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第101号 原子力委員会メールマガジン 家族の目線


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.101 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2012年5月11日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 秋庭委員からひとこと 家族の目線
┣ 定例会議情報 量子ビーム応用研究について
┃        提言「放射能対策の新たな一歩を踏み出すために」
┃        被災地の農林水産・畜産業支援のための東京大学農学部の
┃        取組みについて 等
┣ 部会情報等  第17回新大綱策定会議の開催について 等
┣ 事務局だより 相手の気持ちになって
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.htmlまで、ぜひお寄せください。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

家族の目線
                              秋庭 悦子

 ゴールデンウィークを家族と一緒に緑の濃い野山で楽しんだ方も多いのでは
ないでしょうか。また、帰省等で家族の絆の大切さを改めて感じた方もいらっ
しゃることと思います。
 福島事故のために、家族が別々に暮らしている方たちもそろって笑顔で食卓
を囲むことができたかしらと気がかりです。一日も早く、元の生活を送ること
ができるように、原子力委員会も責務を果たしていきたいと思っています。
 少し前のことになりますが、3月初め、南相馬市の除染対策室を訪問し、除
染計画の進捗状況や住民説明会などの様子をお伺いしました。除染計画はすで
に昨秋から作成しており、住民説明会は12回開催しているものの、汚染土壌の
仮置場の問題などは、予想以上に困難な課題となっているとのこと。「安全の
問題は専門家が科学的に説明してもなかなか信頼されません。信頼関係をつく
るには、とにかくコツコツ除染し、納得のいくまで話し合うことしかありませ
ん。」という除染室長の言葉に毎日、市民と対応している現場のご苦労が滲み
出ていました。
 その室長から、「市内に子供たちが遊んでいる姿を見なかったでしょう。小
さな子供を持つ30〜40代の母親も少ないので、市内のスーパーもパート従業員
が集まらないそうです。そのため、スーパーの開店時間が短くなっています。
」と聞きました。今や南相馬市は単身赴任の町となっており、お弁当屋さんや
居酒屋さんが盛況とのこと。
 同じことを保育園の副園長先生からも伺いました。子供の健康を案じて、子
供と母親が遠隔地に避難しているために、様々な弊害が起きており、何よりも
子供が日々成長していることが父親に伝わらないことが残念だとお聞きしまし
た。そこで、単身で頑張っているお父さんのために「お父さん会議」を開催し、
除染活動、医療や福祉、子供の教育、仕事や雇用など様々な悩みを話し合い、
連携を強めたそうです。3月24日に原子力委員会が郡山市で開催した「ご意見
を聴く会」でも、最初にご意見を聴かせてくださった方は、家族を岡山に避難
させている方でした。「もう平凡な父親に戻りたい。子育てをして、普通に子
供と戯れたい」とおっしゃった言葉が今も耳に残っています。
 一方、避難している母親も見知らぬ土地で子育てしており、孤立感が強まっ
ています。また、市内に留まっている親たちも、子供の被ばくを心配して、外
で遊ばせることもできず、家の中で子供のストレスを受け止めねばならない状
況であり、「子育てが楽しくない」という親が増えているとのこと。つまり、
問題なのは、子供の健康を心配するあまりに、大人の健康不安やストレスが大
きくなっていることです。
 そこで、できるだけ早く安心できるレベルに除染をすることが最重要である
ことはもちろんですが、とりあえず、「家族が不安を忘れる1日」の過ごし方
が必要になっています。現在、子供を持つ家族の休日の過ごし方は、南相馬か
ら車で約2時間かけて仙台のショッピングモールに行き、子供たちはインドア
パークで思いっきり走り回り、親たちはショッピングや映画、マッサージ、エ
ステでストレス解消というのが典型になっているとのこと。しかし、相馬地域
にも家族が安心して楽しめる施設があったなら、もっと家族が一緒に過ごせる
時間が増えるのではないでしょうか。例えば、いわき市にあるハワイアンリゾ
ートのような温浴施設、あるいは映画館や楽しいイベント会場があったなら子
供から高齢者まで楽しむことができることでしょう。
 避難区域の見直しが行われ、本格的な除染が始まった4月以降、復興庁の「
福島研究開発・産業創造拠点構想」案など、新しい地域のあり方が示されてい
ます。企業、大学、研究機関の協力の下、医療やエネルギー、放射線管理など
様々な研究開発・産業創造拠点の具体化が検討・推進されることになっていま
す。国内外から多くの研究者が集まって叡智を結集し、国際協力を推進するこ
とは大変重要ですが、合わせて、地域で家族が楽しく暮らすための文化的、健
康的な拠点づくりも忘れてはならないと思っています。もちろん、その楽しい
プラン作りには地域の方たちが中心となり、国や自治体は支援する側に回る必
要があります。新しい地域づくりには「家族の目線」が必要と言う保育園の副
園長先生の言葉が胸に響いています。

