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第84号 原子力委員会メールマガジン なぜ今新大綱策定なのか:実りある政策議論をめざして


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No. 84━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2011年9月2日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 鈴木委員長代理からひとこと なぜ今新大綱策定なのか:実りある政策議
┃               論をめざして
┣ 定例会議情報 新大綱策定会議の再開について
┃             原子力安全規制のあり方について(見解) 等
┣ 部会情報等  東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期措置
┃        検討専門部会(第2回)の概要 等
┣ 事務局だより 田舎の鼠
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.htmlまで、ぜひお寄せください。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
なぜ今新大綱策定なのか:実りある政策議論をめざして
                             鈴木 達治郎

 8月30日の定例会議にて、新大綱策定会議の議論を再開することを決定しま
した。ちょうど菅政権の最後の日であり、野田新首相が誕生した日に重なって
しまい、「なぜこの時期に…」といった批判も出てくるでしょう。詳細は委員
会決定の文章を参照していただければよいかと思いますが、まず何よりも、事
故の収束、環境修復に向けての努力継続が最優先課題であることは変わりませ
ん。いまだに事故が収束しておらず、事故直後から避難されている方々、また
被ばくの不安を抱えながら生活を続けておられる方々のことを思うと、何より
も事故の収束、除染の進展、環境修復に向けての努力が最優先課題であると思
っています。その前提の上で、現時点で新大綱策定の議論を始めることに対す
る、私の個人的な思いを述べたいと思います。
 第一に、これまでの原子力政策に対する責任について、深い反省と自己検証
をする必要があります。このような深刻な事故につながった原子力政策の根本
的課題について、自らが反省し、検証することも必要と考えています。
 第二に、いかなる状況にあっても、原子力政策の課題について短・中期的視
点から政策の企画・審議・決定を行うのが原子力委員会の責務でもあります。
エネルギー・環境会議における中間的な整理(7月29日)によりますと、「原
子力政策の聖域なき検証」が求められています。ここでは、「原発への依存度
低減のシナリオを具体化するに当たり…どの程度の時間をかけてどこまで依存
度を下げていくのか、新世代の原子力技術開発をどう扱うのか、バックエンド
問題や核燃料サイクル政策をどうするのか、世界最高水準の安全性の実現や現
存する原子力発電の安全確保を担う技術や人材の確保・育成をどう図るのか、
国際機関や諸外国との協調・協力強化をどのように強化していくのかといった
点も含めて、明らかにする」とあり、このような課題について、見解をまとめ
ていく必要があります。
 第三に、原子力政策の選択肢を提示し、その評価をすることが必要です。上
記のような課題を検討するうえで、考えられる原子力政策の具体的な選択肢を
提示し、それらについて包括的な評価を実施しなければなりません。原子力の
依存度を下げていく、という大きな枠の中でも、様々な選択肢が考えられ、そ
れらについて冷静で客観的なデータに基づき、幅広い視点からの評価を実施し
ていく事が望まれます。
 第四に、どのような選択をするにせよ、原子力政策として今後10年程度、ま
ず取り組まなければいけない課題について整理し、具体的な行動計画につなげ
ていけるよう、政策を提示することが求められます。将来の原子力の姿がどう
なろうとも、現時点で取り組まなければならない課題は数多く存在しています。
例えば、既存原子力発電所の安全確保、使用済燃料の安全な貯蔵、放射性廃棄
物の処理・処分などがあげられます。これらの課題については、遅滞なく議論
を進めていかなければいけません。
 第五に、国民の信頼回復に向けての努力を尽くすことが必要です。今回の事
故で失った国民の信頼を回復することは容易ではありません。安全規制のみな
らず、政府の意思決定全体に対する信頼を回復することは、将来の原子力の姿
にかかわらず極めて重要な課題です。上記中間的な整理においても、「国民合
意の形成に向けた三原則」として、「反原発と原発推進の二項対立を乗り越え
た国民的議論の展開」、「客観的なデータに基づく検証」、「国民各層との対
話」があげられています。これらすべてを新大綱の議論にも当てはめて進めて
いかねばならないと考えています。
 以上、5つの課題を審議し、決定していく場として、原子力委員会としては
新大綱策定会議を再開することが適切であると判断した次第です。もちろん、
この新大綱策定会議の場以外でも、原子力の将来やエネルギー政策についての
議論が実施されることは歓迎すべきことと考えています。そのような他の議論
の場にも貢献できるよう、新大綱策定会議における議論は、すべて公開で、透
明性を確保し、建設的で公正な議論に努める所存です。また常にウエブサイト
で国民の皆様からのコメントを受けつけていきます。そういったプロセスを通
じて、原子力にかかわる情報が開示され、その情報ができる限り多くの方に共
有されていくこと。これこそがより実り多い「国民的議論」につながるものと
信じています。

