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第79号 原子力委員会メールマガジン フクシマを復興の「聖地」に



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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2011年6月24日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 鈴木委員長代理からひとこと フクシマを復興の「聖地」に
┣ 定例会議情報 今後の原子力政策に関する有識者ヒアリング
┃                第8回ITER理事会の開催結果について
┃         鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張報告について
┃        尾本原子力委員会委員の海外出張について 等
┣ 部会情報等  
┣ 事務局だより 東京生活
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.htmlまで、ぜひお寄せください。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
フクシマを復興の「聖地」に
                              鈴木達治郎

 東京電力福島第一原子力発電所事故は、いまだ収束できていないものの、こ
れ以上の大量の放射性物質放出をもたらすような可能性はかなり低くなってき
ているなど、少しずつではありますが光が見え始めています。ただ、大量の汚
染水の処理等、楽観は許しませんし、収束までには新たに多くの課題が出てく
ることも考えられます。現場の作業員の健康状態も心配です。このような課題
に取り組む現場の皆様に心より敬意を表したいと思います。

 一方、避難を余儀なくされた周辺住民の方々の状況を考えると、心休まる日
はありません。一刻も早く、汚染状況を把握し、被ばく管理体制などを整え、
住民の皆様が安心して戻れる環境を作ることが最優先課題だと思います。ここ
でも、現地で活躍されている方々の努力に心から感謝申し上げたいと思います
。

 エネルギー政策として短期的に重要な課題が、既存原子力発電所の安全確保
、停止中発電所の再稼働問題です。浜岡原子力発電所は運転を停止したものの
、他の原子力発電所については、海江田大臣が「安全宣言」を出しました。し
かし、地元自治体の声は大変厳しいのが現状です。原子力委員会としても、5
月10日の見解において、「安全規制機関は決意を新たにして、…このリスク管
理活動の目標を改めて明確にし…. 取組が不十分と判断された場合には、法令
に基づき運転停止を含め厳格な対応をとることが必要」としています。さらに
、「国民に対して(これらの取組について)丁寧に説明していくべきと考えま
す。」と述べており、この問題では、より明確な安全目標を明示して、国民が
納得できる説明ができるよう、政府として取り組むべきと考えています。

 そういった状況の中、先日シカゴとソウルの国際会議に出席し、福島事故の
状況と今後の原子力政策について、発表してまいりました(出張報告の詳細は2
1日の定例会議資料でご覧ください:
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2011/siryo22/siryo2.pdf)。
 会議では、安全保障問題の専門家が多く集まり、原子力の安全性と核の安全
保障(核セキュリティ)とに多くの共通項があることが、この事故により明確に
なったと指摘されました。例えば、使用済燃料管理問題は、安全性の問題であ
ると同時に核セキュリティの問題でもあり、このような課題に対する専門家間
の協力の必要性が強調されました。このように、会議ではすでに「福島第一」
は「Fukushima Dai-ichi」であり、グローバルな影響について、真剣な議論
が交わされていました。これに対し日本からの情報発信がもっと必要であるこ
とを痛感しました。

 韓国では、地元の新聞社とテレビ局からインタビューを受けました。福島事
故以降も原子力推進の政策は変わらない、というのが韓国政府の説明でしたが
、マスメディアや世論の反応は微妙に異なるようです。特に、今回の事故の深
刻さについて、事実は一体どうなのか、福島のサイトや周辺の汚染状況はどう
なのか、除染や修復費用はどれだけかかるのか等、事故の深刻さを心配する質
問を多く受けました。

 これに対し、私からのメッセージとして、「フクシマは深刻な原子力事故の
シンボルとなってしまった。しかし、原爆被爆地のヒロシマ・ナガサキは復興
して平和の聖地となった。フクシマも、見事に復興させて、原子力事故のシン
ボルから復興の聖地となるよう政府としても個人としても努力したい」と述べ
ました。この「フクシマを復興の聖地に」が翌日の新聞記事の見出しになり、
そのメッセージを広く韓国国民に知らせていただくことができました。

 それには、今後10年〜20年という長い期間の絶え間ない努力が必要であり、
また地元の方がたの意向を十分反映した復興計画が作られていかなければいけ
ません。その復興の妨げになっている放射性物質の汚染を少しでも早く取り除
き、そして二度とこのような事故が起きないよう、原子力委員としてもまた個
人としても、今後全力で取り組む所存です。それが、事故を起こしてしまった
私たち原子力専門家ができる最大の責任と感じている次第です。

 フクシマに平和で楽しい生活が一日でも早く戻りますよう・・

●次号は秋庭委員からのひとことの予定です!

