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第248号 原子力委員会メールマガジン

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ No.248 ━━━━━
    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2018年7月6日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆

┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣委員からひとこと
┣ 会議情報
┃  (7月3日) 
┃   ・原子力エネルギー協会(ATENA)の立ち上げについて(原子力エネ
┃   ルギー協会)
┃  ・我が国における2017年の保障措置活動の実施結果及び国際原子力機関
┃   (IAEA)による「2017年版保障措置声明」の公表について(原子力規制庁) 
┃  (7月5日) 
┃  ・平成29年度版原子力白書について
┃
┣ 原子力関係行政情報
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━・・・━━ 委員からひとこと ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
放射線の利用についてーその17(放射性同位元素の製造)
                           中西 友子

前回まで放射性同位元素(RI)をトレーサーとして用いる研究について述べてき
たが、これらのトレーサー実験で利用されるRIそのものはいったいどのようにし
て製造されるのだろうか。今回は私達が国立研究開発法人量子科学技術研究開発
機構の放射線医学総合研究所(放医研)で定期的に製造させていただいているマ
グネシウム28(Mg-28)について簡単に紹介したい。

植物は生育するのに水と元素が必要である。しかし、元素の植物における役割や
動態について知りたい場合、入手できる放射性同位元素(ラジオアイソトープ、
RI)が存在しない元素、例えばホウ素(B)やマグネシウム(Mg)などは研究が非
常に遅れている。元素の動態解析にはRIの利用が不可欠だからである。

Mgは植物の生育に欠かせない元素のひとつであり、カルシウム(Ca)と周期表で
同族に位置するため性質が似ており、両者共、水溶液中では2価のイオンとなる。
CaについてはCa-45(半減期:163日)がかなり前から実験に使用され、Caと結合する
カルモジュリン蛋白をはじめ、Caの役割などについての詳細な研究結果が報告さ
れてきている。またCaに特異的に結合する蛍光色素も開発され、細胞内のCaを可
視化させる技術も発展したが、Mgに特異的に結合する蛍光色素はまだ開発されて
おらず、また多くの場合CaとMgは同じ蛍光色素と結合するため区別をすることは
非常に困難である。

一般に、植物体内ではMgの濃度はCaの濃度よりも一桁低く、他の多くの元素の濃
度が植物の種類が異なると大きく変化するのに対し、Mg濃度は種類を越えてほぼ
一定の値を示すことが知られている。また、Mgは生体の恒常性を保つための重要
な元素と言われてはいるものの、その生体内における分布すらあまり判っていな
い。もしもMgのRIの入手が容易に可能なら、もっとMgについての研究が進んでい
たにちがいない。

トレーサー実験に供することができるMgのRIは市販されていないので、自分達で
製造すればよいのであるが、当然ながら容易ではない。次に、私達が行ったMg-28
の製造方法について簡単に紹介したい。Mgの同位体の中で最もトレーサー実験に
供しやすいRIはMg-28(半減期:21時間)である。この核種は、アルミニウム(Al)
にアルファ線(He)を照射することにより製造することができる。加速したアル
ファ粒子をAlに照射すると1個のAlの原子核が1個のアルファ粒子を捕獲し、3個の
陽子(p)を放出してMg-28に変わるのである。

放医研で行った実験を紹介する。10枚ほど重ねた1p角のAlフォイルに50MeVに加
速したアルファ線を数時間照射すると、Alフォイルの中に極少量Mg-28が生成され
る。そこで、生成されたMg-28 をAlフォイルから分離すればよいのであるが、こ
れが大変な作業なのである。Alフォイルの中には、Mg-28だけでなく、ベリリウム
7(Be-7)やナトリウム24(Na-24)などの不要なRIが同時に生成されるので、こ
れらの核種を取り除く必要がある。まずAlフォイルを酸で溶かし、イオン交換反
応を駆使してマクロな量のAlフォイルから超ミクロな量のMg-28 を化学分離する
ことになる。
このような極微量のRIの分離精製技術には、我が国でかつてビキニ事件(*)の時
から培ってきた、放射化学的研究成果の蓄積が大いに役に立った。5時間ほどのア
ルファ線照射で5MBq(ベクレル)ほどのMg-28 を製造することができた。世界的
に見てもMg-28 を製造して植物のトレーサー実験に使用している研究者はまだい
ない。自分達でRIを作り出すことによりMgの動態も明らかになりつつあるがここ
ではその詳細は省略する。

(*)ビキニ事件:1954年3月1日、漁船第五福竜丸がアメリカのビキニ環礁での
水爆実験に遭遇して被災し、乗組員23人が放射線被ばくの障害を受けた事件。


━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は霞ヶ関周辺で開催
しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布資料は、すべて原子力委員
会ウェブサイト(以下URL)で御覧いただけます。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●7月3日(火)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに掲載
される議事録を御覧ください。

【議題1】原子力エネルギー協会(ATENA)の立ち上げについて(原子力エ
ネルギー協会)

