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第117号 原子力委員会メールマガジン 各委員からひとこと


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.117 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2012年12月28日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 各委員からひとこと
┣ 定例会議情報 高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組について
┃        原子力安全に関する福島閣僚会議の開催結果について
┃        原子力研究開発の在り方について
┃        国民の信頼醸成に向けた取組について 等
┣ 部会情報等  
┣ 事務局だより 原子力政策担当室に着任して
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━・・・━ 各委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

●近藤駿介委員長
 私どもは、昨年3月11日以来、次の5つに力を注いで参りました。
 第1は、福島第一原子力発電所が放散した放射性物質による汚染で住民の皆
様に大変なご迷惑をお掛けしていることをお詫びし、環境省をはじめとする各
方面の皆様に、内外の知見を総動員して除染活動やリスクコミュニケーション
活動にご尽力されるようお願いすることです。
 第2は、政府と東京電力に、福島第一原子力発電所における事態の安定化と
廃炉に向けての取組を、安全を確保しつつ、知恵と力を尽くして確実に推進し
ていただくことです。
 第3は、このような甚大な被害の発生を防げなかった理由を明らかにした上
で、原子力発電所において、重大な土地汚染を伴う事故の発生確率を十分低く
する制度的、組織的、技術的措置を講じることを明らかにし、このことについ
て国民、特に、立地地域社会の皆様に十分説明し、ご理解を得ていくことを、
国と原子力発電所所有者に求めることです。
 第4は、内外動向の展望を踏まえ、放射性廃棄物の処理処分をはじめとする
我が国にとって必須の取組を含む、最も望ましい原子力の研究、開発及び利用
の今後の取組を政府が決定・推進することをお手伝いすることです。
 第5は、これらの取組について内外の皆様に説明していくことです。
 どれもこれも満足にはほど遠い状態ですが、任期を迎えます。読者の皆様の
これまでのご支援に感謝します。

●鈴木達治郎委員長代理
 「変わるのか。変わらないのか。」これが3/11が私たちに問うている究極的
な質問だと思います。原子力委員会は3/11以降、「原子力安全のみならず原子
力行政全体への信頼が失墜した」ことを自ら反省し、原子力政策は「ゼロから
見直す」との基本的考え方で、それ以降の活動を行ってきました。残念ながら、
本委員会の最大の使命であった新原子力政策大綱策定会議は議論の途中で中止
となってしまいましたが、その後も有識者とのヒヤリングやパブリックコメン
トを経て、重要課題について見解文をまとめて来ました。それらは全て3/11の
反省を踏まえて「原子力政策の改革」を目指したものです。新年になれば、新
しい体制でエネルギー・環境政策、原子力政策が議論されることになりますが、
これまで積み上げてきた議論を無駄にすることなく、国際的視点も忘れずに原
子力政策を再構築していただきたいと思います。私としては、過去3年間で為
し得なかったことの大きさを反省しつつ、この3年間で学んだ事を無駄にせず、
原子力政策改革への取組を自らも継続する所存です。新政権においても、3/11
を真摯に反省し、今後も改革に向けて取り組みを進めていただくことを心より
お願いする次第であります。

●秋庭悦子委員
 委員就任に際して、改めて原子力基本法の「原子力利用は人類社会の福祉と
国民生活の水準向上に寄与する」という目的を再認識し、使命感を感じました。
しかし、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波に
よる東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故により、16万人の方たちが避難
を余儀なくされ、生活を破壊されたことは一生忘れられない大きな衝撃でした。
原子力委員として何をすべきか、常に問うと同時に個人的にも福島に赴き、で
きる限りの支援をしてきました。また今後も続けていかねばならないと思って
います。一方、今まで国策として原子力発電所を受け入れてきてくださった全
国各地の立地地域の方たちの安全を求める気持ちと、地域の活性化を望む気持
との狭間に悩んでいらっしゃる姿に切なさを感じています。地域の方々のお気
持ちに寄り添い、一緒に考え、良い方向を見出さねばならないと思っています。
 原子力の利用には、安全と国民との信頼が大前提です。今後も国民との信頼
醸成のために、活動したいと考えております。

