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第88号 原子力委員会メールマガジン 3月11日から231日目の今日に思う


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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2011年10月28日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 近藤委員長からひとこと 3月11日から231日目の今日に思う
┣ 定例会議情報 原子力発電に係わるシンポジウム等の不適切な運用に関す
┃        る今後の対応方針について
┃        除染に関するIAEAミッションの予備調査結果の概要報告
┃        書について
┃        NUMO2010年技術レポートについて 等
┣ 部会情報等  第8回新大綱策定会議の開催について 等
┣ 事務局だより 赴任一月に当たって
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.htmlまで、ぜひお寄せください。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

3月11日から231日目の今日に思う
                              近藤 駿介

3月11日から231日が経過した。あの日以来、損傷した原子炉の安定化を目指す
取組のあり方、汚染された地域の効果的な除染活動のあり方、事故を踏まえた
既存の原子力発電所の改良・改善のあり方、そして、こうした活動を地域社会
に信頼していただく取組のあり方を考え、その間に地震を感じたら昼夜を分か
たずインターネットで震源位置と強さを調べることが習慣になってしまった。
福島では今なお平均して一日に一度は有感の余震が発生している。これを確認
するたびに、福島県の環境放射線量を低減するために尽力されている人々やサ
イトにおいて原子炉施設の安定化に取り組んでいる人々のことを思い、その仕
事を妨げるような余震が起きないことを心から祈る毎日である。

この間、国際社会へのこの事故に関する情報発信の重要性を説き、国際原子力
機関(IAEA)に対する政府報告書の作成を2度にわたってお手伝いしてきた。2
度目の報告に関しては、緊急時に備えてオフィスを離れることなかるべしと自
らに課してきた禁を破って、ウイーンで開催のこの報告書の内容を紹介する政
府主催の会議に出席し、除染の取組の基本的考え方に関する部分の説明を行っ
た。説明を終わったら、会場に詰めかけた多くの人々から思いもかけず大変な
拍手をいただき、福島の復興に期待する世界の原子力関係者の連帯の心を強く
感じた。

10月に入ってIAEAの除染活動評価チームが来日し、また、IAEAや経済協力開発
機構(OECD)原子力機関(NEA)の協賛を得ての除染に関する国際シンポジウム
が開催された。ここでは、これまで多くのボランティアの専門家が参加しての
福島における地域の皆さんによる除染の取組が高く評価された。今後、こうし
た取組で見えてきた課題の解決を図りつつ、線量の高い地域の生活環境を修復
する取組が本格的に推進されなければならない。それには地域社会の希望を踏
まえた、詳細な線量モニタリングと安全評価にもとづく、費用対効果比の高い
取組の計画の策定と実施に協力していただく専門家の数が格段に多く必要にな
る。原子力関係者には、環境や廃棄物管理、放射線医学の専門家と連携しつつ、
積雪期を迎える前にこれに集中的に協力することを強くお願いしたい。

