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第162号 原子力委員会メールマガジン 身のまわりの放射性元素について(その3)


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.162 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2014年11月14日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと 身のまわりの放射性元素について(その3)
┣ 会議情報 
┃  (11月7日)
┃   ・第3回日英原子力年次対話の結果概要
┃   ・岡原子力委員会委員長の海外出張報告について
┃  (11月11日)
┃   ・原子力発電環境整備機構のこれまでの対応と改革への取組
┃   ・第15回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の
┃    開催について
┣ 事務局だより 自己紹介
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

身のまわりの放射性元素について(その3)

                              中西 友子
                              
 前回は地球に含まれる放射性核種としてカリウム40について述べたが、今
回は現在の原子力発電の燃料であり最も関心が高いと思われるウランについて
考えてみたい。
 原子力発電所の燃料として知られている放射性のウラン235は7億年の半減
期を持つ核種であるが、現在地球上で産出されるウランには約0.7%しか含ま
れていない。よってそれを濃縮することにより原子力発電所の燃料としてい
る訳だが、地球46億年の歴史を遡ると、かつてはウラン235の割合はかなり高
く、当時地球の各所に存在していたウラン235の濃度は、今私たちが発電用に
作っている濃縮ウランよりはるかに高かったことになる。46億年前まで遡ら
ずとも、20億年前の時点で地球に存在するウラン235の濃度は約5%であり現
在の濃縮ウラン並みであった。
 そこで、もし水の存在など自然条件がうまく合えば、天然の原子炉が出来て
も不思議はない。20億年前の条件を考え、この天然の原子炉の存在の予測をし
た人物はDr. P. K. Kuroda(黒田和夫)という日本の化学者である。彼は優れ
た化学者であり、理由あって戦後すぐに米国に渡ったものの、論争をした研究
者からは一目おかれる存在であったと聞く。彼は1956年に米国の著名な学術
雑誌(Journal of Chemical Physics)に、天然に原子炉ができる可能性につい
て短い論文を載せた。しかしこの論文は、1942年に世界で初めて米国のフェル
ミグループが人工的に原子炉を作成することに成功し多くの関心がそちらに向
いている風潮の影に隠れ、長い間無視されてきた。しかしその後、アフリカの
ガボン共和国オクロという場所でその証拠が初めて発見された。
 当時オクロではウラン鉱石の採掘を行っていた。鉱石中のウランは、その殆
どがウラン238(半減期:45億年)であり、先に述べたように原子炉燃料とな
るウラン235(半減期:7億年)はウラン全体の0.7%しか含まれていない。し
かしある場所で採掘されたウラン鉱中のウラン235とウラン238の比が著しく
低い、つまり、ウラン235の量がウラン238と比較してはるかに減少していた
ことが判った。そして、その原因を調べたところ、かつてウラン235の比が
0.7%よりもずっと高かった時に、天然のウラン235が自然に核分裂の連鎖反
応を起こし始め、長い時間をかけて燃えて無くなってしまったためだと判明し
たのである。つまり天然の原子炉が実際に稼働していたことが証明されたので
ある。
 ウラン235のような重い放射性核種は核分裂を起こし、沢山の、より小さな
核種に分かれる。この核分裂によって各々の核種の生成される割合は決まって
いて、できてくる原子核の量を小さな核種から順に並べていくと、そのプロ
ファイルはその核種特有の曲線となる。一方、ウランの大部分を占める、半減
期45億年のウラン238の方も徐々に崩壊し続けており、様々な放射性核種を作
り出している。その途中の核種にラドン(半減期:3.8日)という放射性のガ
スがある。ラドンという名はかつて映画になった怪獣ラドンや、ラドン温泉な
どに使われてきており、一般的にもかなり定着している元素名のひとつである。
以前、ラドン温泉の効用を専門の人に伺ったことがある。ラドンは希ガスであ
り化学反応は起こさない。そこで人間が吸い込むと脂肪組織に溜まり、放出さ
れるα粒子が近くの神経を刺激してリュウマチを軽減する効果があると聞いた。
 以上、今回はウランの天然原子炉の話題を中心に述べさせていただいた。こ
れまでは地球に存在する放射性核種について紹介してきたが、次回は空から地
上に降ってくる放射性核種について述べてみたい。

●次号は岡委員長からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎8号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●11月7日(金)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】第3回日英原子力年次対話の結果概要
<主なやりとり等>
 外務省より、10月9日、10日に開催された、第3回日英原子力年次対話の結
果概要について説明があり、委員からは、廃炉・除染に関する議論の状況等に
ついての質問がありました。

【議題2】岡原子力委員会委員長の海外出張報告について
<主なやりとり等>
 岡原子力委員会委員長より、11月3日(月)及び4日(火)にパリで開催された
第21回日仏原子力専門家会合(N-20)について、出席した原子力関係者との
意見交換の概要の説明がありました。

●11月11日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】原子力発電環境整備機構のこれまでの対応と改革への取組
<主なやりとり等>
 原子力発電環境整備機構より、従来行ってきた広報・広聴活動、技術開発の
取り組み及び、改革への取組みについて説明があり、自主改善の取組を継続す
ることの必要性等の意見がありました。

【議題2】第15回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の開催
について
<主なやりとり等>
 平成26年11月19日(水)、オーストラリア・シドニーにて、第15回アジア
原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合を開催します。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は11月25日(火)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

自己紹介

 今年7月、事務局に配属されました水野と申します。今回、初めて事務局だ
よりを執筆いたします。昭和52年生まれの千葉市出身で、妻と息子2人の4人
家族で暮らしております。平成15年に文部科学省に入省して以来、主に科学技
術行政の分野で仕事をしてきましたが、原子力分野については、これまで2部
署で計6か月間、原子力業務に携わりました。原子力政策担当室では、じっく
り腰を据えて様々な経験を積んでいきたいと思いますので、御指導、御鞭撻の
程、よろしくお願いします。

 仕事のことはさておき、休日は、忙しい子育ての合間を縫ってジムでのト
レーニングやジョギング、そして高校時代から続けているラグビーに勤しんで
おります。母校のOB・OG会に顔を出すこともありますが、活動の中心は10年
以上所属している社会人クラブチームで、リーグ戦や定期戦などに参加してい
ます。練習や試合の後は、首や肩、足の付け根から指先まで痛めますし、翌日
の出勤はつらいですが、他業種の方々と交流し、多くのステークホルダーに支
えていただきながら続けてきましたので、今後も体が動く限りは続けたいと
思っております。中には、80代、90代でも続けられる方もいて、神と崇められ
ておりますので、私も、少しでも神の領域に近づけるよう頑張りたいです。

 ところで、来年2015年は、イングランドでラグビー世界一を決めるラグビー
ワールドカップが開催され、日本代表も出場します。4年に1度のラグビーワー
ルドカップは、夏季オリンピック、FIFAサッカーワールドカップに次ぐ、世界
で3番目に大きな大会で、世界で述べ約40億人が視聴するとも言われておりま
す。
 これほどの大きな大会ですが、次々回の2019年には日本で開催されることを
御存じでしょうか?私の周りでは、意外と知っている方は少ないです。2020年
の東京オリンピック・パラリンピックばかりが注目されており、なんだか寂し
いものを感じることがあります。何とか認知度が上がるよう、この場をお借り
して周知させていただくとともに、私も子供達を秩父宮ラグビー場に連れて行
くなどして、できるところから応援していきたいと思っております。でも、子
供達にとっては、あの「ハカ」を踊って見せることの方が記憶に残るかもしれ
ません。

(水野)

●次号配信は、平成26年11月28日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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