係閣僚会議
 ┃(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/ )
 ┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
 (http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html )

■経済産業省
 ┣東京電力改革・1F問題委員会
 ┗高速炉開発会議
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 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
 ┃┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html )
 ┃┣原子力小委員会
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 ┃┃┣◆【New】放射性廃棄物WG
 ┃┃┣◆【New】地層処分技術WG
 ┃┃┗原子力事業環境整備検討専門WG
 ┃┗電力基本政策小委員会
 ┗総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
  ┃(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/ )
  ┗基本政策分科会
   ┣長期エネルギー需給見通し小委員会
   ┣発電コスト検証WG
   ┣電力需給検証小委員会
   ┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu )
   ┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
    (http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku
     /denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)

■原子力規制委員会
 ┗◆【New】原子力規制委員会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html )
  ┣合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html )
  ┣放射線審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html )
  ┣国立研究開発法人審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html )
  ┣量子科学技術研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html )
  ┣日本原子力研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html )
  ┣原子力規制委員会政策評価懇談会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html )
  ┣帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kikan_kentou/index.html )
  ┣原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html )
  ┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
   (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html )

■文部科学省
 ┣原子力科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm )
 ┃┣原子力人材育成作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm )
 ┃┣核融合研究作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm )
 ┃┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm )
 ┃┗研究施設等廃棄物作業部会
 ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm )
 ┣核融合科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm )
 ┃┗◆【New】原型炉開発総合戦略タスクフォース
 ┃ (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm )
 ┗調査研究協力者会議等(研究開発)
  ┗もんじゅの在り方に関する検討会
   (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/index.htm)

■復興庁
 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
 ┃(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html )
 ┗原子力災害からの福島復興再生協議会
 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html )

■環境省
 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
  る専門家会議
 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html )

■厚生労働省
 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896 )

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●次号配信は、平成29年5月19日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、阿部 信泰委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せ頂いた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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