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第136号 原子力委員会メールマガジン 社会心理リハビリセンターについて

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
             2013年10月11日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 委員からひとこと 社会心理リハビリセンターについて
┣ 会議情報  (10月1日)
┃       ・技術研究組合 国際廃炉研究開発機構の取組について
┃       (10月8日)
┃       ・日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の現状について
┃       ・国立大学法人京都大学原子炉実験所の原子炉設置変更[研
┃        究用原子炉の変更]について(諮問)
┃       ・平成26年度原子力関係経費ヒアリング(原子力委員会、外
┃        務省、文部科学省、経済産業省)
┃       ・鈴木委員長代理の海外出張について
┣ 事務局だより エドワード・モースが見た日本
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━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・

社会心理リハビリセンターについて
                              秋庭 悦子

 原子力委員会では、4月に「福島県におけるリスクコミュニケーションの課
題について」をテーマに福島県在住の方々からご意見をいただきましたが、そ
の第2回目として、8月29日の臨時会でも、5名の方々からご意見をいただきま
した。前回は、リスクコミュニケーションの担い手が個人の熱意に頼っている
状況であり、今後、国や自治体が連携してコミュニケーターを育成し、派遣す
る制度が必要ではないかとのご意見がありました。それに対して、消費者庁か
ら、早速今年度、地域の保健師や栄養士、消費者相談員などを対象に多数のコ
ミュニケーターの研修講座を実施すると答えられ、参加者からも注目されまし
た。
 今回も様々な課題が話されましたが、改めて放射線による健康リスクのみな
らず、社会生活や経済生活の中でのリスクも考える必要があることを痛感いた
しました。伊達市役所市民生活部理事兼放射能対策政策監の半澤隆宏さんから
は、リスクコミュニケーションを効果的に行うためには、国、地方自治体、住
民が平時から積み重ね、共通認識を構築していくこと、特に女性の視点・行動
力を有効活用することが重要であるとのご意見をいただきました。福島民友新
聞社編集局報道部長の小野広司さんからは、風評被害についてのリスクコミュ
ニケーションは、対象を全国民に対して行うべきであるとご意見をいただきま
した。大熊町商工会長の蜂須賀禮子さんから、長引く避難生活のストレスや今
後の生活への不安などで体調を崩す方が多くなっていることを伺いましたが、
蜂須賀さんご自身がそういう方々の話の聞き役になっていらっしゃるとのこと。
また、郡山第六中学校の理科教諭佐々木清さんは生徒が主役の放射線教育に積
極的に取り組んでいらっしゃいますが、ウクライナに視察に行った経験から子
供たちの心のケアの必要性を感じていらっしゃると伺いました。そこで、やは
り2週間前にウクライナを訪問した福島大学准教授の丹波史紀さんからチェル
ノブイリ原発事故を受けて設置されたウクライナの社会心理リハビリセンター
のように、低線量被ばくや帰還に関する不安などに応える体制づくりが課題で
あるとご意見をいただきました。
 ウクライナの社会心理リハビリセンターについては、2011年にベラルーシ及
びウクライナを訪問した日本原子力産業協会の3人の職員の方が原子力学会誌9
月号に発表なさっていますが、ウクライナ国内5カ所に設置されています。こ
の発表によると、心理的被害を受けた子供たちを中心に、地域の方々に放射線
に対する正確な知識を伝え、心理的なストレスを軽減することを目的にしてお
り、心理学の専門家以外にアートセラピーや健康モニタリング、正確な生活習
慣の指導、職業訓練といった支援を行うために社会、美術、保健体育の職員や
専門家も所属しているそうです。また、学校向けの放射線教育プログラムを作
成するとともに、地域の方々の心理的なストレス軽減のために個別相談への対
応、講習会の開催、心理学の専門家、医師、ソーシャルワーカーによる研修も
行っています。
 佐々木教諭は2012年7月にここを訪問して、福島県本宮市でのモデルとして
「Motomiya 絆スクエア構想」を作り上げたとのこと。どのようにすれば、そ
れが実現するのか要件を伺ったところ、佐々木教諭からも丹波准教授からも省
庁の縦割りを排除し、面的にきちんと体制が組めるようにする必要があるとご
意見がありました。復興庁から「縦割りの排除や現場主義の重要性については
認識しており、努力しているが他方ではスピード感がないという指摘もある。
それぞれの省庁ができることを早くやることと全体的に対応することのバラン
スが難しいが引き続き努力する。」との回答がありました。これに対して佐々
木教諭は、「「絆スクエア」は立派なものではなくて、まずはどんなことを悩
んでいるのか、困った時にはいつでも相談にのってくれるようなところでよい
のではないか、それよりも省庁の職員の一人一人がこれは自分の仕事ではない
かもしれないと思いながらも、一生懸命に取り組む心がけを持つことが始まり
ではないか」とのご意見がありました。また、丹波准教授からは、「福島では、
省庁の職員の熱意と努力が評価されているが、状況がなかなか改善されないこ
とに対して、不安や憤りを感じているのではないか」とのご指摘がありました。
 結局、福島版社会心理リハビリテーションセンターは、まずは誰もが自由に
立ち寄り、不安や悩みを相談できる場所とすることが大切であり、それに対応
するのは、東京から派遣される人ではなく、やはり地域の中で、住民としっか
り向き合える人が必要ということになりました。
 原子力委員会の臨時会がまさに双方向コミュニケーションの場になったよう
な有意義なデイスカッションでしたが、これを聞いてくださった方が大変少な
かったことが残念でした。

以上

●次号は近藤委員長からのひとことです!

