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第141号 原子力委員会メールマガジン 新しい原子力委員会への期待:信頼回復に向けて


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2013年12月20日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと 新しい原子力委員会への期待:信頼回復に向けて
┣ 会議情報  (12月10日)
┃       ・原子力発電所輸出者のための行動原則
┃       ・「社会システム」としての原子力のあり方
┃       ・第13回ITER理事会の開催結果について
┃       ・第14回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級
┃        会合の開催について
┃       (12月17日)
┃       ・原子力安全、放射線防護、及び規制分野に関するOECD/NEA
┃        の活動状況・計画
┃       ・日本学術会議提言「研究用原子炉のあり方について」
┃       ・原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループの
┃        検討状況について
┃       (12月20日)
┃       ・エネルギー基本計画の検討状況について
┣ 事務局だより 東京の風景
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━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

新しい原子力委員会への期待:信頼回復に向けて
                             鈴木 達治郎

 12月10日、「原子力委員会の在り方見直しのための有識者会議」が報告書
「原子力委員会の在り方見直しについて」を発表しました。従来の原子力政策
大綱作成や関係経費(予算)基本方針の決定といった職務は廃止される一方、
平和利用と核不拡散を中心に廃棄物処分や福島対応といった重要課題について
は、引き続き意見を述べたり勧告権を行使したりすることができる委員会とし
て継続が提言されました。
 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kaigi/pdf/houkoku.pdf
 この報告書に基づき、新しい原子力委員会設置法が次期通常国会に提出され
る予定です。はたして、原子力委員会はどのように変わるのでしょうか。この
報告書の意図を踏まえつつ、私の個人的な感想と期待を述べさせていただきま
す。
 まず報告書の「おわりに」の冒頭の記述が重要です。
 「・・見直しの原点は・・国民の不信にあり、特に・・原子力発電・核燃料
サイクル技術等検討小委員会での検討における不適切な運営について厳しい批
判を受け、原子力行政に対する国民の信頼を損ねる状況となったことを忘れて
はならない」(p.19)
 この記述は、小委員会座長を務めた私にとって、大変重いものであり、その
責任を痛感し深く反省するとともに、改めて本報告書の意義の深さを感じてい
る次第です。まさに、国民の原子力行政に対する信頼を回復する事こそ、新し
い原子力委員会の大きな使命になると痛感いたしました。
 報告書「おわりに」には引き続き、次のように書かれています。
 「これまでの原子力委員会を抜本的に見直し、今後は原子力利用の推進を担
うのではなく、原子力に関する諸課題の管理、運営の視点から活動することと
し・・今後は委員会の中立性を確保しつつ・・」(p.19)
 これは、原子力基本法第4条の「原子力利用に関する国の施策を計画的に遂
行し、原子力行政の民主的な運営を図るため、内閣府に原子力委員会を置
く。」との部分から考えると、大きな転換を意味することになると思います。
言いかえれば、新しい原子力委員会の役割は、いわば「原子力利用推進の司令
塔」から「民主的運営の番人」へと変わっていくものと期待されます。そこで
重視されたのが「中立性の確保」ということです。小委員会の検証委員会でも、
原子力委の運営が「透明性、公正性、中立性の観点から不適切」と判断されま
した。したがって、新しい原子力委員会は、この3点(透明性、公正性、中立
性)を管理・運営の大原則として掲げていただきたいと思います。
 具体的な職務として、最も強調されているのが「原子力の平和利用と核不拡
散」です。この度、平和利用の規制部分については原子力規制委員会に権限を
移管したことを受けて、報告書では以下のように書かれています。
 「平和利用の確保に関する規制は原子力規制委員会で実施されるが、平和利
用の政策についての一環として、必要があれば規制の在り方について議論を行
う・・・新委員会の問題意識を理解してもらうために、(規制委員会と)定期
的な連絡会を置くことも考えられる。」(p.17)
 また、平和利用に関する政策については、特に「プルトニウム利用・管理」
(あらたに「管理」という言葉が入っています)の透明性向上のための取組が
挙げられています。これらについては、「独自の立場から意見を言うことが考
えられる」と、新委員会の独自性が述べられています。より具体的には、プル
トニウム利用目的の妥当性の確認(将来のプルトニウム利用計画の確認)につ
いては、「電気事業者の公表資料を基に行うのではなく、原子力委員会設置法
に基づき、経済産業省、文部科学省を通じて電気事業者等から必要な資料の提
出を求めるなど、根拠を明らかにした形での確認とすることが望ましい」
(p.10)と、これまでのやり方を強化する方針が打ち出されています。
 新委員会がこのような新たな役割を担うためには、事務局の専門能力の確保
や政策への反映プロセスの明示が重要になるとされています。前者について報
告書は、「原子力や核不拡散に関する一定の専門知識とともに実務能力が必
要」とされ、「規制委員会からの出向や・・任期付任用ポストの活用を図る」
ことや「(関係府省との)情報共有を行う連絡の場を持つこと」等の提案がさ
れています。後者については「原子力委員会を担当する大臣を・・明示的に置
く」ことが明記されており、「課題を共有できるような関係を構築することが
望ましい」とされています。確かに、現在は事務局機能そのものも、関係府省
や大臣との関係も以前より弱体化しており、このような方向で事務局機能や政
策決定への関与プロセスが改善されることが望ましいと思います。
 原子力行政の信頼回復のためにも、以上のような新しい機能と役割をもった
新原子力委員会が一刻も早く発足する事が望ましく、上記報告書の精神を忠実
に活かした実効性の高い新原子力委員会となることを期待しております。