●大庭三枝委員
 原子力委員会委員に就任して初めてのメルマガに、原子力業界を「原子力島」
と表現し、戸惑いを綴ってからあっという間に任期の三年が過ぎた。私は、業
界にしがらみを持たない原子力以外の専門家、そして国際政治学者として委員
に就任した。よって、「原子力島」を冷静かつ客観的に観る視点を維持しつつ、
かつ国際情勢を含めた幅広い観点からの日本のあるべき方向性を常に意識しな
がら意見を述べる、これが私の役割であり、存在意義であると考えてきた。福
島原発事故後、「原子力島」が様々な問題を抱えていたことが明るみに出た。
原子力委員会も批判に晒され、私も委員の一人である故に、「おまえも「原子
力島」の中心にいる責任者の一人だろう」という厳しい声を投げつけられるこ
ともあった。そうした中、本来の私の役割を果たすことは、場合によっては傍
観者的に映ることは十分に自覚していた。福島事故後という、いわゆる非常事
態下において、自分が出来ることはもっとあったのではないかという思いと、
いや、自分の本来の役割以上のことはできなかったであろうという思いと、両
方の思いを今、抱いている。
 今後の原子力政策決定過程のプロセスに、国民が関与することは必須である。
より公正かつ透明性の高い形に原子力行政を改革する必要性とともに、エネル
ギー安全保障、環境問題への対応、高レベル放射性廃棄物処分やプルトニウム
管理等、様々な課題にいかなる答えを出すべきかということを、常に念頭に置
いて、幅広い視点からの冷静な議論がなされることを望んでいる。

●尾本彰委員
 IAEA閣僚会議が福島県郡山市のビッグパレットで開催され、117か国の関係
者参加の下、福島事故の教訓、事故からの復旧等の議論がなされた。私も昨年
の事故後早いうちにここを訪れ、富岡町から避難されている方々に面会したこ
とを思い出しながら会議に参加した。未だに多くの避難者が帰郷に至らず苦難
の中に在る事に、原子力災害のもたらした社会的問題に改めて反省の気持ちを
深くした。津波災害と原子炉事故は、事業者のみならず社会全体のリスク管理
の在り方の変更を促している。リスク管理の改善に向け進捗あるものの、関係
組織が不測事態への備えを高め、常に学び、社会と対話する組織へと姿勢を正
し、教訓を踏まえたリスク管理の革新が着実に進み世界がなるほどと思う成果
を出す来年であって欲しいと考えています。一方、翻って原子力委員会がこれ
から果たす機能について、歴史的経緯とこれまで本件に関してなされてきた議
論と将来展望をも踏まえ、固有の付加価値が今後どこにあるのか大方の納得と
信頼の下に委員会が活動できる来年であって欲しいと願います。

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●12月18日(火)第55回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】原子力試験研究の平成23年度終了課題の事後評価結果について
<主なやりとり等>
 原子力試験研究検討会の岩田座長より、平成23年度に研究を終了した先端的
基盤研究の11課題を対象に、研究開発の達成度、成功・不成功の原因の把握・
分析、等を行った事後評価結果の説明を受けました。
 委員からは、研究成果のアーカイブの構築は各々の研究の隙間を見つけるた
めにも有用である、研究成果が社会でどのように利用されているのかを研究に
フィードバックする取組が重要である、等の意見がありました。

【議題2】国民の信頼醸成に向けた取組に関する有識者との意見交換(フランス
原子力安全規制当局 原子力安全執行委員会 委員 フィリップ・ジャメ氏、柏
崎刈羽原子力発電所の透明性を確保する地域の会 会長 新野良子氏)
<主なやりとり等>
 国民の信頼醸成に向けた取組に関して、有識者との意見交換を行いました。
ジャメ氏からは、フランスでは誰もが電気事業者の全ての情報を入手できる権
利を持っていること、地域情報委員会は原子力施設の設置許可申請が下りてか
ら廃炉に至るまで存続すること、等の説明がありました。また、新野氏からは、
「地域の会」は住民が独自に設立したもので、賛成・反対・中立の立場の様々
な委員が混在していること、信頼に足る議論をするには結論が先にあってはな
らず、結論に至るプロセスがわからないと信頼しようがない、等の説明があり
ました。
 委員からは、地域住民による議論の結果を原子力施設の運営に反映させるた
めにはどのような方法があるか、地域住民の会を設立する目的を「透明性の確
保」とすると、情報を出すだけの一方的なコミュニケーションになるおそれが
あるが、何かアドバイスはあるか、「地域の会」には地域情報委員会のように
議員はいないが、このメンバー構成の違いをどう感じるか、等の質問がありま
した。

【議題3】平成25年度原子力関係経費の見積りについて(案)の検討と原子力規
制委員会への諮問について
<主なやりとり等>
 事務局より、「平成25年度原子力関係経費の見積りについて(案)」に関して、
関係府省の平成25年度原子力関係経費としての概算要求を適切であると判断し
たこと、等の説明がありました。
 当該資料は、原子力安全に関する項目が含まれることから、原子力委員会設
置法第26条第2項の規程に基づいて原子力規制委員会に諮問することとしまし
た。

【議題4】今後の高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組について
<主なやりとり等>
 事務局より、国民の皆様からご意見を募集していた「今後の高レベル放射性
廃棄物の地層処分に係る取組について」の見解文案について、ご意見を踏まえ
て修正した案文の説明がありました。
 修正した見解文案について審議した結果、案文通りのまま見解として公表す
ることとしました。

