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第187号 原子力委員会メールマガジン 人材育成と継続教育


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.187 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2015年11月27日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (11月13日)
┃   ・科学的有望地の要件・基準に関する総合資源エネルギー調査会
┃    地層処分技術WGでの検討状況等について(資源エネルギー庁)
┃   ・原子力利用の「基本的考え方」について
┃    (東京大学大学院教授 山口 彰氏)
┃   ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営
┃    に関する目標(中長期目標)の変更について(諮問)
┃    (文部科学省)
┃  (11月17日)
┃   ・原子力利用の「基本的考え方」について
┃    (エネルギー計画コンサルタント 宮沢 龍雄氏)
┃   ・国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営
┃    に関する目標(中長期目標)の変更について(答申)
┃  (11月24日)
┃   ・原子力利用の「基本的考え方」について
┃    (一橋大学大学院 教授 秋山 信将氏)
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・

             人材育成と継続教育             

                               岡 芳明

 専門的人材の不足と俯瞰的能力を持つ人材育成の必要性が、安全規制、廃炉、
放射性廃棄物、国際展開など、原子力のいろいろな分野で叫ばれている。人材
育成は、大学など教育機関の仕事と考えられがちであるが、人材育成の対象範
囲は広く、教育機関だけの仕事ではない。

 大学、研究開発機関、企業それぞれで、人材育成に果たすべき役割がある。
研究開発機関や企業の人材育成は、継続教育とも呼ばれる。

 大学、研究開発機関、企業が生み出すべきプロダクト(成果物)は、異なる。
それぞれが人材育成で果たすべき役割も、プロダクトや仕事と密接に関係して
いる。大学のプロダクトは学生(大学生)や研究論文等であり、研究開発機関
は利用のための知見の集積と体系化等であり、企業は製品やサービスである。

 プロダクトを生み出す過程で、人材育成も行われる。仕事と関係した人材育
成で1番直接的なものは、オン・ザ・ジョブトレーニングと呼ばれ、仕事をし
ながら仕事を覚える教育である。しかし、これだけでは、基礎的知見の拡充の
みならず、最善の知見を見出したり、適確な研究開発テーマを設定したりする
のに必要な、俯瞰的な知識と能力を持つ、厚みのある人材を育成するのは困難
である。

 人材育成をするためには、その基盤となる厚く集積された知見や知識が必要
である。それらは、教科書、演習書、研修資料、研究開発報告書、研究論文な
どにまとめられている。産業界の製品やサービスの情報も、大学や研究開発機
関において参照される必要がある。産業界の製品やサービスのための人材育成
でも、社会で共有される厚く広い知見や知識が、その基盤として必要になる。

 俯瞰的能力は、教科書や研修資料などの人材育成資料の作成のみならず、研
究開発の計画・実施・成果の取りまとめ、報告書の作成、関連分野の情報収集
や関連機関との情報交換や共同作業を行うことで養うことができる。産業界の
担当する製品やサービスに関するプロダクトを生み出す過程でも、同様の効果
があるのではなかろうか。

 育成する人材のイメージとしてI型人材、T型人材という言葉がある。I型人
材は専門分野に関する広く深い知見とその応用能力を持つ人材であり、T型は
I型のあと専門分野を他分野に広げ、組織管理能力も身に着けた人材である。
実際はI型で、ある専門分野の仕事をしていても関連分野の理解や経験をして、
広い理解や応用能力を身に着けることが望ましいので、上に行くほど【時間が
たつほど】太くなるI型のイメージであろう。I型人材もT型人材も、仕事の仕
方によって俯瞰的能力を養うことができるはずである。

 研究開発機関において俯瞰的能力を持つ人材の育成には、プロジェクトの研
究開発の報告書を作成し、ピアレビューを受けて公開する作業が役立つであろ
う。実験を含む研究成果をとり入れた計算コード(プロダクションコード)の
作成や、それを利用に供することも人材育成に役立てることができる。

 日本では、炉物理や核データ分野で計算コードがつくられ、その利用を通し
て大学等での人材育成にも役立っている。原子炉静特性の分野だけではなく、
原子炉動特性、制御、原子炉安全解析とつながる分野においても類似の作業が
行われれば、原子炉の設計と解析や安全性について、俯瞰的能力を持つ人材が
育成できるはずである。

 自前の原子炉過酷事故解析コードの開発と利用も、この分野の人材育成に役
立つ。日本では、計算コードは米国のものを利用できる機会が多かったが、そ
れらの計算コードの知的所有権は米国にあるので、自前の計算コードを持つ必
要性は高い。それのみならず、知識の体系化や人材育成の点でも、重要である
ことを指摘したい。

 自分は東電福島事故の後、最初は事故の理解と解説のため、その後は研究の
ために、原子炉過酷事故挙動を勉強した。その時、役に立ったのは、米国の原
子力規制委員会の原子炉安全の研修資料とその参考文献に挙げられた国立研究
所の研究開発報告書、欧州の過酷事故研究ネットワークが作った人材育成セミ
ナーの資料、さらには、米国原子力規制委員会が作り世界で利用に供している
過酷事故解析コードとその利用のためのマニュアル、さらにはその参考文献で
ある。

 米国原子力規制委員会の研修資料の作成には、永年過酷事故研究にたずさわ
り、ACRS(原子炉安全諮問委員会)の委員でもある国立研究所の研究者が貢献
している。研究開発の最先端と人材育成とが密接に結びついていることは、
もっと理解されてよいのではないか。

