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第112号 原子力委員会メールマガジン 実のある抜本的変革を


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2012年10月19日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 大庭委員からひとこと 実のある抜本的変革を
┣ 定例会議情報 東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期措置に
┃        関する提言のとりまとめ方針等について
┃        原子力人材の確保・育成に向けた取組に関する有識者等と
┃        の意見交換について 等
┣ 部会情報等  
┣ 事務局だより 原子力政策に関わるにあたり
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━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

実のある抜本的変革を
                              大庭 三枝

 9月14日に発表された革新的エネルギー・環境戦略には、「新たな原子力政
策を、エネルギー・環境会議の場を中心として確立すること」を明確に謳った。
その上で、原子力委員会については、明確にこのように書かれている。「原子
力委員会については、原子力の平和利用の確認などの機能に留意しつつ、その
在り方に関する検討の場を設け、組織の廃止・改編も含めて抜本的に見直す。」
 昨年3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、原子力というエ
ネルギー源の存在意義についての根本が問われ、また原子力発電事業の在り方
やそれを統括する原子力行政への信頼性、適切性へ大きな疑問符が付されるよ
うになった。原子力安全委員会と原子力安全・保安院という規制体制は根本的
な改編がなされ、原子力規制委員会が発足した。そして、原子力委員会へも、
原子力政策大綱策定会議や原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の
運営や検討の在り方、さらには原子力委員会の組織としての構成や運営につい
て、特にその透明性と公正性の確保に関する批判が集中した。上記の、革新的
エネルギー・環境戦略が、原子力委員会の抜本的見直しに言及したことは、原
子力政策を含む日本のエネルギー政策を大きく変え、かつ既存の体制の欠陥を
正すというこの流れに沿った、誠に時機を得たものだと言えよう。
 そもそも、原子力委員会が設置された1950年代と、現在とでは、我が国にお
ける原子力を取り巻く状況は大きく異なっている。原子力という技術を新たに
日本に導入する際には、効率的かつ効果的に資源投入をし、研究開発を進める
為の適切なロードマップを描き、その実行を担保させるような権威ある委員会
が必要であった。しかしながらその後、発電事業の促進については通産省、研
究開発の推進については科技庁が管轄する体制が固まっていった。そして原子
力発電事業は電力会社の手で実際には担われつつ、国民へのエネルギー安定供
給という「公益」にも関わることから、国策の一環という位置づけをもなされ
つつ、発展していった。このような趨勢が数十年続いた。そのような中、一応
2001年の省庁再編の際に委員長を国務大臣から民間の有識者に代える等の変化
があったものの、原子力委員会は一応その形を維持した。しかしながら、本当
に私は疑問を感じる。なぜこのような事態に至るまで、原子力委員会を含め、
原子力行政の抜本的な見直しが行われなかったのだろうか。なぜ、1950年代に
発足した「形」を維持することが好まれたのだろうか。
 葉公好龍という中国の寓話がある。楚の重臣である葉公は、龍が大好きで、
家中を龍の彫り物や絵で飾っていた。この話を聞きつけた本物の龍が、そんな
に好きならば、と葉公の家にやってきて首を突っ込み挨拶した。するとあれほ
ど龍が好きだったはずの葉公は腰を抜かして逃げ出したという。要するに、葉
公は本物の龍ではなくて、龍の絵や彫り物、すなわち外枠、見かけのみが好き
だっただけだったのだということである。葉公好龍は、転じて、名や形を好ん
で実を好まない人を揶揄する言葉として使用されるようになった。
 すでに触れた原子力規制委員会の発足に見られるように、原子力行政の在り
方へのメスは入れられつつある。やっと、時の流れの中でその役割が曖昧なも
のとなっていた原子力委員会にも、その廃止も含めた抜本的見直しの契機が訪
れたのである。今後原子力の比率をどの程度維持するか、あるいはゼロにする
のかにかかわらず、高レベル放射性廃棄物の処分問題などの原子力にまつわる
固有の課題は解決していかなければいけない。原子力発電所も、当面は稼働す
るし、また原発稼働率をゼロにしたからといって原子力発電施設がいきなり雲
散霧消するわけでもない。また、再生可能エネルギーの拡大や国民の節電の努
力に期待するにしても、日本が資源小国であり、エネルギーの安定供給の確保
をいかに持続可能な形で実現していくか、というシビアな課題自体はそのまま
残っている。国際的にも、原子力発電を導入・維持する国は多く、福島事故を
含めた日本の知見が必要とされることも多いだろう。新たな原子力政策の策定
は、これらのことにきっちりと実のある対応をすることを目指すべきである。
そのためには、既存の形骸化した名ばかりの仕組みを維持することは、無駄な
だけでなく適切かつ効率的な原子力政策を進める上での障害にもなるだろう。
すべては、閣僚で構成されたエネルギー・環境会議という政治の場で決定され
るとされている。委員としては、新たな体制が、上記の課題に十二分に対応す
る、名ばかりにはならず、実のあるものとなることを望むだけである。

