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第177号 エネルギー需給見通し(いわゆる「エネルギーミックス」)と原子力発電


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2015年6月26日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと エネルギー需給見通し(いわゆる「エネルギーミック
┃          ス」)と原子力発電
┣ 会議情報 
┃  (6月16日)
┃   ・四国電力株式会社伊方発電所の発電用原子炉の設置変更許可(3号
┃    発電用原子炉施設の変更)について(答申)
┃   ・福島第一1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの改
┃    定について(経済産業省資源エネルギー庁)
┃   ・原子力利用の「基本的考え方」について(21世紀政策研究所研究主
┃    幹 澤昭裕氏)
┃   ・岡原子力委員会委員長の海外出張報告
┃  (6月23日)
┃   ・原子力利用の「基本的考え方」について(日本エネルギー経済研究
┃    所理事長 豊田正和氏)
┃   ・IFNEC(国際原子力エネルギー協力フレームワーク)運営グ
┃    ループ会合の結果概要について
┣ 事務局だより 就任挨拶
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━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

エネルギー需給見通し(いわゆる「エネルギーミックス」)と原子力発電

                              阿部 信泰

 今回は私が経済産業省の「エネルギー需給見通し(いわゆる「エネルギー
ミックス」)」に関するパブリックコメント募集に応えて提出した意見を皆様
とシェアさせていただきます。前回の原稿と重複する部分がありますが、その
後いただいたコメントも踏まえて改訂し、パブリックコメントの長さ制限を踏
まえて短くし、要旨を付けたものです。提案も入っています。もちろん、これ
はあくまでも私の意見でありまして、原子力委員会全体の意見を表すものでは
ありません。

 [要旨] 安全性を審査する規制委員会の判断に間違っても予断を与えないた
め、原子力発電の目標割合にはもっと幅を持たせて例えば18〜24%としてはど
うか。(可能な限り低減」に期待する方々の失望を軽減する効果もある。)

 1.今回のエネルギー需給見通しの策定にあたっては、自然エネルギーと原
子力の比重を合計××%にして自然エネルギーを○○%、原子力を△△%という
議論がなされたようですが、この両者は本来各々が別個に議論されるべきもの
で、一方が増えれば他方が減るという(Trade-offの)関係にはないと思いま
す。地球温暖化防止のため自然エネルギー利用をできるだけ広げようというコ
ンセンサスに近いものがあり、それは技術的・経済的に可能な限り拡大すれば
よいので、上限のようなものは設定しない方がよいのではないでしょうか。
 2.原子力については、依然、国民の間にその安全性について強い不安があ
り、将来的に止めるか、大幅に削減すべきだという意見がかなり広く支持され
ています。それを反映したのが、エネルギー基本計画の冒頭にあった「原発依
存度を可能な限り低減する」というくだりだったかと思います。確かに「省エ
ネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、」と
いう実現の方法が間に入ってはいますが、素直に読めば「可能な限り低減す
る」というのがメッセージだったわけで、福島事故以前の20%台の水準からわ
ずかだけ下げたというのでは多くの人には納得し難いのではないでしょうか。
 3.この高めの原子力利用目標を達成するためには、原子炉の稼働年数を40
年から20年延長するか、稼働率を上げる必要があります。これを認めるかどう
かは原子力規制委員会が様々な規定を詳しく審査して結果を出すわけですが、
福島原発事故の苦い経験から得た重要な教訓として安全審査機関の独立性を尊
重して経済性・経営視点などから妥協を強いてはいけないということがありま
す。どの程度になるかはこれから規制委員会が独自に安全性を最優先にして判
断すべきで、何%を合格させるべきだという目標を予め設定すべきではないと
考えられます。
 4.もう一つの方法は稼働率を上げることですが、現在の規定では13か月
操業した後、原発を停止して定期検査を受けることになっています。この定期
検査の間隔を延ばすか、検査期間を短くすることです。定期検査の間隔を延ば
すというのは、安全性重視の視点からなかなか支持は得られないでしょう。よ
り実際的なのは検査期間を短くすることですが、これも規制委員会の独自の努
力によって審査の能率を上げて、定期検査の期間を短縮できればそれに越した
ことはありませんが、外部から早くやれと圧力をかけて安全性の検査をないが
しろにすることがあってはいけません。
 5.見通しは作成せざるを得ませんが、規制委員会に間違っても圧力をかけ
ないためには、原子力発電20〜22%という数字を例えば18〜24%ともっと幅を持
たせて規制委員会の独立した判断に予断を与えないという慎重な姿勢を示して
はいかがかと考えます。(それでは温暖化対策目標が策定できないという意見
があるかもしれませんが、そもそも今回の目標は自主的な目標ですからある程
度幅を持った目標でもよいのではないでしょうか。)