<主なやりとり等>
原子力エネルギー協会(ATENA)の立ち上げの経緯や協会の方針について、
原子力エネルギー協会から説明を受けました。

【議題2】我が国における2017年の保障措置活動の実施結果及び国際原子力機関
(IAEA)による「2017年版保障措置声明」の公表について(原子力規制庁)

<主なやりとり等>
我が国における2017年の保障措置活動の実施結果及び国際原子力機関(IAEA)
による「2017年版保障措置声明」の公表について、原子力規制庁から説明を受け
議論を行いました。

●7月5日(木)の会議の概要は以下のとおりです。詳しくはウェブサイトに掲載
される議事録を御覧ください。

【議題1】平成29年度版原子力白書について

<主なやりとり等>
「原子力白書」について、事務局より案の説明を行い、原子力委員会として決定
をしました。

●次回の委員会開催については、以下の開催案内から御確認ください。
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

━・・・━━ 原子力関係行政情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・

原子力関係の他の行政における委員会等のリンク情報は以下のとおりです。直近
で開催された委員会等がある場合には、【New】マークを付けております。

※URLが改行されてリンクが認識されない場合
URLはクリックせず、文字列全体をURL欄に Copy & Paste してください。

■首相官邸
┗原子力防災会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku_bousai/)
┗原子力災害対策本部
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/)
┗原子力立地会議
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/index/gensiryoku/)

■内閣官房
┗原子力関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_kakuryo_kaigi/)
┗最終処分関係閣僚会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/saisyu_syobun_kaigi/)
┗原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議
(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/genshiryoku_songaibaisho/index.html)
┗「もんじゅ」廃止措置推進チーム
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/monju/index.html)


■経済産業省
┣高速炉開発会議
(http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment.html)
┣高速炉開発会議 戦略WG
┣エネルギー情勢懇談会
┣高速炉開発会議戦略ワーキンググループ

■資源エネルギー庁
┣総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/21.html)
┗原子力小委員会
┣自主的安全性向上・技術・人材WG
┣放射性廃棄物WG
┣地層処分技術WG
┗原子力事業環境整備検討専門WG
┗電力基本政策小委員会
┣総合資源エネルギー調査会基本政策分科会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/)
┗基本政策分科会
┣長期エネルギー需給見通し小委員会
┣発電コスト検証WG
┗電力需給検証小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_8/18.html#denryoku_jukyu)
┗電力システム改革貫徹のための政策小委員会
(http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/kihonseisaku/denryoku_system_kaikaku/001_haifu.html)
┗エネルギー情勢懇談会
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation)
┗使用済燃料対策推進会議
(http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/#ene_situation)


■原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/)
┗◆【New】原子力規制委員会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/kisei/index.html)
┣◆【New】合同審査会(原子炉安全専門審査会・核燃料安全専門審査会)
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kakunen/index.html)
┣放射線審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/houshasen/index.html)
┣国立研究開発法人審議会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nrda/index.html)
┣量子科学技術研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/nirs/index.html)
┣日本原子力研究開発機構部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/nrda/jaea/index.html)
┣原子力規制委員会政策評価懇談会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/seihyou_kondan/index.html)
┗原子力規制委員会行政事業レビューに係る外部有識者会合
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/yuushikisya/gyousei_gaibu/index.html)
┗原子炉安全専門審査会 原子炉火山部会
(https://www.nsr.go.jp/disclosure/committee/roanshin_kazan/00000002.html)

■文部科学省
┗◆【New】原子力科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/055/index.htm)
┣原子力人材育成作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/079/index.htm)
┣核融合研究作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/056/index.htm)
┣核不拡散・核セキュリティ作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/076/index.htm)
┣原子力施設廃止措置等作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/088/index.htm)
┗研究施設等廃棄物作業部会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/057/index.htm)
┗核融合科学技術委員会
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/074/index.htm)
┗◆【New】原型炉開発総合戦略タスクフォース
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/078/index.htm)
┗調査研究協力者会議等(研究開発)
┗「もんじゅ」廃止措置評価専門家会合
(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/022/index.htm)

■復興庁
┣福島12市町村の将来像に関する有識者検討会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/20141226184251.html)
┗原子力災害からの福島復興再生協議会
(http://www.reconstruction.go.jp/topics/000818.html)

■環境省
┗東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議
(https://www.env.go.jp/chemi/rhm/conf/conf01.html)

■厚生労働省
┗薬事・食品衛生審議会(食品衛生分科会放射性物質対策部会)
(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127896)


●次号配信は、平成30年7月20日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
原子力委員会:岡 芳明委員長、佐野 利男委員、中西 友子委員
○メルマガへの御意見・御感想はこちらへ(お寄せいただいた御意見に対しては、
 原則として回答致しませんが、今後の原子力委員会の業務の参考とさせていた
 だきます。)
 https://form.cao.go.jp/aec/opinion-0017.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/melmaga/index.htm
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、御返信いただけません。
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