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第104号 原子力委員会メールマガジン 説明責任


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.104 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2012年6月22日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 近藤委員長からひとこと 説明責任
┣ 定例会議情報 核燃料サイクル政策の選択肢に係るヒアリング
┃        核不拡散研究会中間報告書について
┃        新大綱策定会議の見直しについて
┃        核物質防護規制に関する実施状況の報告について
┃        意志決定過程の記録と情報公開について
┃        専門部会等の会議資料を作成・準備する際の情報管理
┃        原子力委員会の事務体制についての当面の方針について
┃        核燃料サイクル政策の選択肢について
┃        新大綱策定会議における審議の中断について 等
┣ 部会情報等  
┣ 事務局だより 内閣府での1年を振り返って
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.htmlまで、ぜひお寄せください。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

説明責任
                              近藤 駿介

 19日の定例会議で特定非営利活動法人情報クリアリングハウス理事長の三木
氏から政策に係る意思決定過程と情報公開に関してご意見をいただいた。氏は、
冒頭、行政活動における文書管理・情報公開で目指すべきは、このことを通じ
てアカウンタビリティ、情報公開に耐えられるように行政運営を適正化する一
方、国民の行政運営に対する監視と参加を可能にし、これの良循環により開か
れた政府、信頼できる政府の実現を追求することだとされた。これを聞いて、
自分は、原子力委員会は公開して開催される審議会であるから、会議がすべて
と考えてきたな、特に、3.11後は、核セキュリティ対策に始まるいろいろなこ
とを何とかしなくてはと、関係者をせき立て、とにかく期限や会議に間に合う
ように会議資料を作成することを求めるばかりで、こういう切り口から委員会
事務のあり方について指針を示すことはしなかったなと反省している。正直な
話、紹介された政府の情報公開に関するルールが、最近充実してきていること
も、3.11以後の数日間に米国の友人に送った電子メールが情報公開請求によっ
て開示されたことに関連して、国内ではどうなっているか調べて初めて気がつ
いたのである。
 同時に、教師をしていた時に、社会学者Diane Vaughanが、チャレンジャー
事故に関する大統領調査委員会の報告に納得せず、約10年をかけて国会図書館
等にある関係者の会議メモ等からNASAにおける意思決定の歴史を再現して組織
の特性を考察した研究を知って、このしつこさには敬服と思ったが、同時に、
こうした仕事ができるのは、あの国にこういう記録が保管されるシステムがあ
るからだ、日本でも何とかならないかと考えたことを思い出した。それに、あ
の頃は、彼女の著した“The Challenger Launching Decision”の冒頭にある
「事故を防ぐための組織であるNASAで、人々がすべてのルールに従っているの
にこんなことがおきるのは、組織における意思決定には、個別の課題の中身よ
りは組織の構造とか文化が大きな影響を与えるからだ。我々は、組織には逸脱
を当たり前のこととしてしまう(normalization of deviance)など過誤の発
生を避け難くする特性があり、そうした組織がリスクのある技術を扱うとき、
取り返しのつかない害が起き得るということに注意を向けなければならない。」
という簡潔な結びを諳んじ、人に伝えていたことも思い出した。
 委員会は、核セキュリティの基本政策を決定する使命があるから、今年3月
のソウルサミットまでを合い言葉に、多くの専門家の協力を得て、今後の我が
国における核セキュリティ、すなわち、核物質に係る破壊活動対策の基本原則
を大車輪で整備したが、間もなくこの使命は我々の手を離れる。また、3.11以
来、まさしく24時間、7日間体制で事故データの解釈、事故終息対策から、除
染技術論、そして事故を起こした原子炉の廃止措置の取組の構想に至るまで、
小生の絶え間ない思いつきの相手をしつつ、事務局を支えてくださった電力か
らの出向者が月末で帰任する。
 三木氏のお話を伺って、こうして所掌事務も事務体制も縮小するとしても、
引き続き新しい課題に挑戦していく気概は失ってはならないが、その取組にあ
たっては、たとえ準備作業といえども国民に対する説明責任が果たせるように
することを忘れてはならないな、昔の教師がいまはできの悪い生徒だ、と思っ
た次第である。

