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第278号 原子力委員会メールマガジン


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.278 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2019年10月11日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆

┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (10月1日) 
┃  ・重粒子線治療について(量子科学技術研究開発機構)
┃  (10月8日) 
┃  ・原子力防災対策の現状(内閣府 原子力防災担当)
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
環境放射能に関する国際会議(ENVIRA2019)に出席して
                     中西 友子

今年9月8日から1週間、チェコのプラハで環境放射能の国際会議
(ENVIRA2019)が開催された。今回の会議には、特に「環境中の
放射性核種の変動について」という副題がついており、
その内容について若干紹介したい。
この会議はヨーロッパの研究者が中心に参加しており、
特に会議の中心に国際原子力機関(IAEA)のモナコの海洋研究所長
だったDr. Pavel Povinecが含まれていた。彼は放射能測定の
専門家で、その研究は1960年代の核実験によるグローバル
フォールアウトの時代にまで遡る。どのような核種により
どのような環境放射能汚染が引き起こされるかを調べていく中で、
海水中で測定されるフォールアウト起源の放射性核種が、
トレーサーとして海洋中の海水の流れをトレースすることを
発見したのである。その結果、それまで予測でしかなかった
海流の動きについて、初めて科学的根拠を与え、
理論を裏付けることができるようになった。

その後、様々な放射性核種の種類を測定するだけではなく、
色々な元素の放射性核種を含む同位体比の測定から環境の
変化を見出すことが可能となってきている。今回の発表でも、
空気中の二酸化炭素濃度の上昇に対してどの程度の化石燃料が
燃やされたことが寄与しているかを、空気中の炭素-14(C-14)
と炭素-12(C-12)の正確な比の変化から求めた発表があった。
自然界で宇宙線により生成されるC-14 /C-12は一定の値を示す。
そこで、この比がどの位異なって来ているのかが調べられれば、
C-14が少ない化石燃料がどの位燃焼して空気中に加わって
きたのかが判るようになってきた。

この超微量のC-14測定には、C-14による年代測定で活躍してきた
AMS(加速器質量分析計)が最も優れている。そこで、この機器の
開発も精力的に行われており、スイス連邦工科大学チューリッヒ校
(ETH)の教授は非常に小型でかつ使用電力が家庭用の料理機器並みの
AMSを開発し、自らベンチャー企業を立ち上げた。かなりの台数のAMSを
ヨーロッパ、アジアで販売してきているが、残念ながら日本には
まだ入っていない。日本で一般的に加速器と言えば大型の機器が
主流のように思われがちであるが、小さな部屋に入る位の小型の
加速器について、もう少し着目されてもいいのではないかと思われる。

ヨーロッパでは環境中の放射性核種についての研究が、
長年継続的に行われてきており、今回の会議でも単に事故が
引き起こす環境放射能汚染を調べることに留まらず、
環境中の低レベルの放射性核種の起源について考察する発表も多かった。
日本でも古くはビキニ環礁での第五福竜丸の被ばく事故をきっかけに、
放射性核種を調べる研究が盛んになり、当時の分析化学分野の研究者が
中心となり、物理が専門の人達と一緒になって環境や地球そのものに
ついて考え、放射化学という分野を作ってきた歴史がある。
しかし、最近ではこれらの放射化学者数は激減し、東京電力福島
第一原子力発電所事故を経ても環境中の放射性核種そのものの研究は
下火になってきている感がある。放射性物質というと測定ばかりが
着目され、放射性物質そのものを扱う化学が不足してきているのは
極めて残念である。その点、ヨーロッパで脈々と放射化学の研究が
継続していることは、ヨーロッパにおける基礎科学の底深さを
示しているように思われた。

また、この他にも会議では、中国の全土における環境中の放射性核種の
測定値の分布図が発表され、注目を集めた。行ったのはバック
グラウンド値としてのPu、Uなどについての核種の測定である。
中国の原子力発電所は海岸に沿って建てられており、内陸には無い。
もし近隣諸国で原発事故等が起きた場合には風向きによっては
中国国内へのフォールアウトによる汚染が予測されるため、
バックグラウンド値をきちんと測定し、その結果を公表し始めたようにも
思われた。

その他、鉱物・植物などの環境試料からどのように放射性核種を
分離精製するのか、新しいシンチレータの開発、ラドンの測定、
環境中のルテニウム-103とルテニウム-106の測定値など、
日本でも蓄積しておきたい技術や基礎研究が、ヨーロッパの特に
東欧の研究者の間できちんと受け継がれて発展していることなどが判り、
極めて意義がある会議であった。

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関
周辺で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、
すべて原子力委員会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●10月1日(火)の会議の概要は以下のとおりです。
詳しくはウェブサイトに掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】重粒子線治療について(量子科学技術研究開発機構)

<主なやりとり等>
量子科学技術研究開発機構より重粒子線がん治療の現状などについて
御説明いただき、その後、委員との間で質疑を行った。

●10月8日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくは
ウェブサイトに掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】原子力防災対策の現状(内閣府 原子力防災担当)

<主なやりとり等>
内閣府の原子力防災担当より、原子力防災対策の取組について
御説明いただき、その後、委員との間で質疑を行った。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。
直近で開催された委員会等がある場合には、【New】マークを付けております。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
┗原子力防災会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/)
┗原子力災害対策本部会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/)
┗原子力立地会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/)

■内閣官房
┗原子力関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/)
┗最終処分関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/)
┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html)
┗「もんじゅ」廃止措置推進チーム
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/monju/index.html)


■経済産業省
┣高速炉開発会議
(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html)
┣エネルギー情勢懇談会
┣高速炉開発会議戦略ワーキンググループ
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/kosokuro_kaihatsu/kosokuro_kaihatsu_wg/index.html)

■資源エネルギー庁
┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html)
┗原子力小委員会
(http://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/index.html)
┣自主的安全性向上・技術・人材WG
┣放射性廃棄物WG
┣地層処分技術WG
┗原子力事業環境整備検討専門WG
┗電力基本政策小委員会
┣総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/)
┣長期エネルギー需給見通し小委員会
┣発電コスト検証WG
┗電力需給検証小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu)
┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)
┗エネルギー情勢懇談会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation)
┗使用済燃料対策推進会議
(http://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/shiyozumi_nenryo/index.html)

■原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/)
┗◆【New】原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html)
┣原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html)
┣放射線審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html)
┣国立研究開発法人審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html)
┣日本原子力研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html)
┣原子力規制委員会政策評価懇談会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html)
┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html)
┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html)

■文部科学省
┗原子力科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm)
┣原子力人材育成作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm)
┣原子力研究開発・基盤・人材作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/100/shiryo/1420802.htm)
┣核融合研究作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm)
┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm)
┣原子力バックエンド作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/099/index.htm)
┗◆【New】核融合科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm)
┗原型炉開発総合戦略タスクフォース
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm)
┗調査研究協力者会議等(研究開発)
┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm)

■復興庁
┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html)
┗原子力災害からの福島復興再生協議会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html)

■環境省
┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関す
る専門家会議
(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html)

■厚生労働省
┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896)


●次号配信は、2019年10月25日(金)午後の予定です。
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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、佐野 利男委員、中西 友子委員
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(お寄せいただいた御意見に対しては、原則として回答致しませんが、
今後の原子力委員会の業務の参考とさせていただきます。)
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