●次号は尾本委員からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●10月9日(火)第44回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期措置に関する提
言のとりまとめ方針等について
<主なやりとり等>
 東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に関する提言を、今後どの
ような段取りでとりまとめるかについて審議がなされました。
 委員による審議の結果、多くのご意見を反映させるために、これまでに行っ
た有識者からのヒアリング等を踏まえてとりまとめた提言案文に対して、東京
電力(株)福島第一原子力発電所における中長期措置検討専門部会の構成員から
ご意見を聞いたうえで、さらにパブリックコメントを行うこととなりました。

【議題2】鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張について
<主なやりとり等>
 鈴木委員長代理より、10月16日から17日まで韓国の慶州へ出張する旨の説明
がありました。委員長代理は、世界グリーンエネルギーフォーラム2012に出席
し、東京電力福島第一原子力発電所の事故後の日本の原子力政策と世界の原子
力政策の動向について講演を行う予定です。

●10月16日(火)第45回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】原子力人材の確保・育成に向けた取組に関する有識者等との意見交
換について(独立行政法人日本原子力研究開発機構原子力人材育成センター長
 山下清信氏、東京大学 教授 岡本孝司氏、東京工業大学 教授 齊藤正樹
氏、独立行政法人国立高等専門学校機構 理事 五十嵐一男氏、独立行政法人
日本原子力研究開発機構 理事 廣井博氏、社団法人日本電機工業会 原子力政
策委員会 委員長 羽生正治氏、電気事業連合会 原子力開発対策委員会 委員
長 豊松秀己氏、原子力資料情報室 共同代表 伴英幸氏)
<主なやりとり等>
 原子力の人材問題に関する有識者等から、原子力人材へのインセンティブを
明確に訴えることが必要であること、現場を熟知した作業員をいかに確保する
かが課題であること、原発が維持されれば学生が集まり人材が育つと考えるの
は安易ではないか、高い倫理観が必要、等の意見がありました。
 委員からは、若い世代が原子力産業で働く動機となるような意義・魅力は何
であると考えるか、社会人が大学等で最新の知見を学習できるような社会人教
育の場が少ないのではないか、等の質問がありました。
 原子力委員会は、今回の意見交換の内容を踏まえて、原子力人材の確保・育
成に係る提言を検討していくこととなりました。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は10月24日(水)に臨時会を開催します。議題は以下のとおりです。
 (1) 国際原子力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC)第3回執行委員会会合
   結果について
 (2) 近藤原子力委員会委員長の海外出張報告について
 (3) 鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張報告について
 (4) 高レベル放射性廃棄物の処分に関する取組についての有識者との意見交
   換(公益財団法人原子力安全研究協会 放射線・廃棄物安全研究所長 
   朽山修氏、一橋大学大学院 教授 高橋滋氏、原子力資料情報室 共同代
   表 伴英幸氏、東北大学 名誉教授 北村正晴氏)
 (5) その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、
霞ヶ関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催
案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームペ
ージでご覧いただけます。

●専門部会等の開催はありませんでした。

●次週の専門部会等開催情報
・次週は専門部会等の開催は予定されていません。

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

原子力政策に関わるにあたり

 私は、約1か月前に今のポストに着任しましたが、入省して以来「原子力」
に関わる業務を経験したことがありませんでした。そればかりか、過去人生を
振り返っても、身の回りに溢れている「原子力」関連の情報を全国民に関わる
重大な話題と認識しつつも、どこか他人事のように感じていたように思います。
しかし、この1か月、原子力に関連する業務を担うにあたり、新鮮な気持ちで
多くのことを学び、以前とは異なる観点から「原子力」をとらえることができ
るようになりました。東日本大震災後の膨大な会議資料は勿論、原子力政策と
それを巡る技術、産業、国際関係等の現状と歴史を調べる中、蓄積された情報
量の多さとその重みに圧倒されつつも、原子力政策が、1.中長期を見据えた
方針の下で遂行される、2.利害対立が必至のためコンセンサス形成が容易で
ない、3.国際関係と不可分、等の特徴を有しており、非常にチャレンジング
な政策テーマの一つであるという印象を持ちました。例えば、意思決定プロセ
スもしくはコンセンサスビルディングの在り方について、アリストテレスの
「政治学」から「一般意思2.0(情報技術によって無意識を可視化し、熟議に活
用する、という考え方)」といった最近のアイディアまで含めた体系的知見が
どのように適用されうるのか、という興味深い課題も抽出できます。いずれに
せよ、引き続き多くのことを学習し、少しでも新しい観点から「原子力」とい
う政策テーマをとらえ、国民の皆様に少しでも役立てる取組を実施していける
よう努力していきたいと思います。
(高谷)

●次号配信は、平成24年11月2日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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