●12月21日(金)第56回臨時会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】英国におけるプルトニウム管理状況及び利用計画について(駐日英国
大使館)
<主なやりとり等>
 駐日英国大使館より、英国におけるプルトニウム管理状況及び利用計画に関
して、英国政府がプルトニウムはMOX燃料として再利用するのが好ましいと決
定したこと、海外顧客のプルトニウム所有権を取得するかは英国にとって経済
的な便益があるかどうかが判断基準となること、等の説明がありました。
 委員からは、プルトニウム管理計画において早く処理したいという評価基準
はあるのか、プルトニウムの商業的価値をどう考えているのか、等の質問があ
りました。

【議題2】フランスにおけるプルトニウム管理状況及び利用計画について(在日
フランス大使館)
<主なやりとり等>
 駐日フランス大使館より、フランスにおけるプルトニウム管理状況及び利用
計画に関して、フランスは今後も核燃料サイクルを継続していくこと、フラン
スのMOX燃料の平均燃焼速度が酸化ウランのそれと同等まで高められているこ
と、等の説明がありました。
 委員からは、MOX燃料を直接処分することは考えているのか、プルサーマル
導入の際、国民の理解を得るためにどのような取組を行ったのか、等の質問が
ありました。

【議題3】原子力安全に関する福島閣僚会議の結果概要について(外務省)
<主なやりとり等>
 外務省より、12月15日から17日まで福島県で開催された原子力安全に関する
福島閣僚会議について、閣僚級本会合で発出された成果文書や、専門家会合で
の意見交換で強調された点などの説明がありました。
 委員からは、会合に参加した感想として、日本がこの問題に先導的に取り組
んでいくというメッセージが少し弱かったと感じた、等の意見がありました。

●12月25日(火)第57回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】第11回ITER理事会の開催結果について(文部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、11月28日から29日までフランスのカダラッシュで開催され
た第11回ITER理事会の開催結果について説明がありました。理事会では、フラ
ンス政府がITERの建設を許可する法令を定めたこと、ITER機構とフランス国内
関係機関がより一層緊密に協力する共同作業体系(ユニークITERチーム)を組織
することを承認した、等の説明がありました。
 委員からは、厳しい品質管理でスケジュール遅延が発生していることの対策
として設立したユニークITERチームはどのような活動をしているのか、ITER建
設の調達価額の81%の調達取極めを締結したとのことだが、残りの予算目途は
たっているのか、等の質問がありました。

【議題2】平成25年度原子力関係経費の見積りについて
<主なやりとり等>
 事務局より、「平成25年度原子力関係経費の見積りについて(案)」を原子力
規制委員会に諮問した結果、当該資料に対して、特段の意見はない旨の答申が
あったことの説明がありました。
 これを受け、原子力委員会として当該資料を決定することとしました。

【議題3】今後の原子力研究開発の在り方について
<主なやりとり等>
 事務局より、国民の皆様からご意見を募集していた「今後の原子力研究開発
の在り方について」の見解文案について、ご意見を踏まえて修正した案文の説
明がありました。
 修正した見解文案について審議した結果、案文通りのまま見解として公表す
ることとしました。

【議題4】国民の信頼醸成に向けた取組について
<主なやりとり等>
 事務局より、国民の皆様からご意見を募集していた「国民の信頼醸成に向け
た取組について」の見解文案について、ご意見を踏まえて修正した案文の説明
がありました。
 修正した見解文案について審議した結果、案文通りのまま見解として公表す
ることとしました。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、
霞ヶ関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催
案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホーム
ページでご覧いただけます。

●専門部会等の開催はありませんでした。

●次週の専門部会等開催情報
・次週は専門部会等の開催は予定されていません。

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

原子力政策担当室に着任して

 12月14日付けで異動した中村参事官の後を継いで、原子力政策担当室の参事
官に着任した板倉です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 原子力に関する業務を担当するのは、2005〜2006年に文部科学省で核融合開
発室長を担当して以来です。当時は、ITERのサイト交渉の最終段階を担当する
とともに、サイトがフランスのカダラッシュに決まった後は、ITER協定の交渉
を担当しました。今年最後の定例会では、文部科学省の担当者(私の何代か後
の後任者に当たります)から、最近のカダラッシュのサイトの状況について報
告を聞きました。当時は、起伏に富んだ松林だった場所が、今では、すっかり
平坦な地となり、深く掘り下げて基礎工事が進んでいる写真を見て、ようやく
ここまで進んだという感慨を覚えました。日本人の機構長の強力なリーダー
シップの下、国際協力プロジェクトが進展していることを喜ばしく思います。
 日本の国が持続的な発展をしていくために、原子力エネルギーとどのように
向き合っていくのか、この問題は、幅広い視点からの議論が必要です。原子力
委員会もこの議論に貢献していくこととなるかと思いますので、委員会を支え
る事務局の一員として、精一杯、努力してまいります。
(参事官 板倉)

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○メルマガへのご意見・ご感想はこちらへ
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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