●次号は大庭委員からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●4月24日(火)第15回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホーム
ページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】独立行政法人日本原子力研究開発機構における量子ビーム応用研究
について(独立行政法人日本原子力研究開発機構 理事 南波秀樹氏)
<主なやりとり等>
 日本原子力研究開発機構理事南波氏より、原子力機構の主要な量子ビーム施
設を利用した、科学技術・学術分野、工業分野、医療分野等における研究成果
の説明がありました。
 各委員からは、成果の応用先が明確に見えない基礎基盤研究及び施設の維持
管理に必要な予算は現状で十分か、産学連携の一環として企業が施設を有効利
用することを推進するために、どのような取組を行っているのか、等の質問が
ありました。

●5月1日(火)第16回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホームペ
ージに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】提言「放射能対策の新たな一歩を踏み出すために」について(日本学
術会議 副会長 春日文子氏)
<主なやりとり等>
 日本学術会議副会長春日氏より、原子力発電所からの放射性物質の放出総量
等の推定値から、被災した方たちの被ばく時間と被ばく量を推定し、その結果
危惧される健康への影響について説明がありました。また、この評価を通じて、
放射線被ばくによる健康影響評価の改善に向けた提言がありました。
 各委員からは、学術界による社会とのリスクコミュニケーションの強化につ
いて、具体的にどのような方法があるか、今後30年間の累積被ばく量の試算結
果には、どの程度の精度があるのか、等の質問がありました。

●5月8日(火)第17回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホームペ
ージに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】被災地の農林水産・畜産業支援のための東京大学農学部の取組みに
ついて(東京大学 教授 中西友子氏)
<主なやりとり等>
 東京大学教授中西氏より、震災復興支援への取組として、福島の農地や作物
等の放射能汚染の測定結果、及び稲のセシウム吸収疑似実験結果等の説明があ
りました。
 各委員からは、本取組の成果は農畜産物生産者だけではなく、一般消費者に
とっても有益な情報であるが、情報提供はどのような形で行っているのか等の
質問がありました。

【議題2】北陸電力株式会社志賀原子力発電所の原子炉の設置変更(1号原子炉
施設の変更)について(諮問)(原子力安全・保安院)
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院より、北陸電力が志賀原子力発電所1号炉にウラン・プ
ルトニウム混合酸化物燃料を取替燃料の一部として採用するための設置変更許
可申請を行っており、審査の結果、経済産業大臣は同申請を問題ないと判断し
ていることから、当委員会に意見を聴きたい旨の諮問内容の説明がありました。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回定例会議は5月15日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
 (1) 日本原子力学会の福島特別プロジェクトについて(日本原子力学会 副
   会長 野村茂雄氏・澤田隆氏)
 (2) その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案
内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームペ
ージでご覧いただけます。

●4月24日(火)第17回新大綱策定会議の概要は以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 フランス原子力庁から、フランスにおける核燃料サイクルの現状及び研究開
発の状況についてヒアリングを行いました。次に、有識者から、不確実性のあ
る技術に対する研究開発の進め方についてヒアリングを行いました。続いて、
事務局より、現行の原子力政策大綱における放射線利用に関する基本的な考え
方について説明がありました。その後、日本原子力研究開発機構及び放射線医
学総合研究所より、原子力機構における放射線利用と量子ビーム応用研究の成
果、並びに放射線の医学的利用のための研究、放射線安全・緊急被ばく医療研
究、等についてそれぞれ説明があり、議論を行いました。
 専門委員からは、フランスがエネルギーの独立性と安定確保を他の欧州諸国
と比較して重要視するのは何故か、不確実性の高い巨大技術開発のマネジメン
ト成功例は何か、セシウムの捕集材を将来的に原子炉施設で活用するための課
題は何か、等の質問がありました。また、放射線利用の一環として、放射性同
位元素については工業製品の開発等に貢献していることから、その利用につい
ても資料に含めるべき、等の意見がありました。

