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第153号 原子力委員会メールマガジン
放射能の農業への影響に関する研究報告会について


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2014年6月27日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと 放射能の農業への影響に関する研究報告会について
┣ 会議情報 
┃  (6月27日)
┃    ・民生用原子力協力に関する日米二国間委員会第3回会合の結果
┃     概要
┣ 事務局だより 細胞進化論
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

放射能の農業への影響に関する研究報告会について

                              中西 友子

 私が所属する東京大学大学院農学生命科学研究科では、2011年3月11日の
東日本大震災の直後から、現場に直接根付いた被災地支援調査研究を始めまし
た。そのほとんどが今でもボランティアベースでの活動ですが、約40〜50人
ほどの牧場、農場、演習林など様々な附属施設や本郷に居を持つ研究者たち
が、共同で農業面から自然環境と向き合う地道な調査研究を行っています。そ
して、得られた具体的な成果内容は、概ね3〜5ヶ月おきに、一般の人を対象
とした報告会を開き情報発信をしています。その報告会も先日の6月14日で
第9回目となりました。これまでに報告してきた内容は土壌、栽培、畜産、
水産、林産、鳥などの野生動物、サイエンスコミュニケーションなど多岐に
渡っています。これらの内容は全て農学部のホームページから動画として見る
ことができます。
 これまでの調査により色々なことがわかってきました。例えば、土壌に降り
注いだ放射性物質(おもに放射性のセシウム137ですが)は、降った地点に付
着して時間と共に殆ど動かないこと、山に降った放射性セシウムは、落ち葉な
どで地面に届いてもその下の土壌に次第に移っていき、あまり動かなくなるこ
と、山からの水そのものに含まれる放射性セシウムはほとんど検出することが
できないほど極微量なこと、動物に取り込まれた放射性セシウム137は、代謝
により数十日で体内の量が約半分に減っていくことなどです。
 種をまいてから収穫するまでは何か月もかかるように、農業の現場における
放射性物質の影響の調査・研究は長い時間が必要です。私たちは、今回起こっ
てしまった未曾有の災害に対し、これからも現地の人たちと一緒になって、
ずっと継続した研究を続けていきたいと考えています。

●次号は岡委員長からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●6月27日(金)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】民生用原子力協力に関する日米二国間委員会第3回会合の結果概要
について
<主なやりとり等>
 外務省より、2014年6月12日に東京で開催された民生用原子力協力に
関する日米二国間委員会第3回会合の結果概要についての説明があり、委員か
らは、東電福島事故対応に係る日米協力の成果等についての質問がありまし
た。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は7月1日(火)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

細胞進化論

 細胞一個は、ひとつの宇宙とも言えるほど神秘に満ちている。たった一つの
細胞である受精卵が、発生・分化して約60兆個の細胞となり人間を形成する。
 地球上の生命誕生期のシアノバクテリア(単細胞)から現代の人間までの進化
は、実は、細胞一個の進化ではないだろうか?  細胞が、単独で生きるのが有
利か、幾つかの細胞とチームを組んで生きるのが有利か、さらにどのような
フォーメーションのチーム編成にするのが有利か、生き残りを掛けて細胞チー
ム“人間”まで進化してきたように思える。
 細胞の進化過程も、自然現象のひとつと捉えれば、セントラルドグマは存在
すると考えられるが、進化(変異)の機構自体は、進化と共に変化・多様化し、
複数存在するはずである。
 学生時代に読んだ今西錦司先生の進化論によれば、進化は、種レベルや個体
群レベルで起こり、一個体が突然変異しても進化には繋がらないとのこと。そ
うすると種全体あるいは個体群全体に影響を及ぼす地域的な広がりをもった環
境変化等のストレスが、進化に必要と考えられる。しかも生命活動を含めた自
然は、通常、保守的に振る舞うから、それを打ち破るように進化には余程の強
いストレスが必要に違いないと思った。仮説を検証するためには、“ネズミ”
や“さる”を何万匹も半殺しの目に遭わせる実験が必要で、細胞チーム“人
間”の倫理に反し、検証は無理だと思った。
 ある免疫学の先生から、動物の自然淘汰は、殆んどが、胎内での個体発生時
の淘汰(Negative Selection)であると教えて頂いた。つまり環境順応の可否は、
胎内で判定されている。進化を誘起する強い環境ストレス下では、受精卵
(または淘汰メカニズム自体)が、環境に適応できるよう環境ストレスを緩和さ
せる方向に変化するのかもしれない。
 真偽が話題のSTAP現象は、分化した細胞群に、全体の約2割が生き残れる
程度(半殺しでなく8割が死ぬ程度)の強いストレスを与えると、生き残った細
胞は、小型化し、分化過程を逆戻りして万能性(pluripotency)を獲得する現象。
分化した細胞では生き残れないため逆戻りして順応範囲を拡げようとする
現象であれば、さらに染色体の転座など進化につながる現象の可能性もあるか
もしれない。 1日も早い科学的検証を期待しています。

(西村)

●次号配信は、平成26年7月11日(金)午後の予定です。

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