●次号は秋庭委員からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●8月23日(火)第32回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】東京電力(株)福島第一原子力発電所事故に伴う除染活動について
(NPO法人放射線安全フォーラム 副理事長 田中俊一氏)
<主なやりとり等>
 NPO法人放射線安全フォーラムの田中副理事長より、福島県における除染
活動の現状や課題について説明がありました。住民が安心して暮らせる状況ま
で除染を行うには、継続的かつ効果的な除染を行う必要があり、住民の健康管
理など精神的ストレスを軽減させることが重要とのことでした。
 委員からは、国の責任で除染を行うとして期待される具体的な内容は何か、
民家1軒を除染するのにかかる時間や費用などはどれくらいか、汚染された廃
棄物の処分場を確保するためには何が必要かなどの質問がありました。

●8月30日(火)第33回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

【議題1】除染における対応状況について(原子力災害対策本部)
<主なやりとり等>
 原子力災害対策本部より、8月26日に決定された「除染推進に向けた基本的
考え方」について説明があり、除染の進め方、年間推定被ばく線量の軽減に係
る目標、廃棄物の処理方策などについての具体的な考え方が示されました。
 委員からは、作業する人の被ばく管理はどのようになされるのか、自治体や
住民は国のどの機関に相談すればよいのかなどの質問がありました。

【議題2】福島県内等の災害廃棄物の対応について(環境省)
<主なやりとり等>
 環境省より、福島県やその他の県における災害廃棄物の対応について説明が
あり、可燃物・不燃物別の具体的な処理方針、焼却灰の放射性セシウム濃度の
測定結果などが示されました。
 委員からは、廃棄物の仮置き場についてどのように住民に説明していくのか、
最終処分場について現段階でどのような議論がなされているのかなどの質問が
ありました。

【議題3】新大綱策定会議の再開について
<主なやりとり等>
 原子力委員会では、3月11日に発生した事故を踏まえ、新大綱策定会議を中
断していましたが、事故の収束に向けた取組に一定の進展が見られたこと、6
月のIAEA閣僚会議に提出された報告書において現時点における事故の教訓等が
とりまとめられたこと、エネルギー・環境会議がとりまとめた中間的な整理に
おいて原子力政策を含めた革新的エネルギー・環境戦略を策定するための論点
と日程が示されたこと等の状況を踏まえ、原子力政策大綱の策定に向けた検討
を再開し、今後一年を目途に新しい原子力政策大綱をとりまとめることを決定
しました。

【議題4】原子力安全規制のあり方について(見解)
<主なやりとり等>
 原子力委員会では、3月11日の事故後、各方面の有識者から今後の原子力政
策についてヒアリングを実施してきました。それらを踏まえ、今後の原子力安
全規制のあり方について見解をまとめました。
 見解では、新たな原子力安全規制行政組織の設計にあたって配慮されるべき
事項と、組織の運用段階において配慮すべき事項をまとめています。