●4月27日(金)第13回原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の概要
は以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 事務局より、原子力比率I、II、IIIに対する各シナリオの定性・定量評価結
果及び使用済燃料の返送リスク等について、前回の議論を踏まえて改訂した資
料について説明を行いました。続いて、座長より、核燃料サイクルの政策選択
肢の評価に関するまとめ(案)等について説明があり、議論を行いました。
 専門委員からは、現状の世論を踏まえるとプルサーマルの実施が課題となる
ことを明記すべき、総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で議論となった
原子力比率が2030年で15%となるケースを当小委員会でも評価すべき、等の意
見がありました。
 次回の会合において、専門委員の意見を踏まえて改訂した資料とともに、各
政策選択肢の総合評価(案)を提示することとなりました。

●5月8日(火)第14回原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の概要は
以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 事務局より、前回の議論を踏まえて改訂した原子力比率I、II、IIIに対する
各シナリオの定性・定量評価結果の資料、及び原子力比率II’として2030年で
原子力比率15%としたときの定量評価結果の資料について説明がありました。
続いて、日本原子力研究開発機構より、原子力比率II’を対象とした、2030年
以降の長期的な天然ウラン需給量、使用済燃料貯蔵量、放射性廃棄物発生量等
について評価した結果の説明がありました。次に、文科省より、高速増殖炉サ
イクルの研究開発の現状について説明があり、その後、事務局より、政策選択
肢の「留保」の考え方、改訂した各代表シナリオの総合評価(案)、政策選択肢
の総合評価(案)について説明があり、議論が行われました。
 専門委員からは、もんじゅによる国際協力とは具体的にどのようなものか、
等の質問や、留保として不確定要素が見通せるまでは政策を決めないと言う選
択もあり得るが、意志決定を遅らせることによるメリット・デメリットを国民
の皆様に説明出来るようにするべき、再処理/直接処分併存政策は留保とは異
なることが分かるように説明するべき、等の意見がありました。

●5月9日(水)第18回新大綱策定会議の概要は以下のとおりでした。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の鈴木座長より、5月8日に
行われた代表シナリオの総合評価(案)、政策選択肢の総合評価(案)等の説明が
あり、議論が行われました。
 専門委員からは、全量直接処分が最も安い結果となったのは、現行の原子力
政策大綱を作成していたときと同じであるが、それ以降の変化を踏まえて、ど
のような課題が出てきたのかを政策選択の議論において考慮する必要がある、
原子力関連施設の受入れについて地元は国を信頼して協力してきたものであり、
政策の一貫性が重要である、政策が間違っている場合には変更すべきであり、
変更を認めないと言うことはあり得ない、六ヶ所再処理工場が稼働しようとし
ている重要な時期であることから、意志決定するための具体的な方針が決まる
までは政策決定を留保することも選択肢としてあり得る、等の意見がありまし
た。

●次週の専門部会等開催情報
・第15回原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会を開催します。
 開催日時:平成24年5月16日(水) 9時00分〜12時00分
 開催場所:東海大学校友会館 阿蘇・朝日の間
     (東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビル35階)
 議題: (1) 核燃料サイクルの政策選択肢の定量的評価について
     (2) その他

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

相手の気持ちになって

 4月から原子力委員会の事務局で執務している柳澤です。まずは自己紹介を
させてください。昭和55年生まれの31歳、既婚、息子は3歳。趣味はサッカー
とサッカー後のビール。生まれは東京、そこから西宮、旭川、福島、札幌、旭
川、八王子、水戸と渡り歩き、水戸に35年ローンでマンションを契約したと思
ったら東京勤務が決まってしまい、単身赴任で上京して現在に至ります。
初投稿となる今回は私の家族について書きたいと思います。私が妻に感謝して
いることの1つに、彼女がいつも私の応援団として活躍してくれることがあり
ます。もともと元気だけがとりえのような彼女ですが、東京で単身生活をして
いる私にとっては、いつでもバックアップしてくれる心強い存在です。
 そんな彼女でも昨年の福島原発事故の後は、茨城で当時2歳の子供と暮らし
ていたこともあり、いろいろと不安があったようです。私は原子力に関わる仕
事をしていたため、ラジオやテレビの速報が出るたびにその内容を説明してい
ました。ですが、彼女が安心できた一番の薬は、自分の近くにいる信頼できる
人間に「大丈夫だ」と言われたからだと後になって聞きました。原子力に限ら
ず、他の業界や、はたまた日常生活においてでも、相手に自分の考えを聞いて
もらいたいときには、どれだけ相手の近くに立って、相手の気持ちになって考
えることができるかが大事なのだと実感しました。
 これからも、こんな気持ちを少しでも持って仕事をしていきたいなと思いま
す。
(柳澤)

●次号配信は、平成24年5月25日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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