メールアイコン メールマガジン配信サービス

第208号 原子力委員会メールマガジン 福島県の営農再開に向けた試験地を訪ねて


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.208 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2016年10月14日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃   (10月6日)
┃    ・最終処分関係行政機関等の活動状況に関する評価報告書について
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

福島県の営農再開に向けた試験地を訪ねて
                              中西 友子

 福島県の除染特別地域であり共に除染作業が終了した川俣町の山木屋地区と
葛尾村を先日訪れる機会があった。これらの地域では今後の営農再開に向け、
農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センター、福島県農業総合セン
ター、並びに近隣の各県農業関連センターや試験場が共同し、農業の再開に向
けての研究を行っているが、今回はその状況について若干述べてみたい。

 平成23年3月11日の東京電力福島原子力発電所の事故以降、落下した放射
性物質を除去するため表土を5cmも剥ぎ取ることになったが、これは農作物栽
培にとってとても大変なことである。まず述べておきたいことは、土壌とは
100年間で僅か数mmしか生成されない貴重な資源であり、今回除去された表土
とは、何百年もかかって生成されてきた農業基盤そのものだからである。
 農地の除染作業では、除去された土壌の厚さと、その後運び込まれた山砂の
厚さが均一ではないため、場所により残された表土と山砂の割合が異なる結果
となった。しかし、この割合を農地全体で均一にすることはまず不可能とのこ
とである。そして山砂では作物が育たないので、表面に残った僅かな土壌と山
砂が一緒の状態で、どのように作物を育てることができるかについては、現場
での栽培試験結果からでしか予測を立てることができない。それは気の遠くな
るような地道な作業が必要であるが、訪問した試験区では担当職員により黙々
と実行され始めていた。

 一方、土壌の除去には重機が使われたので、重機の重さで農地が圧縮され土
質が変わっただけでなく、排水ができなくなり、農地には水が溜まっていた。
そのような場所は排水設備を整え直す必要があり工事も予定されていた。また、
少し傾斜のあるところでは、残された貴重な表土がどの程度流出するかを調べ
るための、長い水受けの装置が設置されていた。

 農業の再開の手順の一つとして、まず、農地に同一植物を植える試みが始
まっていた。同じ植物で農地を埋め尽くすように育てることができなければ、
それに続いて生育させる農作物を均一に育てることはできないからである。早
く育つだろうと南方由来の種子を農地に撒いたところでは、元から生育してい
た雑草が農地のあちこちから生えてきて、育ち始めた植物よりも早く育ってい
た。そのため、また埋め尽くす植物の選び直しと生育試験が必要とのことだっ
た。ただし、試験場での実験結果が良かったからといって、実際の現場の農地
で同じ結果が得られるとは限らないということである。しかし、植物の選択に
始まり生育方法の改良など、現場で新たに考え出した工夫が多く目を引いた。

 他方、除草剤を用いて植物を殆ど除去した場所では、試しに植えられたイネ
の穂が垂れ始めていた。しかし、よく穂を見ると、全体が黄金色と言われるよ
うな、通常見られる真っ黄色で埋め尽くされた稲穂畑ではなく、あちこちの穂
にはまばらに緑がかった種子が混ざっていた。また、除草剤の影響もあり、よ
く育っていない株も見られた。ここで栽培された農作物が均一となり品質の確
保ができるようになるためにはまだ長い年月が必要だろう。

 牧草を育てていた試験地でもやはり植物を生育させる葛藤が続いており、色
々な植物を植えては年3回も刈り取りをしていた。カリウムを施肥すると植物
の放射性セシウム吸収が低減するものの、カリウムの多い牧草は牛に害を与え
るとのことであった。

 事故発生からの5年間、そのまま手つかずに経過した農地には雑草だけでな
く柳など灌木が生え始めている。灌木は耕運機では除去できず、全て手作業で
除去する必要があるという。

 これら現場で地道な活動をされてきている人たちの努力があって初めて、営
農再開の道筋を立てることができるし、これらの検討なしには農業の再開は望
めない。福島復興支援の一つの重要な課題である営農再開に向けて、これらの
地道な活動を更に支援していく必要性を強く感じた。

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
 催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子
 力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●10月6日(木)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】最終処分関係行政機関等の活動状況に関する評価報告書について

<主なやりとり等>
 最終処分関係行政機関等の活動状況に関する評価報告書について、事務局よ
り最終処分関係行政機関等の活動状況に関する評価報告書及び最終処分関係行
政機関等の活動状況に関する評価報告書についての原子力委員会決定文案につ
いて説明を行い、案のとおり決定を行いました。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・
 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、◆【New】マークを付けておりま
す。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
 URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■資源エネルギー庁
 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
 ┃┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html )
 ┃┣原子力小委員会
 ┃┃┣自主的安全性向上・技術・人材WG
 ┃┃┣放射性廃棄物WG
 ┃┃┣地層処分技術WG
 ┃┃┗原子力事業環境整備検討専門WG
 ┃┗電力基本政策小委員会
 ┗総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
  ┃(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/ )
  ┗基本政策分科会
   ┣長期エネルギー需給見通し小委員会
   ┣発電コスト検証WG
   ┣電力需給検証小委員会
   ┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu )
   ┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
    (http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/
     denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)

■原子力規制委員会
 ┗◆【New】原子力規制委員会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html )
  ┣合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html )
  ┣放射線審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html )
  ┣国立研究開発法人審議会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html )
  ┣量子科学技術研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html )
  ┣日本原子力研究開発機構部会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html )
  ┣原子力規制委員会政策評価懇談会
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html )
  ┣帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム
  ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kikan_kentou/index.html )
  ┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
   (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html )

■文部科学省
 ┣原子力科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm )
 ┃┣原子力人材育成作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm )
 ┃┣核融合研究作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm )
 ┃┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm )
 ┃┗研究施設等廃棄物作業部会
 ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm )
 ┣核融合科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm )
 ┃┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
 ┃ (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm )
 ┗調査研究協力者会議等(研究開発)
  ┗もんじゅの在り方に関する検討会
   (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/index.htm)

■復興庁
 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
 ┃(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html )
 ┗原子力災害からの福島復興再生協議会
 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html )

■環境省
 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
  る専門家会議
 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html )

■厚生労働省
 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896 )

━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

●次号配信は、平成28年10月28日(金)午後の予定です。

======================================================================
発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、阿部 信泰委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せ頂いた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
======================================================================
            
          

戻る