●次号は鈴木委員長代理からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●6月12日(火)第23回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】核燃料サイクル政策の選択肢に係るヒアリング(FBR研究開発)(文部
 科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の検討結
果を踏まえ、原子力発電比率と政策選択肢の組合せに対応した高速増殖炉/高
速炉の研究開発のあり方について説明がありました。
 各委員からは、現状のウラン需給を考えると、高速増殖炉/高速炉の研究開
発の必要性をエネルギー資源確保だけで説明しても不十分であり、研究開発の
意義をもっと明確に説明すべき、高速増殖炉の研究開発は将来のエネルギー資
源確保に対する保険的なものとなりつつあり、電力自由化が進むと電気事業者
としても開発費用の負担が厳しくなるので、電気事業者等の意見も踏まえて費
用負担のあり方を考えるべき、等の意見がありました。
 委員からの意見を踏まえて、原子力委員会からエネルギー・環境会議へ提示
する核燃料サイクル政策に関する選択肢には、高速増殖炉/高速炉の研究開発
の意義をもり込んで明確化することとしました。また、次回の委員会において、
電気事業者等より、原子力発電比率を低減した場合の高速増殖炉/高速炉の研
究開発に対する意見をヒアリングすることとなりました。

【議題2】核不拡散研究会中間報告書について(公益財団法人原子力安全研究協
 会 原子力政策研究会 委員 遠藤哲也氏)
<主なやりとり等>
 公益財団法人原子力安全研究協会原子力政策研究会委員の遠藤氏より、細野
大臣の要請に基づいて行った、国際的観点からの核燃料サイクルのあり方の見
直しに関する検討の中間報告の説明がありました。
 各委員からは、バックエンドに関する国際連携について、我が国が主体的に
関与する場合、具体的にどのようなことが想定されるのか、今後3年間で核燃
料サイクル政策の検証を進めるとあるが、この間は再処理事業は凍結するのか、
等の質問がありました。

【議題3】新大綱策定会議の見直しについて
<主なやりとり等>
 事務局より、原子力委員会の会議資料作成・準備に係る情報管理について
(案)及び事務局体制の当面の方針(案)について、説明がありました。また、近
藤委員長より、新大綱策定会議の審議で使用した資料を個別の主要政策課題領
域毎に整理した資料の説明がありました。その後、新大綱策定会議の見直しに
ついて議論が行われました。
 議論の結果、情報管理及び事務局体制の案について、引き続き議論すること
としました。新大綱策定会議の今後の運営方法や審議の進め方については、原
子力委員会のあり方も含めて議論をすべき、核燃料サイクルの選択肢によらな
い重要課題については原子力委員会として議論を継続すべき、等の意見があり
ました。新大綱策定会議の見直しについても、継続して議論を行うこととなり
ました。

●6月14日(木)第24回原子力委員会臨時会議の概要は以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】核燃料サイクル政策の選択肢に係るヒアリング(FBR研究開発)(電気
事業連合会、三菱重工業株式会社)
<主なやりとり等>
 電気事業連合会高速増殖炉委員会委員長高杉氏及び三菱重工業株式会社原子
力事業本部副本部長遠山氏から、原子力発電比率を低減した場合の高速増殖炉
/高速炉の研究開発に対する今後の取組のあり方に対するヒアリングが行われ
ました。
 各委員からは、原子力発電比率を低減するという方針の下で、使用済燃料を
全量再処理する政策が変更となった場合に、電気事業者又は原子炉メーカーと
して高速増殖炉/高速炉の研究開発を自ら進めていくのか、長期的な高速炉の
研究開発に民間企業として先行投資することの利益は何か、等の質問がありま
した。

●6月19日(火)第25回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】核物質防護規制に関する実施状況の報告について(原子力安全・保安
院、文部科学省、国土交通省)
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院、文部科学省及び国土交通省より、原子炉設置者等に対
して行った平成23年度核物質防護規定の遵守状況の検査結果について説明があ
りました。
 各委員からは、東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故によって明らかと
なった問題点が、教育訓練等に対して反映されているのか、国際的なガイドラ
イン「核物質防護の勧告」を踏まえた対応を行っているのか、等の質問があり
ました。

【議題2】意志決定過程の記録と情報公開について(特定非営利活動法人情報公
開クリアリングハウス 理事長 三木由希子氏)
<主なやりとり等>
 特定非営利活動法人情報公開クリアリングハウス理事長三木氏より、開かれ
た、信頼できる政府になるための文書管理・情報公開のあり方について意見の
陳述がありました。具体的には、政策の意思決定過程の記録を残すことにより、
その妥当性を当事者以外が検証できるようにすることが重要、等の紹介があり
ました。
 各委員からは、審議会の場合は意志決定過程は公開の会議で行われるが、会
議資料の作成過程をどこまで記録として残すべきか、審議会の委員自身が資料
作成プロセスに係わった場合の記録をどのように残すべきか、等の質問があり
ました。

