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第212号 原子力委員会メールマガジン
産業界、研究開発機関、大学の役割を踏まえた連携を
欧州委員会の第2、第3世代原子炉プログラム:NUGENIAを参考に


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2016年12月9日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃   (12月1日)
┃    ・岡原子力委員会委員長の海外出張報告について
┃    ・理解の深化 〜根拠に基づく情報体系の整備について〜(見解)
┃    ・軽水炉の利用について(見解)(電気事業連合会、関西電力株式
┃     会社、電源開発株式会社)
┃   (12月6日)
┃    ・九州電力株式会社玄海原子力発電所の発電用原子炉の設置変更許
┃     可(3号及び4号発電用原子炉施設の変更)について(諮問)
┃     (原子力規制庁)
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

産業界、研究開発機関、大学の役割を踏まえた連携を
欧州委員会の第2、第3世代原子炉プログラム:NUGENIAを参考に
                               岡 芳明

日本は産業界と研究開発機関、大学は担当省庁が異なり、これらの組織間の連
携や協力が極めて弱いと感じる。原子力利用における役割、生み出すプロダク
トもそれぞれ異なるので、ある意味ではこれは当然かもしれない。しかしなが
ら、仲間で小さいグループを作りがちな日本の社会においては、特に注意と改
善が必要ではないだろうか。

異なる組織間での情報交換、ブレインストーミング、共同作業を行うことで、
それぞれの役割をより良く果たすことができ、より良いプロダクトを生み出せ
るようになるはずである。

欧州における原子力エネルギー、特に核分裂エネルギーに関する研究開発は各
国がそれぞれの予算で行ってきた。また、欧州原子力共同体(EURATOM)があ
り、研究センターを運営している。更にこれらに加えて欧州委員会(EC)が加
盟各国の原子力研究開発の連携を図る取組を行っており、日本の原子力関係者
の連携を作り出す参考になると考えるので、紹介する。

欧州では欧州委員会によってフレームワークプログラムと呼ばれる取組が2000
年頃から行われていた。現在はHORIZON2020と呼ばれる広い分野のイノベー
ションプログラムの中に原子力関係のプログラムも位置付けられている。

特に参考となるのは、NUGENIAと呼ばれる第2、第3世代原子炉に関するプログ
ラムである。このプログラムに参加している欧州各国を日本の担当省庁に分か
れた各組織に当てはめて考えれば、その連携を図る上での参考になる。各組織
と既存の担当省庁との関係を変える必要はない。

NUGENIAはベルギーの法令に基づく国際的な非営利組織であり、安全で信頼性、
競争力のある第2、第3世代核分裂技術を統合する枠組みである。産業界、中
小企業、研究・訓練機関、アカデミア、技術支援機関との協働を推進している。
知識と専門性を築くとともに、価値ある成果を生み出すことを目的としている。
具体的には
・イノベーションの現出を促す。
・地域社会にとって役立つプロジェクトを成し遂げる。
・運転期間延長、新規建設、廃止措置など、直面する課題解決に必要な技能、
 能力とインフラを整備、開発する。
・意思決定プロセスへのNUGENIA構成員の関与を強化する
・プロジェクトトピックスの優先順位、R&D成果の価値づけを行い、NUGENIA
 の透明性を高めるため、
 −国際組織とのバランスのとれた協調を図る。
 −公共と私企業のR&Dプログラムの調和を図る。
ことを実践している。

現在に至る経緯は、以下のとおりである。
・2006年から2010年は構築期であり、NULIFE(運転期間延長ネットワーク)、
 SARNET(過酷事故研究ネットワーク)、GenII&III(第2、第3世代原子炉)
 のTWG(技術ワーキンググループ)、ENIQ(検査・資格ネットワーク)など、
 GenII&III研究の相互に異なる分野のネットワークが作られた。
・2011年は統合期であり、GenII&IIIのTWGとNULIFEを統合し、7機関を初期
 メンバーとして、NUGENIAが法的に確立された。
・2012年にNUGENIAとして正式に発足し、現在は103のメンバー,7つの名誉
 メンバー(24ヵ国)から構成されている。
・NUGENIAのプロジェクトは30のプロジェクトが終了又は実施中であり、2015
 年には19のプロジェクトが開始された。その資金は、60%が企業又は国の財
 源であり、40%がEC-EURATOMの予算となっている。

要点は
・各国の原子力プログラムと相補的にECプログラムを運営する。
・各国のエネルギー予算をシンクロナイズさせる。
・技術面で協調性のあるプログラムを作ることを目標に計画を作成する。
・価値あるネットワークを作ることに注力する。
・技術プラットフォームにはそのうち自立することを求める。関係者の協働を
 助ける。
・情報文書はホームページで開示し周知・共有する。
・評価は運営管理の質、インパクト、証拠を挙げさせ、結果を次の計画選定に
 反映する。
などである。

