(仮訳)

ITER詳細設計報告書

 

1.序

1.1 ITER詳細設計報告書(コスト評価、安全解析を含む)は、ITER工学設計
   活動(EDA)の進展を示す第三の主たるマイルストーンである。

1.2 1994年1月にITER理事会に提示された概要設計報告書は、ITER/E
   DA協定参加極が第二議定書を締結する基礎となった。設計の更なる進展が、中間
   設計報告書(コスト評価、安全解析を含む)に記述され、その付属文書とともに1
   995年7月のITER理事会に提示された。中間設計報告書は、ITER計画参
   加各極のレビューを経て、1995年12月のITER理事会にて承認された。か
   かる背景の下、ITER計画参加極はITERの建設、運転、利用及び運転終了に
   関する合意を目指す建設協議の開催に向けて、そのために協議すべき事項の同定を
   目的とする準備協議を開始した。

1.3 中間設計報告書パッケージの承認を受け、さらには各極の中間設計報告書評価を
   通して得られたコメントを踏まえて、トカマク部分の基本概念及びシステム手法を
   手段、建設及び保守の手順、トカマク周辺機器の配置を含めたITER全体にわた
   る考察に重点が置かれた。また、設計の進展に伴い、確証が必要とされた主要事項
   についてはR&Dが進められた。設計が固まってきたことにより、プラズマ物理、
   安全性及び環境影響評価並びにコスト/スケジュール評価を見直すための基礎が確
   立された。

1.4 本報告書は上述のような進展を記述したものである。本報告書を補足する詳細技
   術文書はITER工学設計活動の枠組みの中での各極の評価に共さけている。

1.5 工学設計活動の次のマイルストーンである最終設計報告書は、全ての機器及びサ
   ブシステムについて、関連R&Dを含めたシステムインターフェイスに基づく詳
   細設計から得られた結果の集大成であり、コスト及び工程の評価を含む技術的デ
   ータを提供し、建設決定のための基礎となるものである。

 

2 ITERの目標

2.1 ITERの計画目標は、ITER/EDA協定に定められているとおり、平和目
   的のための核融合エネルギーの科学的及び技術的な実現性を実証することである。
   ITERはこれを達成するために、定常状態を最終的目標とする重水素・三重水素
   プラズマの制御させた点火及び長時間燃焼の実証、統合さけたシステムでの核融合
   炉に不可欠な技術の実証、並びに核融合エネルギーを実用化するために必要な高熱
   流束及び各工学要素の統合的試験を行うものである。

2.2 ITERの詳細技術目標は1992年12月のITER理事会で採択され、IT
   ER/EDA協定の第二議定書に記載されている。

2.3 詳細技術目標には、基本性能段階と高性能段階の二段階の運転がふくまれている。
   現在のITERの設計は基本性能のための設計を示したものであり、将来的にトリ
   チウム増殖プランケットや他の高性能段階の目標の達成に必要な機器を取り入れる
   ことができるように配慮されている。

 

3 ITER設計の主要パラメータと主要性能

3.1 ITERの主要特性とパラメータは、合意されたITERの計画目標及び詳細技
   術目標にそったものである。特に、誘導方式で約1000秒のフラットトップと平均
   中性子壁負荷1MW/m20を持つパルスで制御された自己点火と長時間燃焼を実証
   するという目標に適合している。詳細技術目標の達成のための重要な仮定として、
   基本性能段階で年間3Kg、高性能段階において年間1.5Kgのトリチウムが外
   部から適切に供給されることを仮定している。

3.2 ITERの主要パラメータと全体的寸法は中間設計報告書と同じであり、表1に
   示すとおりである。
   全体としてパラメータは、閉じ込めとプラズマ制御及びその安定性からの物理的要
   求と技術的制約(例えば熱負荷と電磁的特性とアクセスからの要求)とのバランス
   がよく考慮されており、安全で確実な運転が合理的なコストの範囲で保証される。

3.3 トカマク設計の基本的な特徴は概要以下の通りである。


3.4 トカマク及び周辺設備の概要は、表2の通りである。図1(a)は、クライオス
   タットを含むITERの3次元の断面図を、図1(b)はトカマクの垂直断面を示
   している。

3.5 ごく少数であるが、下記の高度な設計上のオプションが概念段階にある。

   これらのオプションについては、最終設計報告における絞り込みを目指して、設
   計と関連研究開発を集中的に実施する必要がある。


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