以上

●次号は秋庭委員からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●12月10日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】原子力発電所輸出者のための行動原則
<主なやりとり等>
 日立GEニュークリア・エナジー株式会社 事業主管 吉村氏、株式会社東芝 
法務部部長 猪熊氏、三菱重工株式会社 プラント営業部 原子力1グループグ
ループ長 相良氏より、原子力発電所輸出者のための行動原則について説明が
あり、委員からは、東京電力福島第一原子力発電所の事故の教訓をどのように
反映したか、原子力発電所導入国側の行動原則に対する認知の状況等について
質問がありました。

【議題2】「社会システム」としての原子力のあり方
<主なやりとり等>
 国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会の委員であった社会システ
ム・アーキテクト 横山氏より、「社会システム」としての原子力のあり方に
ついて所見が披露され、委員からは、その所見を深化させ、提言として取りま
とめる事への期待が述べられるとともに、安全文化の国際標準化の動きと、日
本の文化に沿った国民との信頼醸成の仕組み等について質問がありました。

【議題3】第13回ITER理事会の開催結果について
<主なやりとり等>
 文部科学省より、第13回ITER理事会の開催結果について説明があり、
委員からは、プロジェクトの進捗状況、日本が担当している機器製造の国内で
の調整状況等について質問がありました。

【議題4】第14回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の開
催について
<主なやりとり等>
事務局より、第14回アジア原子力協力フォーラム(FNCA)大臣級会合の
開催について説明がありました。

●12月17日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】原子力安全、放射線防護、及び規制分野に関するOECD/NEAの活動状
況・計画
<主なやりとり等>
 OECD/NEA次長 下村氏より、原子力安全、放射線防護、及び規制分野に関す
るOECD/NEAの活動状況・計画について説明があり、委員からは、OECD/NEAでの
日本の貢献、IAEAの行っている防災の取組との関わり等について質問がありま
した。

【議題2】日本学術会議提言「研究用原子炉のあり方について」
<主なやりとり等>
 公益社団法人日本アイソトープ協会常務理事 柴田氏、京都大学原子炉実験
所長 森山氏、日本原子力研究開発機構東海研究開発センター 原子力科学研
究所原子炉加速器管理部長 丸尾氏より、日本学術会議提言「研究用原子炉の
あり方について」について説明があり、委員からは、研究炉の産業利用や、使
用済燃料の米国引き取り終了後の措置等について質問がありました。

【議題3】原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループの検討状況
について
<主なやりとり等>
 経済産業省より、原子力の自主的安全性向上に関するワーキンググループの
検討状況について説明があり、委員からは、安全性向上の取組を産業界におい
てどのように具体化していくか、また、避難や防災などの地域の住民の方の関
心事項にどのように答えていくか等について質問がありました。

●12月20日(金)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。
【議題1】エネルギー基本計画の検討状況について
<主なやりとり等>
 経済産業省より、エネルギー基本計画の検討状況について、原子力関係部分
を中心に説明があり、委員からは、使用済み燃料の取り扱い、高レベル廃棄物
以外の廃棄物の扱い等について質問がありました。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は12月24日(火)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

東京の風景

 東京スカイツリーの展望施設に行ってきました。行った日はちょうど天気の
いい日で、東京中を見渡せる気分が味わえました。あまり高いところは得意で
はないのですが、ここまで高いとそんなのも忘れてしばらく風景に見入ってし
まいました。
 さて、この東京スカイツリー、遠くから見ていたときは丸型のタワーなのか
なと思っていたのですが、地上の形は三角形。それが上に行くにつれて次第に
丸くなり、高さ320メートルあたりからほぼ円になっているのだそう。また、
強風や地震の揺れに対しては、日本の伝統的な五重塔の構造を応用しているの
だそうです。新しいもの見たさで行ってみたのですが、そこにはしっかりと日
本の伝統も存在しているのだなぁと改めて感じた場所でした。

(遠藤)

●次号配信は、平成25年1月17日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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