総理がニューヨークでの講演で、中・長期のエネルギー政策については来年の
夏ごろに取りまとめることを目指しているとされたように、このことに関する
政府の取組が始まっている。そこで、いまだ事故の収束をみていないのに原子
力政策のあり方を考えるとは何事かとの批判を覚悟して、原子力委員会は中断
していた新大綱策定会議を再開した。再開に当たっては、原子力安全確保シス
テムに対する信頼が確保されていることが原子力政策推進の前提であるし、現
在も10基の原子力発電所が稼働中であり、定期検査の終了したプラントの再起
動のためのストレステストが進められているから、この信頼の回復が喫緊の課
題であることを議場が共有できるのではと考えた。世界の多くの国ではすでに
稼働中のプラントの安全性に関して事故から学んだ教訓を反映し始めているし、
総理が同じ演説で、我が国は原子力発電の安全性を世界最高水準に高めると述
べたのだから、原子炉設置者や規制責任を有する行政当局は、世界に率先して
事故の再発防止策を整備し、その妥当性について国民と対話を重ねて信頼を回
復することに努めるべきである。しかし、それが遅々としていると感じられた
ので、このことについて審議し、できれば、原子力の将来をどう考えるにしろ、
これだけは国際規範に則ってしっかりしてくれと提言できればと考えた。しか
し、議場では、どうして国際規範が原子力安全規制に速やかに反映されてこな
かったのかという問いかけ、いや規制規範に新知見を取り入れるのには長時間
を要する状況があるのだというやりとりもあったが、政府の事故調査・検証委
員会の報告が出ていない段階でかくあるべしとするのは時期尚早、との意見も
少なからずあり、緊急に行動することについて共同意思が形成されるには至ら
なかったなと反省している。しかし、この間にも原子力発電所は稼働している
し、日本は何を考えているのかと世界が注目している。ようやく規制当局も自
ら事故原因の分析に着手したようである。原子力安全規制組織や原子炉設置者
には、安全文化、すなわち安全確保の活動には、その重要度に相応しい注意と
力を注ぐという態度を貫いてその責任を果たすべく、この会議の議事も参考に、
信頼されることを信頼して、たくさんの汗をかいて取り組んでいただきたいと
思う次第である。

●次号は鈴木委員長代理からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●10月18日(火)第40回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】原子力発電に係るシンポジウム等の不適切な運用に関する今後の対応
方針について(経済産業省)
<主なやりとり等>
 経済産業省から、国主催のシンポジウム等における国の関与に関する事実関
係の解明及び評価、再発防止策の検討を目的として設置された第三者調査委員
会の最終報告書の説明がありました。この報告書を踏まえ、経済産業省は、
(1)国の電力会社への偏った働きかけの禁止、(2)シンポジウム等の運営に
係る「行動規範」の策定とその徹底、(3)広聴・広報の専門家によるアドバイザ
リー・ボードの設置、という再発防止策を講ずる旨の報告がありました。
 委員からは、アドバイザリー・ボードの法的な位置づけはどうするのか、広
報・広聴がより良い方向となるように、国が主催するシンポジウム等のあり方
を議論して欲しい、等の質問・意見がありました。

【議題2】除染に関するIAEAミッションの予備調査結果に関する概要報告書及び
環境の再生に向けた除染に関する国際シンポジウムの結果概要について(内閣
府)
<主なやりとり等>
 内閣府(原子力被災者生活支援チーム)から、IAEAによる福島第一原子力発
電所外の広範囲に汚染された地域の除染に関する報告書及び、10月16日に福島
県で行われた、国際シンポジウムについて説明がありました。
 委員からは、IAEAの報告書にある助言を今後どのように活用していくのか、
過度な風評被害の問題もあることから、除染に関する正確かつ信頼性の高いデ
ータを提示しながら、安全を確保しつつ基準の合理化を進めることが大事、等
の質問・意見がありました。

●10月25日(火)第41回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】NUMO2010年技術レポートについて(原子力発電環境整備機構 理事 
武田精悦氏)
 原子力発電環境整備機構(NUMO)より、現在までの地層処分技術の整備状況を
まとめた報告書「地層処分事業の安全確保(2010年度版)」の説明がありました。
 委員からは、地層処分事業における今後の課題は何か、この報告書を立地活
動の推進にどのように役立てようとしているのか、等の質問がありました。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回定例会議は11月1日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・第18回日仏原子力専門家会合(N-20)の結果について(社団法人日本
 原子力産業協会 理事長 服部拓也氏)
・平成24年度原子力関係経費概算要求額総表について
・原子力防護専門部会の構成員について
・その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームペ
ージでご覧いただけます。