 産業界における人材育成については、経験もないので述べることは差しひか
えるが、その製品(軽水炉)やサービス(プラント運転や保守)の情報は、知
的財産権にふれない範囲でなるべく開示し、大学や研究開発機関でも参照し、
人材育成や研究に利用できるようにすることが、製品に関する知的基盤の強化
や、採用する学生の能力向上などにとって役立つ。このことは、地震、津波、
火山など、従来の原子力工学にはない他分野との連携や理解を図る上でも、重
要であろう。

 原子力発電を導入する新興国の原子力人材育成への協力については、対象が、
行政官、大学教員、研究者、原子力発電技術者など巾広いので、だれを対象に
人材育成するのかを明確にして、それぞれに適した方法で育成を図る必要があ
る。原子力発電導入国の技術者育成は、予算的手当てがなされれば、たとえば
研究開発機関と電力会社の研修センターの協力が得られれば可能ではないか。

 なお、中国では、原子力発電が急拡大したが、そのための原子力発電技術者
の育成は、大学の動力学科(機械工学科)や電気工学科で学んだ学生に、原子
炉や放射線の集中教育を行うことが主体であったと理解している。日本が新興
国の原子力発電技術者の育成に協力する場合は指導者の育成を主眼にするのが
良いのではないか。

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
 催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子
 力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●11月13日(金)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】科学的有望地の要件・基準に関する総合資源エネルギー調査会
     地層処分技術WGでの検討状況等について(資源エネルギー庁)
<主なやりとり等>
 資源エネルギー庁等より、科学的有望地の要件・基準に関する総合資源エネ
ルギー調査会地層処分技術WGでの検討状況等について、説明がありました。委
員からは、科学的有望地選定における火山や活断層からの距離、人口密集地等
について質問や意見がありました。

【議題2】原子力利用の「基本的考え方」について
    (東京大学大学院教授 山口 彰氏)
<主なやりとり等>
 原子力委用の「基本的考え方」について、東京大学大学院教授山口彰氏より
御意見を聴取しました。山口氏からは、原子力に関する国民の意識の統計に基
づき説明がありました。委員からは、国への信頼向上、国際面での具体的期待
等について質問や意見がありました。

【議題3】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に
     関する目標(中長期目標)の変更について(諮問)(文部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業
務運営に関する目標(中長期目標)の変更について(諮問)について説明があ
りました。委員からは、予算関連の質問等がありました。

●11月17日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】原子力利用の「基本的考え方」について
    (エネルギー計画コンサルタント 宮沢 龍雄氏)
<主なやりとり等>
 原子力委用の「基本的考え方」について、エネルギー計画コンサルタント宮
沢龍雄氏より御意見を聴取しました。宮沢氏からは、原子力の飛躍・発展のた
めにはイノベーションが重要である旨等説明がありました。委員からは、予算
や技術関連、利用と規制のバランス等について質問や意見がありました。

【議題2】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に
     関する目標(中長期目標)の変更について(答申)
<主なやりとり等>
 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構が達成すべき業務運営に関する目
標(中長期目標)の変更について(答申)について、事務局より説明し、案の
とおり答申が行われました。

●11月24日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】原子力利用の「基本的考え方」について
    (一橋大学大学院 教授 秋山 信将氏)
<主なやりとり等>
 原子力委用の「基本的考え方」について、一橋大学大学院教授秋山信将氏よ
り御意見を聴取しました。秋山氏からは、国際的な原子力平和利用等について
説明がありました。委員からは、海外の動向や技術等について質問や意見があ
りました。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・
 原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、◆【New】マークを付けておりま
す。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
 URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■資源エネルギー庁
 ┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
 ┃┃(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html )
 ┃┗原子力小委員会
 ┃ ┣自主的安全性向上・技術・人材WG
 ┃ ┣◆【New】放射性廃棄物WG
 ┃ ┣地層処分技術WG
 ┃ ┗原子力事業環境整備検討専門WG
 ┗総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
  ┃(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/ )
  ┗◆【New】基本政策分科会
   ┣長期エネルギー需給見通し小委員会
   ┣発電コスト検証WG
   ┗電力需給検証小委員会
   (http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu )

■原子力規制委員会
 ┣合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html )
 ┣放射線審議会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html )
 ┣国立研究開発法人審議会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html )
 ┣◆【New】放射線医学総合研究所部会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html )
 ┣日本原子力研究開発機構部会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html )
 ┣原子力規制委員会政策評価懇談会
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html )
 ┣帰還に向けた安全・安心対策に関する検討チーム
 ┃(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/kikan_kentou/index.html )
 ┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
  (https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html )

■文部科学省
 ┣原子力科学技術委員会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm )
 ┃┣原子力人材育成作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm )
 ┃┣核融合研究作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm )
 ┃┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
 ┃┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm )
 ┃┗研究施設等廃棄物作業部会
 ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm )
 ┗核融合科学技術委員会
  ┃(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm )
  ┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
   (http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm )

■復興庁
 ┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
 ┃(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html )
 ┗原子力災害からの福島復興再生協議会
 (http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html )

■環境省
 ┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
  る専門家会議
 (https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html )

■厚生労働省
 ┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
 (http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896 )

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●次号配信は、平成27年12月11日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、阿部 信泰委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せ頂いた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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