メールアイコン メールマガジン配信サービス

第217号 原子力委員会メールマガジン 放射線の利用について−その10


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.217 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2017年3月17日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃   (3月6日)
┃    ・「原子力利用に関する基本的考え方」について
┃     原子力委員による議論〜盛り込むべき事項(4)〜
┃     (各論:原子力利用の基盤強化、研究開発機関の役割、施設・設
┃     備、人材育成、基礎研究)
┃   (3月10日)
┃    ・「原子力利用に関する基本的考え方」について
┃     〜エネルギーコストが国民生活や経済活動に及ぼす影響について、
┃     総合的視点からの分析〜(常葉大学 経営学部 教授 山本 隆三氏)
┃   (3月16日)
┃    ・「原子力利用に関する基本的考え方」について
┃     原子力委員による議論〜盛り込むべき事項(5)〜
┃     (各論:廃止措置及び放射性廃棄物への対応)
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

放射線の利用について−その10
                              中西 友子

 これまで何回かに渡り、中性子線の透過度を利用した画像取得について紹介
してきたが、今回は中性子線を照射する元素の分析法、いわゆる放射化分析法
について紹介したい。この分析法は半世紀以上も前から行われてきた方法であ
るが、研究用原子炉内に試料を挿入するだけで多元素の分析ができる手法であ
る。
 運転中の原子炉中に非常に多く存在する熱中性子は、電荷を持たず速度も遅
いため容易に試料を構成する元素の原子核に吸収されて核反応を引き起こす。
 試料中の多くの金属元素の安定核種の原子核は、原子炉内で起こる熱中性子
捕獲(吸収)反応によりひとつ中性子の多い不安定(放射性)核種を生成する。
例えば、私たちの身の回りにある安定なアルミニウム(Al)は、Al-27である
が、原子炉の中に入れると、中性子の一つ多いAl-28を生成する。生成された
この核種は半減期が約2分のためすぐに消滅してしまうが、ナトリウム(Na)
の場合には、同様にNa-23から中性子の一つ多いNa-24が生成されるが、この
核種の半減期はAl-28より長く約15時間である。そこで、試料中にAlとNaが
混在している場合には、試料を原子炉から出して少し待てばAl-28は無くなり
Na-24だけが残る。また、もしAl-28が崩壊しきっていなくても、Al-28とNa-
24から放出されるガンマ線のエネルギーは異なるため、エネルギー分別ができ
る放射線検出器で測定すればAl-28とNa-24の量、ひいては試料中のAlとNa
を定量することができる。

 この研究用原子炉を用いる中性子放射化分析法は、金属元素の検出感度が他
の方法と比較して極めて高いため、かつての、カドミウムを始めとする環境の
重金属汚染が問題になった際の分析法としてよく用いられた。近年の分析機器
の発展により、研究用原子炉を必要とする放射化分析法はあまり使用されなく
なったものの、試料を原子炉内に挿入、取り出した後にガンマ線測定をすれば
よく、化学処理を行わなくても元素量が測定できるこの方法は、試料中の元素
の「絶対量」が測定できる唯一の手法であり、非常に重要な分析法である点は
変わらない。
 なぜなら、現在行われている他の分析手法では試料の化学処理が必須だから
である。試料を溶解して測定するということは、試料が全て溶解するかどうか
判らないという収率の問題と、使用する試薬に含まれる微量元素の混入を避け
ることができない、という二つの問題が避けられず、元素の「相対値」しか求
めることができないからである。

 この方法を用いると、例えば植物の各組織に含まれる多数の微量元素を一度
に測定することが可能である。かつてアサガオ等の生育期間における各組織中
の元素量を測定したことがある。その結果、植物は各組織によって含まれる各
元素の量が大きく異なることが判った。特に根から吸収された元素には地上部
に行きやすいものと行きにくいものがあり、地上部に運ばれにくい元素はその
殆どが根に溜まるため、根と地上部で元素含有量が大きく異なった。
 加えて、一枚の葉、一つの茎の中にも元素は均一に含まれていないことも
判った。さらに組織と組織の間、例えば茎と葉の間にも濃度ギャップが存在す
る。一般にマンガンとクロムを除き、重金属はその殆どは根から吸収されても
あまり地上部へは運ばれない。塩素や臭素などのガス化し易いハロゲン元素は
地上部に運ばれた後、一部は植物から失われていく。また、カリウムは葉と茎
の間にある葉柄の濃度が高い傾向があり、マンガンは古い組織ほど濃度が高く
なる。