━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●6月14日(火)第21回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

・今後の原子力政策に関する有識者ヒアリング〜福島の復旧のための取組〜
(会津大学長 角山茂章氏)
<主なやりとり等>
 会津大学長の角山茂章氏より、福島の復旧のための取組について説明があり
ました。説明では、環境修復についてはマンパワーや多額の費用がかかる汚染
地域の除染を戦略的に行う必要があり、除染方法や除染により生じる土壌の処
分方法などの基準を早急に決める必要があることなどが述べられました。
 委員より、除染について県の役割をどのように考えているのか、事故を踏ま
え日本の原子力利用に関するガバナンスとして何が問題であったかなどの質問
がありました。

・今後の原子力政策に関する有識者ヒアリング〜福島事故からの教訓と「原子
力・社会」問題〜(東北大学名誉教授 北村正晴氏)
<主なやりとり等>
 東北大学名誉教授の北村正晴氏より、福島事故からの教訓及び「原子力と社
会」の問題について、1.事故からの教訓、2.安全からレジリエンスへ、3.
安全論理の透明化の3つの論点から説明がありました。説明では、巨大地震あ
るいは津波を実際には起こりえないと決めつけた集団的思考停止があったので
はないかと述べられるとともに、今後の原子力政策について、市民等と真摯な
対話をすることなしには新しい展望は開けないなどと述べられました。
 委員より、原子力安全についての市民との対話において課題は何かなどの質
問や、思考停止には行き過ぎたパターナリズムによるものと、巨大地震や津波
のように起きうる事象への想像力不足によるものなど異なるものがあるのでは
ないかなどの意見がありました。

・今後の原子力政策に関する有識者ヒアリング〜「原子力」に今求められてい
るもの〜(大阪大学コミュニケーションデザインセンター副センター長・教授
 小林傳司氏)
<主なやりとり等>
 大阪大学コミュニケーションデザインセンター副センター長・教授の小林傳
司氏より、「原子力」に今求められているものについて説明がありました。説
明では、国民から信頼されるためには国民を信頼することから始める必要があ
ること、結論ありきの議論をやめること、社会的討議の場の設定など新しいア
プローチが必要であることなどについて述べられました。
 委員より、政策決定のプロセスに市民が参加しその声を生かす方法にはどの
ようなものがあるか、エネルギー政策や原子力の在り方についての原案は誰が
作るべきと考えているかなどの質問がありました。

●6月21日(火)第22回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

・第8回ITER理事会の開催結果について(文部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、6月14日、15日に青森県で開催された第8回ITER理事会の
結果について説明がありました。理事会では、東日本大震災の影響の緩和を含
めたITER計画のスケジュールやコスト削減・抑制等について議論が行われ、そ
の結果、スケジュール回復に向けた戦略的計画をスケジュールに関する特別検
討委員会を設置し2011年10月初頭までに作成することなどが合意されました。
また、次回第9回理事会は、2011年11月17日、18日にフランス・カダラッシュ
で開催することが合意されました。
 委員より、震災によるスケジュールの遅れはどの程度深刻か、文部科学省と
してITER計画の予算について抜本的に考え直すことはあるのかなどの質問があ
りました。

・鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張報告について
<主なやりとり等>
 鈴木委員長代理は、6月9日、10日に米国・シカゴ、6月13日から16日に韓
国・ソウルに出張しました。
 シカゴでは、国際ワークショップ「リーダーシップと原子力エネルギーの将
来」に出席し、福島第一原子力発電所事故とその後の原子力政策について講演
、ならびに意見交換を行いました。
 また、ソウルでは、6月13日から15日に国際シンポジウム「核・原子力の将
来」、16、17日にワークショップ「原子力・核の課題に関する日韓米対話」に
出席し、福島第一原子力発電所事故に関するパネルディスカッション、核・原
子力問題に関して韓米の参加者と会談を行いました。
 委員より、安全性と核セキュリティの基準を国際基準にすることが何故難し
いかについて議論はされたか、極東アジアにおける原子力の安全協力について
具体的な枠組みの議論はされたかなどの質問がありました。

・尾本原子力委員会委員の海外出張について
<主なやりとり等>
 尾本委員より、6月26日から7月1日にかけて米国へ出張することについて
説明がありました。フロリダで開催される米国原子力学会2011年年次大会に出
席し、特別セッションにて福島第一原子力発電所の事故に関する説明を行い、
関係者との意見交換を行う予定です。

※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回定例会議は6月28日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・東京電力福島第一原子力発電所事故によるプラント北西地域の線量上昇プロ
セスの解析(独立行政法人日本原子力研究開発機構 原子力基礎工学研究部門
 副部門長 茅野 政道氏)
・放射線医学総合研究所の福島第一原発への取組について(独立行政法人放射
線医学総合研究所 理事 明石 真言氏)
・鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張について
・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備に向け
た取組に関する検討パネル」第3回会合の開催について
・その他

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。

━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されていま
す。これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴でき
ます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけ
ます。

※現在、開催が予定されている部会はありません。

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
 東京生活

 社会人になり10数年経ちますが、学生時代を含めても、原子力政策担当室に
異動になり、初めて東京で生活することになりました。それまでは、比較的田
舎で暮らしていたことから、東京での生活は誘惑にあふれていました。
 一つは、居酒屋です。職場周辺にも、自宅の最寄り駅周辺にもあり、遅くま
で開いていて、仕事帰りに寄ることがありました。二つ目は、コンビニエンス
ストアです。最寄り駅から自宅までに、5件もあり、便利に使っていました。
 そんな生活を送っていたところ、1年経つ頃には、体重が10kgも増えまし
た。少しずつ増えていることに気が付いていたものの、抑えがきかず、最終的
には、健康診断で産業医から病院に行くことを指示されました。何かきっかけ
がなければやらない悪い典型になりますが、健康指導と投薬を受けながら、現
在は元の体重に戻っています。
 仕事上でも、後になりやっておけば良かったと思うことは多々ありますが、
 そう思うことが少なくなるよう、今後も頑張っていきたいと思っております。
(稲場)

●次号配信は、平成23年7月8日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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