【議題3】専門部会等の会議資料を作成・準備する際の情報管理について(暫定
版)
<主なやりとり等>
 事務局より、原子力委員会の専門部会等における会議資料の作成・準備に係
る情報管理のあり方について、当面遵守すべき点の暫定版(案)の説明がありま
した。本件について審議され、案文通り決定されました。

【議題4】原子力委員会の事務体制についての当面の方針について
<主なやりとり等>
 事務局より、原子力委員会の事務局体制についての当面の方針(案)ついて説
明がありました。
 各委員からは、「利害関係者に対して中立」とあるが、この中立という表現
は曖昧ではないか、等の意見があり、案文を一部修正の上、原子力委員会の決
定とすることとしました。

●6月21日(木)第26回原子力委員会臨時会議の概要は以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】核燃料サイクル政策の選択肢について
<主なやりとり等>
 事務局より、原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の報告を踏ま
え、エネルギー・環境会議に提示する核燃料サイクル政策の選択肢(案)につい
て説明がありました。
 各委員からは、使用済燃料の貯蔵容量を増強する取組、高レベル放射性廃棄
物の最終処分場の選定作業は、国がリーダーシップを発揮して強力に推進する
ことが重要、小委員会では政策決定の「留保」について議論したが、政策は常
にチェック・アンド・レビューを内包するとの理解に立ち「留保」は選択肢に
含めなかった、等の意見がありました。本件について審議された結果、案文通
り決定されました。

【議題2】新大綱策定会議における審議の中断について
<主なやりとり等>
 事務局より、新大綱策定会議の運営方法等の見直しを行うため、当面の間、
審議を中断することとし、再開は、原子力委員会として審議すべき事項を改め
て検討した上で決定する旨、説明がありました。
 各委員からは、これまでの審議でどのような成果があったか、新大綱策定会
議に求められる役割がどのようなものか、などが重要である、これまでの審議
の内容が尊重されることが分かるような表現にすべきとの意見があり、案文を
一部修正の上、原子力委員会の決定とすることとしました。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回定例会議は6月26日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
 (1) 原子力規制委員会設置法等の概要について
 (2) 東京電力(株)福島原子力事故調査報告書について
 (3) その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、
霞ヶ関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催
案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホーム
ページでご覧いただけます。

●専門部会等の開催はありませんでした。

●次週の専門部会等開催情報
・次週は専門部会等の開催は予定されていません。

●その他
・原子力委員会は「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃炉に向けた中長期
 的な取組について御意見を聴く会」を開催します。
 開催日時:平成24年7月7日(土) 13時30分〜16時30分
 開催場所:いわきワシントンホテル アゼリアBの間
     (福島県いわき市平字一町目1番地)
 次第:
  第一部 東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組について
  第二部 参加者から御意見を聴く会 

 御発言・傍聴を希望される方は、平成24年6月27日(水)17時までに、以下の
URLから登録をお願い致します。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/pressrelease/pressrelease20120607.html

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

内閣府での1年を振り返って

 昨年7月に内閣府に異動となって1年が過ぎようとしている。この間、国際会
議の準備・調整業務などに携わりながら、原子力政策大綱の策定会議など原子
力委員会に関わる様々な出来事を間近で見てきた。このような経験を自分の人
生でどのようにプラスにできるか未だ定かではないが、少なくとも研究に従事
するような人間の多くが持てる経験ではないのは確かと思う。そのような経験
を重ねることで自分自身が成長していると信じつつ、週末はリフレッシュとい
うことで子供たちと野球に興じている。内閣府への異動の少し前に始めたこと
で、こちらもようやく1年を過ぎたところである。少年たるもの誰でもルール
を知っていると思って始めてみたものの、今や野球もその他多くの趣味、習い
事に埋もれてしまったのか、とてもこちらの想定通りには動いてくれない。と
もすれば自身がフィールドにいるのと同じ勢いで檄を飛ばしてしまうのだが、
それでこちらが期待するプレーに近づくかというとそうでもないようで、思い
直して丁寧に根気強く説明したりもする。リフレッシュのつもりだったが忍耐
も求められ、最近はこれも鍛錬の場だと思うようにしている。
 さんざん言いたいことを言ってしまったが彼らの名誉のために言っておくと、
一緒に遊んでくれているのはまだ小学4年生と3年生。最近ではこちらを驚かせ
るような意外性も見せてくれるようになり、これから大いに成長してくれると
楽しみにしている次第である。
(加藤(徹))

●次号配信は、平成24年7月6日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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