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第151号 原子力委員会メールマガジン 国際的にリードする


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.151 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2014年5月30日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと 国際的にリードする
┣ 会議情報 
┃  (5月22日)
┃    ・原子力の自主的・継続的な安全性向上に向けた提言(案)について
┃  (5月27日)
┃    ・第47回原産年次大会の報告について
┣ 事務局だより 世間話と合意形成
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━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

国際的にリードする

                               岡 芳明

 日本人は農耕民族であると言われている。「和をもって貴しとなす」の格言
があるように、日本人の競争を好まない協調性のある性格は、農耕を中心の閉
じた「村」社会のなかで、はぐくまれたのかもしれない。農耕社会では、競争
しても田や畑の面積は増えないので、お互いに競争するより協力する方がよ
かった。競争のない「村」に暮らすのは、確かに心持がよい。お互いむやみに
競争するより、協力し合って海外の技術を導入して先進国の仲間入りを目指し
た時代にはこれでよかったのかもしれない。しかし、こうした時代は、高度成
長とともにはるか昔に終了した。真似するものがなくなった時代が始まって、
既に四半世紀が過ぎた。この新しい時代のパラダイムに、我が国は充分対応し
てきたとは言いがたい。

 国際競争の先頭に立って走り続けるのは大変で、苦しくストレスも多い。常
に成功するとも限らない。膨大な努力とエネルギーも必要になる。しかし真似
するものがなくなった時代に対応するためには、「国内」という従来の視点、
国内という「村」の中でどうするかという視点から、「国際的にリードする」
という目標を掲げて努力することが必要ではなかろうか。「国際的にリードす
る」という視点や目標は、「世界で輝く日本を構築する」ためには日本の多く
の分野に共通と思うが、原子力分野も例外ではない。

 現在の日本の原子力の課題に通底する問題もこの点と関係すると感じている。
日本が原子力を始めた時は「原子力の国産化」が目標だった。原子力発電は比
較的短期間で電力需要の30%を超える供給を果たしたので、この目標は良い
目標だったと言えるかもしれない。しかし、このキャッチアップ型の目標や意
識を持ちつづけたことが、例えば「推進と規制の分離の不十分さ」を生み出し、
東電事故につながったと考えることもできる。確かに、原子力利用と関係する
多くのこと、例えば、日本列島へ電力供給、事故・避難対策、原子力研究開発
をどうするかなどは国内問題である。しかし、「国際的にリードする」視点で
これらの問題に対処すると、より広く深い便益や自信を日本全体にも地元にも
もたらすのではなかろうか。日本の優れた原子力技術や事故の痛切な経験を世
界で生かすのにも役立つのではなかろうか。

 「国際」という言葉は、これまでも原子力利用や計画で使われてきた。例え
ば、「国際協力」、「国際連携」という言葉がよく使われている。しかし、ど
ちらかというと、海外にある優れたものを日本に持ってくるとの視点で考えら
れ、運用されてきてはいなかっただろうか。出来上がったものを受身で利用す
るのと、世界をリードする視点で、課題を設定し、組織や予算を運用するのと
では、同じ「国際」でも内容や結果は大きく違う。「国際的にリードする」た
めには、問題を俯瞰したり、基礎から考えたりする能力、それを組織し運営す
るインフラや努力・能力が必要である。これは容易ではないが、まず「世界を
リードする」「国際的にリードする」目標をかかげ、意識し、チャレンジする
ことが原子力にとって必要ではなかろうか。
 競争や組織運営は、何のために競争するか、運営するかの大目標がまず必要
である。組織の構成員も大目標を意識して仕事をするのがよい。「世界に輝く
日本の再構築」は国家の目標である。「国際的にリードする」を、今後の日本
の原子力に共通する大目標にするとよいと考えるがいかがであろうか。それぞ
れの組織の目標は、この大目標との関連で設定するとどうであろうか。
 なお本来ならキャッチアップをするものがなくなり、先進国の仲間入りをし
た時から「国際的にリードする」を目標にしないといけなかったはずである。
なぜなら先進国の組織は常にそれを念頭において活動しているので。

●次号は阿部委員長代理からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●5月22日(木)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】原子力の自主的・継続的な安全性向上に向けた提言(案)について
<主なやりとり等>
 経済産業省資源エネルギー庁より、原子力の自主的・継続的な安全性向上に
向けた提言(案)について説明があり、委員からは、自主的な取組についての
インセンティブの仕組み、国としての評価等についての質問・意見がありまし
た。

●5月27日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】第47回原産年次大会の報告について
<主なやりとり等>
 一般社団法人日本原子力産業協会より、第47回原産年次大会の報告につい
て説明があり、委員からは、年次大会で出された意見がどのように活用される
のか等についての質問がありました。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は6月3日(火)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

世間話と合意形成

 民俗学者、宮本常一の「忘れられた日本人」にこんなエピソードがある。対
馬の海岸沿いにある村で、古文書を閲覧させて欲しいと著者が申し入れると、
皆に相談する必要があると言って、村で寄合が開かれるのだが、ここから話が
容易に進まなくなる。
 古文書を見せるか見せないかの単純な用件のはずが、話は常に脱線し世間話
に花が咲き、途中でふらりとやってきて、話に加わる人もいれば、帰ってしま
う人もいて、1日たっても2日たっても一向に結論が出ない。それでも、気長
に寄合を続けていると、なんとなく話がまとまっていく、という話だ。
 何かを決めるのに、まあ、なんとも効率の悪いことと思うが、両論が並びた
つ中で、何かを決める時に、効率よく議論を戦わせれば、どうしても対立軸が
明確になる。そこに、世間話が混じり、共通の話題によって、コミュニティの
一体感を確認することで、意見の違いはあっても、お互いに譲りあう気持ちが
生まれ、後にしこりを残さないといった効果があるのではないだろうか。
 こうした古くからのやり方に、狭い世間の中で、対立を避けながら、合意形
成を計っていくための優れたしくみがあるように思う。

(氏原)

●次号配信は、平成26年6月13日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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