 これらの元素分布のプロファイルは何と発芽して数日後には既に形成され、
その後、各元素の分布様式はずっと保たれるのである。何故、植物体内では元
素ごとに異なる分布が存在するのか、元素を吸収して運ぶ水の中には元素ごと
の異なる濃度勾配ができているのだろうか、等々、これら植物中の元素の動き
は水の動きとの関係も含め、まだ殆ど判っていないのが現状である。

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
 催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子
 力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●3月6日(月)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】「原子力利用に関する基本的考え方」について
原子力委員による議論〜盛り込むべき事項(4)〜
(各論:原子力利用の基盤強化、研究開発機関の役割、施設・設備、人材育成、
基礎研究)
<主なやりとり等>
 「原子力利用に関する基本的考え方」について、原子力利用の基盤強化、研
究開発機関の役割、施設・設備、人材育成、基礎研究の観点から事務局より説
明を行い、その後、委員の間で議論を行いました。

●3月10日(金)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】「原子力利用に関する基本的考え方」について
〜エネルギーコストが国民生活や経済活動に及ぼす影響について、総合的視点
からの分析〜(常葉大学 経営学部 教授 山本 隆三氏)
<主なやりとり等>
 「原子力利用に関する基本的考え方」について、エネルギーコストが国民生
活や経済活動に及ぼす影響について、総合的視点から、常葉大学経営学部教授
山本隆三氏より説明をいただき、その後、委員との間で質疑応答を行いました。

●3月16日(木)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】「原子力利用に関する基本的考え方」について
原子力委員による議論〜盛り込むべき事項(5)〜
(各論:廃止措置及び放射性廃棄物への対応)
<主なやりとり等>
 「原子力利用に関する基本的考え方」について、廃止措置及び放射性廃棄物
への対応に関して、事務局より説明を行い、その後、委員の間で議論を行いま
した。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・
 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、◆【New】マークを付けておりま
す。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
 URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
 ┣原子力防災会議
 ┃(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/ )
 ┣◆【New】原子力災害対策本部
 ┃(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/ )
 ┗原子力立地会議
  (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/ )

■内閣官房
 ┣原子力関係閣僚会議
 ┃(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/ )
 ┣最終処分関係閣僚会議
 ┃(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/ )
 ┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
 (http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html )

■経済産業省
 ┣東京電力改革・1F問題委員会
 ┗高速炉開発会議
 (http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html )

■資源エネルギー庁
 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
 ┃┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html )
 ┃┣原子力小委員会
 ┃┃┣自主的安全性向上・技術・人材WG
 ┃┃┣放射性廃棄物WG
 ┃┃┣地層処分技術WG
 ┃┃┗原子力事業環境整備検討専門WG
 ┃┗電力基本政策小委員会
 ┗総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
  ┃(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/ )
  ┗基本政策分科会
   ┣長期エネルギー需給見通し小委員会
   ┣発電コスト検証WG
   ┣電力需給検証小委員会
   ┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu )
   ┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
    (http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku
     /denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)

■原子力規制委員会
 ┗◆【New】原子力規制委員会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html )
  ┣合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html )
  ┣放射線審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html )
  ┣国立研究開発法人審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html )
  ┣量子科学技術研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html )
  ┣日本原子力研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html )
  ┣原子力規制委員会政策評価懇談会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html )
  ┣帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kikan_kentou/index.html )
  ┣原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html )
  ┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
   (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html )

■文部科学省
 ┣原子力科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm )
 ┃┣原子力人材育成作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm )
 ┃┣核融合研究作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm )
 ┃┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm )
 ┃┗研究施設等廃棄物作業部会
 ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm )
 ┣核融合科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm )
 ┃┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
 ┃ (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm )
 ┗調査研究協力者会議等(研究開発)
  ┗もんじゅの在り方に関する検討会
   (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/index.htm)

■復興庁
 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
 ┃(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html )
 ┗原子力災害からの福島復興再生協議会
 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html )

■環境省
 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
  る専門家会議
 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html )

■厚生労働省
 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896 )

━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

●次号配信は、平成29年3月31日(金)午後の予定です。

======================================================================
発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、阿部 信泰委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せ頂いた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
======================================================================
            
          

戻る