NUGENIAの成果としては、
・研究開発協力を進める上でNUGENIAのような組織が適していることを示した
 こと。
・透明性のあるオープンイノベーションプロセスを創り出したこと。
・プロジェクトをロードマップの枠内でボトムアップによって作り上げること
 を奨励したこと。
・エンドユーザーに対し、価値を持つプロジェクトをラベル化したこと。
・公的機関と私企業も関与して年毎の優先付けした作業計画を定めたこと。
・公衆への認知と関わりを増大させる計画となっていること。
・電力・メーカー、部品サプライヤー、安全組織、研究開発組織、アカデミア、
 中小企業の参画を図ったこと。
・欧州と国際的な相手機関とのバランスの取れた協調をしていること。
などが挙げられている。

NUGENIAの運営は理事長、副理事長と事務局長と少数の事務局員、事務支援の
コンサルタント会社で行われている。日本の原子力研究開発と利用においても
大いに参考になる点があるのではなかろうか。この枠組みでは産業界が大きく
参画しており、ECと共に費用を負担している点などが学会とは異なっている。

なお、米国の例では「軽水炉持続プログラム」をアイダホ国立研究所が中核ラ
ボとして実施している。これは軽水炉の運転期間として80年を見据えた研究を
行っているものであり、産業界とのコスシェアのプログラムとなっている。ア
イダホ国立研究所は材料、人材を提供し、ケーブルやコンクリートは産業界か
ら現物を供与する。両者間の主要な実施条件として、アイダホ国立研究所の成
果はオープンにする必要があることである。

米国における他の例では、オレゴン州立大学での産業界側のAP1000原子炉の熱
流動実験がある。RELAP5計算コード検証に原子力規制委員会(NRC)職員もオ
ブザーバーとして参加し、独立の報告書を作成した。従来は、産業界がNRCの
検証を受けるために多くのコストを要したが、RELAP5コードは許認可コード
であり、NRCが自ら検証、確認を行えば、産業界にもメリットがある。NRCは独
立した組織であるが、研究の重複は望んでいないとのことである。

参考資料
1.NUGENIA Roadmap 2013
2.Strategic Research and Innovation Agenda, February 2013
3.SNETP Deployment Strategy, December 2015
4.Horizon 2020 - Regulation of Establishment
5.Horizon 2020 Rules for Participation
など

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
 催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子
 力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●12月1日(木)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】岡原子力委員会委員長の海外出張報告について

<主なやりとり等>
 岡原子力委員会委員長の海外出張報告について、岡委員長より説明し、その
後、委員の間で質疑応答を行いました。

【議題2】理解の深化 〜根拠に基づく情報体系の整備について〜(見解)

<主なやりとり等>
 「理解の深化 〜根拠に基づく情報体系の整備について〜(見解)」の案文
を事務局より説明し、本件に対する原子力委員会のメッセージとして、見解を
取りまとめました。

【議題3】軽水炉の利用について(見解)(電気事業連合会、関西電力株式会
社、電源開発株式会社)

<主なやりとり等>
 軽水炉の利用について、電気事業連合会、関西電力株式会社及び電源開発株
式会社の方々と議論を行い、次回以降、当委員会の見解を示すこととしました。

●12月6日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】九州電力株式会社玄海原子力発電所の発電用原子炉の設置変更許可
(3号及び4号発電用原子炉施設の変更)について(諮問)(原子力規制庁)

<主なやりとり等>
 九州電力株式会社玄海原子力発電所の発電用原子炉の設置変更許可(3号及
び4号発電用原子炉施設の変更)について(諮問)について、原子力規制庁よ
り説明をいただき、次回以降、答申を行うこととしました。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・
 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、◆【New】マークを付けておりま
す。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
 URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■資源エネルギー庁
 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
 ┃┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html )
 ┃┣原子力小委員会
 ┃┃┣自主的安全性向上・技術・人材WG
 ┃┃┣放射性廃棄物WG
 ┃┃┣◆【New】地層処分技術WG
 ┃┃┗原子力事業環境整備検討専門WG
 ┃┗電力基本政策小委員会
 ┗総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
  ┃(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/ )
  ┗基本政策分科会
   ┣長期エネルギー需給見通し小委員会
   ┣発電コスト検証WG
   ┣電力需給検証小委員会
   ┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu )
   ┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
    (http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/
     denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)

■原子力規制委員会
 ┗◆【New】原子力規制委員会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html )
  ┣◆【New】合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html )
  ┣放射線審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html )
  ┣国立研究開発法人審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html )
  ┣量子科学技術研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html )
  ┣日本原子力研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html )
  ┣原子力規制委員会政策評価懇談会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html )
  ┣帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kikan_kentou/index.html )
  ┣原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html )
  ┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
   (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html )

■文部科学省
 ┣原子力科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm )
 ┃┣原子力人材育成作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm )
 ┃┣核融合研究作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm )
 ┃┣◆【New】核不拡散・核セキュリティ作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm )
 ┃┗研究施設等廃棄物作業部会
 ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm )
 ┣核融合科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm )
 ┃┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
 ┃ (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm )
 ┗調査研究協力者会議等(研究開発)
  ┗もんじゅの在り方に関する検討会
   (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/index.htm)

■復興庁
 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
 ┃(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html )
 ┗原子力災害からの福島復興再生協議会
 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html )

■環境省
 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
  る専門家会議
 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html )

■厚生労働省
 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896 )

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●次号配信は、平成29年1月13日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、阿部 信泰委員、中西 友子委員
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原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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