【議題5】鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張について
<主なやりとり等>
 事務局より、9月2日から9月8日にかけてスリランカへ出張することにつ
いて説明がありました。
 「途上国のためのエネルギー選択肢」の会議に出席し、「福島原子力発電所
事故から学ぶ教訓と生じ得る影響」と題した特別講演を行うほか、2004年12月
に発生したスマトラ沖大地震により発生したインド洋大津波の被害を受けた施
設を視察する予定です。

【議題6】尾本原子力委員会委員の海外出張について
<主なやりとり等>
 事務局より、8月31日から9月3日にかけてタイ王国へ出張することについ
て説明がありました。バンコクで開催される原子力におけるセキュリティ・安
全・保障措置に関する国際会議に出席し、福島第一原子力発電所の事故に関す
る説明を行い、関係者らとの意見交換を行う予定です。


※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回定例会議は9月6日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・水洗浄による放射性セシウム汚染土壌の除染方法について(東北大学教授 
石井慶造氏)
・福島第一原子力発電所事故に伴うCs137の大気降下状況の試算−世界版SPEE
DI(WSPEEDI)を用いたシミュレーション−(独立行政法人日本原子力研究開発
機構 原子力基礎工学研究部門 副部門長 茅野政道氏)
・その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━
●原子力委員会には、調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されてい
ます。これらの部会や懇談会等は原則として一般に公開しており、どなたでも
傍聴することができます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームペ
ージでご覧いただけます。

●9月5日(月)に原子力防護専門部会(第24回)を開催します。
開催日時:平成23年9月5日(月) 10時00分〜12時00分
開催場所:中央合同庁舎4号館 12階 全省庁共用1208特別会議室
     (東京都千代田区霞が関3−1−1)
議題:・核セキュリティの確保に対する基本的考え方(案)について
   ・その他
 

●8月31日(水)に第2回東京電力(株)福島第一原子力発電所における中長期
措置検討専門部会を開催しました。
詳しくはホームページに掲載される議事録をご覧下さい。
<主なやりとり等>
 前回の部会で示された5つの技術課題を踏まえ、福島第一原子力発電所にお
ける具体的な作業フローや、必要と考えられる研究開発項目について議論が行
われました。
 専門委員からは、限られた時間で効果的な研究開発を行うためには、現場と
一体となった研究開発体制のマネージメントが重要、作業員や住民のリスクを
可能な限り低減させることに配慮して実施していくことが重要などの意見があ
りました。

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
田舎の鼠

 はじめまして。今夏より、ここ原子力委員会事務局で業務をはじめました犬
飼です。
 突然ですが、イソップ物語に「田舎の鼠、都会の鼠」という話があります。
物語の最後に田舎から都会に招待された鼠が、都会の便利さ、恐ろしさを両天
秤にかけ、田舎が不便であっても良として帰っていくお話です。
 今、私が携わっている原子力というエネルギーも福島第一原発事故以降、全
国民の間で両天秤にかけられているエネルギーであろうと思っております。
 原子力エネルギーを両天秤にかけるにあたっては、放射線・放射能の恐ろし
さ、生活の便利・不便だけでなく、国全体のエネルギー、環境問題、経済問題
等々について真剣に考えることが必要と考えますが、現在の皆様個人の両天秤
に乗っているおもりは偏っていないでしょうか。また、おもりを乗せた勢いで
下がった天秤を選択していないでしょうか。
 これから始まる日本国としての原子力エネルギーを両天秤にはかる原子力政
策大綱策定にあたっては、おもりを正確に取捨選択し、冷静に議論を深めるこ
とのできるよう事務局として携わってまいります。
 最後に私ごとでございますが、今夏、東京に比べると田舎に相当する場所か
ら都会に出てきて一か月です。都会の水があうのか、あわないのかについても、
これからの生活の中でじっくりと両天秤にかけて判断していきたいと思ってお
ります。
(犬飼)

●次号配信は、平成23年9月16日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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