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第102号 原子力委員会メールマガジン 李下の冠、瓜田の履


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.102 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2012年5月25日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 大庭委員からひとこと 李下の冠、瓜田の履
┣ 定例会議情報 日本原子力学会の福島特別プロジェクトについて
┃        福島第一原子力発電所事故による原子力災害被災自治体等
┃        調査結果について
┃        原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の報告書
┃        取りまとめに関する報道について 等
┣ 部会情報等  第15回原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会
┃        の開催について 等
┣ 事務局だより 故郷の味
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.htmlまで、ぜひお寄せください。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

李下の冠、瓜田の履
                              大庭 三枝

 故事に、「李下に冠を正さず、瓜田(かでん)に履(くつ)を入れず」とい
う言葉がある。「李下の冠」とは、スモモの木の下で手を挙げて冠を曲がって
いるのを直す行為は、人から見れば、例え本人にそのつもりがなくても、スモ
モの実を盗むのか、と疑われるような行為である、ということから、そのよう
な、人に嫌疑をかけられるような行為は避けるのがよい、という意味である。
「瓜田(かでん)に履(くつ)を入れず」も同様で、瓜畑で脱げた履をはき直
せば、瓜を盗むと疑われるので、そうした行為は避けるべきであるという意味
である。
 今、複数のメディアから、原子力委員会がその下部の専門部会として開催し
ていた原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会が、電力会社など事業
者、すなわち推進側に有利なように、選択肢案の総合評価を書き換えていたと
いう報道がなされている。同小委員会において、核燃料サイクルの政策選択肢
の定量評価を行った際、サイクルのコストや廃棄物などの定量評価の作業をす
るため、事業者を含めた原子力事業の関係者を集めた事前勉強会を開き、使用
済燃料の処理方法の評価をまとめた報告書原案を示すなどした上、原子力推進
の事業者側に有利な報告書となるように中身を書き換えたとの報道である。
 先ほど、第20回原子力委員会臨時会議が開催され、「原子力発電・核燃料サ
イクル技術等検討小委員会の報告書取りまとめに関する報道について」と題し
て、報告書を事業者の意向に沿って書き換えたという事実はないこと、しかし
ながらこのような疑念を招いたことは大いに反省し、今後の運営のあり方の改
善をしていく旨を原子力委員会の見解文として決定したところである。私自身
も、同小委員会の委員の先生方のご意見を十分に反映する形で、報告書の取り
まとめはなされたのであり、事業者の意向に従って書き換えたとの事実はない
と認識している。
 しかしながら、今回、公開ではなく非公開の場で、また電気事業者等のいわ
ゆる「推進」とされる側のみのステークホルダーを集めて勉強会を行うという
形式を取ったことで、原子力委員会が、透明性と公正性の確保という、現在民
主主義を担保する上での前提を踏まえた運営、議事の運びをしていないのでは
ないかという、きわめて大きな疑念を社会に抱かせることになってしまったこ
とは大いに反省すべきであると考えている。一般論として、原子力のような、
その運営に技術的に高い専門性が求められる事柄について検討する場合、その
専門家やステークホルダーの知見を活用することそのものは、全否定されるべ
きではない。原子力に限らず、火力、水力、そして太陽光や風力、地熱などの
再生可能エネルギーについても、これは同様のことが言えるだろう。しかしな
がら、あまりにもこの「高い専門性が必要」ということが重視されてしまうと、
「専門家」が当該分野の采配をすべて独占し、きわめて不透明な意思決定が「
専門性」という錦の御旗で許容されてしまう事態を招きかねない。
 エネルギーや原子力のあり方といった、その検討に関しては専門的知識を要
する一方、国民生活に大きな影響を与え得るテーマについての政策決定に際し
ては、透明性と公平性の担保に努めるのは当然である。それに加え、外から見
たときに不透明な手続きで物事が決定されているのでは、という疑念が一切抱
かれないよう、最大限の努力をしつつ臨むべきである。透明性と公平性の担保
を前提としつつ、李下に冠を正さず、瓜田に履を入れず、ということを改めて
肝に銘じ、委員会の今後の運営のあり方を再検討し、今後職務の遂行に努めた
い、と考えている。

●次号は尾本委員からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●5月15日(火)第18回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】日本原子力学会の福島特別プロジェクトについて(日本原子力学会副
会長 野村茂雄氏・澤田隆氏)
<主なやりとり等>
 日本原子力学会より、東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故を受けて、
原子力学会の果たすべき役割として昨年から活動している内容の紹介がありま
した。具体的には、事故に関する情報の収集・分析・評価活動や事故からの教
訓抽出活動、社会への情報発信活動等の説明がありました。
 各委員からは、事故の技術的な分析も必要であるが、政策や規制の問題点の
分析なども行っているのか等の質問や、海外の専門家の中でも事故について誤
解している人が見受けられるので、学会としても正確な情報発信を海外に向け
て行っていく必要がある等の意見がありました。

