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第192号 原子力委員会メールマガジン 放射線の利用について−その4


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2016年2月12日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (2月2日)
┃   ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構における試験研究炉の現
┃    状と課題について
┃    (国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 理事 三浦幸俊氏)
┣ 原子力関係行政情報
┣ 就任挨拶
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・

放射線の利用について−その4
                              中西 友子

 前回紹介したように、X線では金属のような重い元素の像が得られるが、中
性子線を照射すると、逆に、水素のような軽い元素の像を得ることができる。
そこで、今回は中性子ラジオグラフィを利用した工業応用について述べてみた
い。

 まず、自動車などのエンジンに中性子線を照射すると何が見えるのかという
と、この場合は、エンジンを形作る金属部分ではなく、その中に入った水素を
含むエンジンオイルの像がはっきり見えるのである。エンジンの開発にはエン
ジンの形状と同時にオイルの動きが見えることが機能向上に重要な知見を与え
るので、中性子線照射はエンジン開発の有用なツールである。同様に、水など
を送るポンプなどの開発では、ポンプそのものの構造体よりも、中を通す液体
を特異的に可視化させる中性子ラジオグラフィがポンプの機能評価には必要で
ある。

 一方、飛行機の開発では、中性子ラジオグラフィは、飛翼部分の可視化にも
利用されてきている。翼の内部は、周知のように、鋼材がハニカム構造と呼ば
れる六角形の形に組み立てられている。飛行機が上空を飛行して地上に戻って
くると、気圧の差によりこの鋼材の周りに水滴がつくが、翼の外側からでは見
ることができない。いつも水が多く付着する部分では腐食などが起きやすいだ
ろう。そこで、中性子線を照射してどこにどの位の水が付くかを可視化解析で
きれば、鋼材の微細な変化も早い段階から知ることができることとなる。一方、
翼にX線を照射した像からは、ハニカム構造自体の形状全体がきちんと保持さ
れているかどうかを確認することができる。そのため、X線像と中性子線像の
両方を合わせると、飛翼について、疲労を含む機能変化の詳細な知見を得るこ
とができるのである。

 さらに、現在、中性子ラジオグラフィの利用が最も期待されているものの一
つに、コンクリートで作られた構造体の内部構造検査が挙げられる。コンク
リート中のひび割れなどの構造変化や水分の浸食などが、中性子ラジオグラ
フィにより可視化できるからである。コンクリートでできた建造物は建物だけ
でなく橋や道路も含め身近に沢山ある。これらの建造物は年数を経るに従って
劣化していく。かつて米国では、ニューヨークにあるブルックリン橋が突然落
下して大問題となった。日本でも老朽化した建物や橋などの検査や補強工事が
これからは次第に大きな社会問題になってくるだろう。全国に数多くかかって
いる橋にしても、劣化による内部構造の変化について、人間にX線を照射して
調べるように、中性子線を照射して内部を可視化診断できれば、どの橋が最も
老朽化しているのか、どの部分の補強が必要かなどが判ってくるだろう。必要
に応じた工事が必要に応じて行われるようになれば、工事費も有効に使うこと
ができる。目視や叩き、コンクリート中の腐食した鉄骨から漏れ出てくる鉄錆
の検出などに頼らざるを得ない橋の老朽化度の検査に、中性子ラジオグラフィ
というもっと有効な手段を加えたいものである。

 中性子線の利用は非常に応用範囲が広く、リチウム電池、コピー機など最先
端の科学技術分野でも研究への利用が期待されている。例えばコピー機では周
りの金属部分ではなくトナーの部分を取り出した像を撮ることができるため、
コピーをする度にどのようにトナーの粉が回転するのかを動画として調べるこ
となども可能である。

 次回は、このような中性子線はどのように発生させるのかについて紹介する。

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
 催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子
 力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●2月2日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構における試験研究炉の現
状と課題について(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 理事 三浦幸
俊氏)
<主なやりとり等>
 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構における試験研究炉の現状と課題
について、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構理事三浦幸俊氏より説明
がありました。委員からは、意識改革や人材育成等について質問や意見があり
ました。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・
 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、◆【New】マークを付けておりま
す。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
 URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■資源エネルギー庁
 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
 ┃┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html )
 ┃┣原子力小委員会
 ┃┃┣自主的安全性向上・技術・人材WG
 ┃┃┣放射性廃棄物WG
 ┃┃┣地層処分技術WG
 ┃┃┗◆【New】原子力事業環境整備検討専門WG
 ┃┗◆【New】電力基本政策小委員会
 ┗総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
  ┃(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/ )
  ┗基本政策分科会
   ┣長期エネルギー需給見通し小委員会
   ┣発電コスト検証WG
   ┗電力需給検証小委員会
   (http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu )

■原子力規制委員会
 ┣合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html )
 ┣◆【New】放射線審議会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html )
 ┣国立研究開発法人審議会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html )
 ┣◆【New】放射線医学総合研究所部会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html )
 ┣日本原子力研究開発機構部会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html )
 ┣原子力規制委員会政策評価懇談会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html )
 ┣帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kikan_kentou/index.html )
 ┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
  (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html )

■文部科学省
 ┣原子力科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm )
 ┃┣◆【New】原子力人材育成作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm )
 ┃┣核融合研究作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm )
 ┃┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm )
 ┃┗研究施設等廃棄物作業部会
 ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm )
 ┣核融合科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm )
 ┃┗◆【New】原型炉開発総合戦略タスクフォース
 ┃ (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm )
 ┗調査研究協力者会議等(研究開発)
  ┗もんじゅの在り方に関する検討会
   (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/019/index.htm)

■復興庁
 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
 ┃(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html )
 ┗原子力災害からの福島復興再生協議会
 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html )

■環境省
 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
  る専門家会議
 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html )

■厚生労働省
 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896 )

━・・・━━ 就任挨拶 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

 本年1月1日付けで、当室に着任しました。
 40年間強を原子炉プラントメーカーにて、主としてFBR、高温ガス炉等の
新型炉分野の開発研究、設計・製作、プロジェクト、事業戦略等に従事してき
ました。今回の立場での業務は全く初めて故、まだ手探り状態でありますが、
諸先輩のご指導の下、誠心誠意努めて参りたいと思います。
 我が国の原子力技術は、広く国民の貴重な財産と考えております。一市民の
目線に立って、この財産を国民のため、人類のために、少しでも役立てるよう
微力ながら業務に精進するつもりです。宜しくお願い申し上げます。
(皆月)

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●次号配信は、平成28年2月26日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、阿部 信泰委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せ頂いた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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