●10月25日(火)に第3回原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会を開
催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 事務局より、核燃料サイクルコストの試算結果、原子力発電所の事故リスク
コストの試算結果、等について説明がありました。今回の議論の結果を10月26
日の第8回新大綱策定会議で報告することとなりました。
 専門委員からは、核燃料サイクルコストの試算結果については、プルトニウ
ムや回収ウランの価値を考慮すべき、将来のコスト増の影響をより正確に評価
すべき、等の意見が出されました。事故リスクコストの試算結果については、
モデルプラントの事故発生頻度に世界標準を採用すべきとする意見が出された
一方、福島第一原子力発電所で実際に起きたことを踏まえた事故の頻度を採用
すべきとの意見も出され、併記することとしました。また、今回の試算結果は
海外も注目していることから世界へ発信していくべき、等の意見がありました。

●10月25日(火)に第25回原子力防護専門部会を開催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 原子力防護専門部会に設置された技術検討ワーキング・グループ座長より、
「福島第一原子力発電所事故を踏まえたセキュリティ上の課題への対応」の検
討結果について報告がありました。
 また、事務局より、技術検討ワーキング・グループについてのメンバー変更
について報告がありました。
 専門委員からは、検討結果の本専門部会における位置付け、セキュリティに
係る機能の維持の重要性及びセキュリティ強化に対する国民の理解と協力要請
の考え方、等の意見がありました。

●10月26日(水)に新大綱策定会議(第8回)を開催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 事務局から、『新大綱策定会議(第6回、第7回)における委員からの質問に
対する回答』と『今後の安全確保』について説明がありました。また、原子力
発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会の座長より、核燃料サイクルコスト
及び事故リスクコストの試算の検討状況について説明がありました。
 専門委員からは、定量化した安全目標を定めるとともに、課題抽出して検討
の優先順位をつけるべき、事故調査委員会の結論をふまえて安全確保の議論を
すべき、経済価値で表せるものだけではなく、定量化できないメリットも含め
て議論すべき、事故リスクコスト試算を民間の保険会社に対して依頼すべき、
等の意見がありました。
 
●10月28日(金)に第5回東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期措
置検討専門部会を開催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院及び東京電力株式会社より、福島第一原子力発電所の事
故の収束に向けた道筋のステップ2終了から3年程度以内の安全確保に関する説
明等がありました。続いて事務局より、同発電所の中長期的な廃止措置に係る
研究開発体制及び、研究開発のロードマップの素案について説明がありました。
 専門委員からは、研究開発の推進本部は各プロジェクトリーダが協議をする
ような場所ではなく、予算や研究の進捗状況を一元管理できるような組織とす
るために、政府の強いコミットメントが必要、国民の皆様からの信頼回復に向
けて、地元に進捗状況の説明を行うとともに、地元の人材育成や産業育成につ
なげるべき、等の意見がありました。

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

赴任一月に当たって
 
この度、10月に赴任して原子力委員会事務局で勤務しています。3月11日
のときは茨城で地震に遭い、数日間の停電・断水を過ごした後、入ってきた情
報から震災の被害の大きさを知ったときの驚きは今もよく思い出します。赴任
して1ヶ月弱、慣れない環境の中で戸惑うばかりの毎日ですが、このような大
事な時期に日本の原子力政策をあずかる職場で仕事ができる機会に恵まれ、大
変光栄に感じています。今は原子力委員会で多くの会議が同時並行で進んでい
る状況ですが、このスピード感に早くついて行けるよう頑張りたいと思います。

東京で仕事をするのは2度目で、前回は20台後半のときでした。東京には目
移りするほどに色々な飲食店があり、しかも夜遅くまで開いている店がたくさ
んあるので、帰ったら晩御飯が待っているにもかかわらず、夜になると食事を
していました。しかも、ラーメン、とんかつ、うなぎなど、こってりしたもの
がお気に入りなので、東京勤務を終えるころには10数キロ体重が増え、運動
不足との合わせ技で腰痛になったり健康診断で多数引っかかったりと、ろくで
もないことになりました。その後、減量して元の体重に戻りましたが、今回は
同じ轍を踏まないように注意しようと思っています。しかし、今回は単身赴任、
帰宅しても晩御飯は待っていないので、その点は前回より有利かと楽観してい
る次第です。
(阪本)

●次号配信は、平成23年11月11日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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