●5月22日(火)第19回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】福島第一原子力発電所事故による原子力災害被災自治体等調査結果
について(全国原子力発電所所在地市町村協議会 事務局長 嶽勤治氏)
<主なやりとり等>
 全国原子力発電所所在地市町村協議会事務局長の嶽氏より、同会の会員で被
災した福島県内の6市町(双葉町、大熊町、楢葉町、富岡町、南相馬市、浪江
町)等を調査対象として、事故発生当時の通報連絡・情報伝達、住民避難、防
災体制及び避難所運営等を調査した結果、並びに今回の調査によって抽出され
た課題・問題点とその解決に向けた提言等について説明がありました。
 各委員からは、地震、津波及び原子力発電所の事故といった複合災害の発生
によって明らかになった防災対策の課題は何か、福島県以外の原子力発電所立
地地域において、今後の課題として挙げた提言への対応状況はいかがか、等の
質問がありました。

●5月25日(金)第20回原子力委員会臨時会議を行いました。詳しくはホームペ
ージに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の報告書取りまと
めに関する報道について
<主なやりとり等>
 原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の報告書取りまとめに関す
る報道に対し、原子力委員会としての見解について議論を行いました。本見解
につきましては、以下のURLでご確認ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/kettei/seimei/120525.pdf

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回定例会議は5月29日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
 (1) 第45回原産年次大会の報告について(一般社団法人日本原子力産業協会
   企画総務部長 鈴木良典氏)
 (2) その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案
内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームペ
ージでご覧いただけます。

●5月16日(水)第15回原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の概要
は以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 事務局より、前回の議論を踏まえて改訂した原子力比率I、II、III、IVに対
する各シナリオの定性・定量評価結果、及び使用済燃料の返送リスクに関する
改訂版の資料について説明がありました。続いて、鈴木座長より、前回までの
議論を踏まえて改訂した、政策選択肢の「留保」の考え方、各代表シナリオの
総合評価(案)、政策選択肢の総合評価(案)の資料のそれぞれについて説明があ
り、議論が行われました。
 専門委員からは、留保は選択した政策における個別の取組で考慮できること
から、他の政策選択肢と同列の選択肢として加えるべきではない、国は責任を
持って政策の決定を行い、決定した政策については、地元理解を得るための説
明責任を有することを総合評価に明記すべき、等の意見がありました。
 専門委員の意見を踏まえて資料を修正し、次回の新大綱策定会議に提示する
こととなりました。

●5月23日(水)第19回新大綱策定会議の概要は以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の鈴木座長より、同小委員
会の議論のまとめとして、政策選択肢の総合評価の説明がありました。次に、
文部科学省より、上述の小委員会のとりまとめ結果に示された、各原子力発電
比率と政策選択肢に対応した高速増殖炉/高速炉の研究開発のあり方の概要に
ついて説明があり、議論が行われました。続いて、事務局より、国民・地域社
会との共生に向けた重点課題と今後の取組のあり方について説明があり、議論
が行われました。
 専門委員からは、核燃料サイクル政策は、将来のエネルギー資源確保という
観点だけではなく、高レベル放射性廃棄物の低減という側面もあり、有力な選
択肢の一つである、インド、ロシア、中国、フランスでも高速炉の開発を進め
ており、我が国としてどのように連携して研究開発を進めるかを考えていくべ
き、原子力施設立地地域毎に、国、自治体、事業者、立地地域住民の4者が法
的根拠の下で協議できる場を作ることを目指すべき、等の意見がありました。

●次週の専門部会等開催情報
・第20回新大綱策定会議を開催します。
 開催日時:平成24年5月29日(火) 9時00分〜12時00分
 開催場所:東海大学校友会館 阿蘇・朝日の間
     (東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階)
 議題: (1) 放射線利用について
     (2) 原子力の基盤的な研究開発のあり方について
     (3) その他

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

故郷の味

 3か月位前に中学時代の友人と飲んだ時に、当たり前だが故郷の話になった。
私が生まれた石川県の南加賀地方には「柿の葉寿司」という食べ物がある。柿
の葉っぱの上に酢飯を盛り、その上に具を載せる。さらにもう一枚の柿の葉で
蓋をして、木桶に入れて漬物石で1日漬けて食べる料理だ。
 載せる具は家々で違っていて、我が家はしめ鯖と紅生姜を組合せたのと、棒
鱈と田麩と錦糸卵の2種類を漬けていた。自分の生れ育った在所では、柿の葉
寿司は6月と9月の祭りの時しか作らず、子供の頃の自分にとっては大変なご馳
走で、我慢できずに夜中盗み食いをして母親からひどく叱られたことを今でも
記憶している。
 高校を卒業し、親元から離れて30年近く過ぎた。もう20年以上柿の葉寿司を
食べていないなあと実感した。たまたまだが、自宅には柿の木が植えてあるか
ら、今年は女房と娘に作らせよう。
(山口)

●次号配信は、平成24年6月8日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
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