●次号は中西委員からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開
催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子力
委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●6月16日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】四国電力株式会社伊方発電所の発電用原子炉の設置変更許可(3号
発電用原子炉施設の変更)について(答申)
<主なやりとり等>
 前回委員会で原子力規制委員会原子力規制庁より説明のあった、四国電力株
式会社伊方発電所の発電用原子炉の設置変更許可(3号発電用原子炉施設の変
更)について、事務局より、発電用原子炉が平和の目的以外に利用されるおそ
れがないものと認められるとする原子力規制委員会の判断は妥当とする答申案
の説明を行い、原子力委員会として、案のとおり答申することとしました。

【議題2】福島第一1〜4号機の廃止措置等に向けた中長期ロードマップの改
定について(経済産業省資源エネルギー庁)
<主なやりとり等>
 経済産業省資源エネルギー庁より、福島第一1〜4号機の廃止措置等に向け
た中長期ロードマップについて、リスク低減の重視、目標工程の明確化、徹底
した情報公開等の観点から改定を行った旨の説明がありました。委員からは汚
染水の処理に関する今後の見通し、国際的な情報公開の実施状況等の質問があ
りました。

【議題3】原子力利用の「基本的考え方」について(21世紀政策研究所研究主
幹澤昭裕氏)
<主なやりとり等>
 原子力委員会で議論を進めている原子力利用の「基本的考え方」の策定に向
けて、21世紀政策研究所研究主幹 澤昭裕氏より御意見を聴取しました。澤氏
からは、今後原子力発電を続けていくのであれば、政治的な支持は前提である
こと、ファイナンス面での支援が必要であること、技術的なイノベーションを
促進する安全規制が必要であること、原子力政策の一元的な司令塔が必要であ
ること等の説明がありました。委員からは、エネルギーセキュリティの観点か
ら原子力をどのように考えているか等について質問がありました。

【議題4】岡原子力委員会委員長の海外出張報告
<主なやりとり等>
 岡原子力委員会委員長は、6月7日(日)から10日(水)にかけて米国・サ
ンフランシスコを訪問、カリフォルニア大学バークレー校で開催される「環太
平洋フォーラム」にて講演し、その後原子力関係者と意見交換を行いました。

●6月23日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】原子力利用の「基本的考え方」について(日本エネルギー経済研究
所 理事長 豊田正和氏)
<主なやりとり等>
 原子力委員会で議論を進めている原子力利用の「基本的考え方」の策定に向
けて、日本エネルギー経済研究所 理事長 豊田正和氏より御意見を聴取しま
した。豊田氏からは、国際エネルギー情勢、エネルギーに係る安全保障、エネ
ルギー源別のCO2排出量やコスト等についての説明がありました。委員から
は、電力価格の各国の違いとその要因、日本の今後の人口動向と電力使用量の
見込み等について説明がありました。

【議題2】IFNEC(国際原子力エネルギー協力フレームワーク)運営グ
ループ会合の結果概要について
<主なやりとり等>
 中西原子力政策担当室次長より、IFNEC(国際原子力エネルギー協力フレー
ムワーク)運営グループ会合の結果概要について説明があり、委員からは、原
子力輸出の輸出信用に係るガイドライン等についての質問がありました。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━ 事務局だより ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

就任挨拶

 4月1日から参事官として事務局に着任いたしました。最終処分、原賠制度見
直し、それとこれは原子力委員会の外の業務になりますが、原発資機材の輸出
関連の公的信用付与に伴う安全配慮等確認を担当しております。私自身、原子
力利用に関する基礎知識の乏しいことを日々痛感しておりますが、委員各位の
御指導の下、精進してまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

(川合)

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●次号配信は、平成27年7月10日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せ頂いた御意見に対しては、
原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
だきます。)
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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