━・・・━━ 会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━・
●原子力委員会の会議を傍聴にいらっしゃいませんか。会議は原則として霞ヶ
関にある合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内
や配布資料は、すべて原子力委員会ウェブサイトで御覧いただけます。

●10月1日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】技術研究組合 国際廃炉研究開発機構の取組について
<主なやりとり等>
 技術研究組合国際廃炉研究開発機構 理事長 山名氏より、同機構の組織の全
体像や関係する法人、当面の東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた技
術開発等ついて説明がありました。
 委員からは、今後の国内外の参加企業の拡大等の方針について質問がありま
した。

●10月8日(火)の会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはウェブサイトに
掲載される議事録を御覧ください。

【議題1】日本原燃(株)六ヶ所再処理工場の現状について
<主なやりとり等>
 日本原燃株式会社常務執行役員 村上氏より、六ヶ所再処理工場における、
ガラス固化設備の試験とその取組、安全性向上への取組、操業に向けた準備に
ついて説明がありました。
 委員からは、地域の方への理解、事故対応の訓練等の状況について質問があ
りました。

【議題2】国立大学法人京都大学原子炉実験所の原子炉設置変更[研究用原子
炉の変更]について(諮問)
<主なやりとり等>
 原子力規制委員会原子力規制庁黒村安全規制調整官より、国立大学法人京都
大学原子炉実験所の固形廃棄物倉庫増設、冷中性子源の使用の廃止に係る設置
変更許可について説明がありました。

【議題3】平成26年度原子力関係経費ヒアリング(原子力委員会、外務省、
文部科学省、経済産業省)
<主なやりとり等>
 事務局、外務省、文部科学省及び経済産業省より、各府省における平成26年
度原子力関係予算概算要求について説明がありました。
 委員からは、概算要求する各予算の増減理由等について質問がありました。

【議題4】鈴木委員長代理の海外出張について
<主なやりとり等>
 事務局より、鈴木委員長代理のハンガリー出張について説明がありました。

※資料等は以下のURLで御覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は10月17日(木)に会議を開催する予定です。詳しくは、以下の開催案内
を御覧ください。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/topic/kaisai.htm

+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

エドワード・モースが見た日本

 両国国技館の隣にある江戸東京博物館で開催中の、「明治のこころ―モース
が見た庶民のくらし―」展を見た。
 エドワード・モースは、明治時代初期の日本に、生物学の研究(日本で多く
産出されるシャミセン貝の研究)のために訪れた。船で横浜に到着して、新橋
に汽車で向かう途中の線路脇の切通しで貝塚を発見した。これが有名な大森貝
塚である。モースは生物学の研究の傍ら、当時の日本の庶民の風俗・文化に大
いに興味を抱き、日本全国を旅して、様々な品物をコレクションして、米国ボ
ストンに持ち帰った。今回の展示会は、そのうちの300点余りの生活道具や
写真などを展示している。
 展示されている品々は多彩であるが、目を引くのは、通常であれば消耗して
無くなってしまうような何気ないもの、例えばお菓子や、焼海苔、使い古した
下駄、文房具、玩具など、そうしたものが、米国人の興味を引き、100年後
の今日まで完璧に保存されていることである。イナゴをビンにたくさん詰めた
ものもあった。どちらかというとモースの口には合ったようだ。撮影された写
真も膨大であり、当時の生活の様子が克明に写されている。人々、特に子供た
ちが楽しそうに笑っているのが印象的だ。また、モースは、日本滞在中の日々
の暮らしを随筆として残しているが(『Japan Day by Day』)、当時の日本の
庶民が、いかに、純朴で正直で勤勉であったか、そして綺麗好きで、子供をか
わいがっていたか、こうしたことが、驚きとともに記されている。あまりに日
本人のことを褒めているので、くすぐったい気持ちになる。欧米人の目からは、
日本という国が輝いて見えたのであろう。その後、日本は欧米化に突き進む。
「日本がなくしたものを彼がとっておいてくれた」――展覧会のチラシには、
そう記してある。
 今、日本は、当時の輝きを保っているのか?と問われれば、展示会を見た人
の多くは、「否」と答えるのではなかろうか。開国直後の明治初期と現代を比
べるのは、やや乱暴かもしれない。とはいえ、3.11の衝撃があまりに強くて、
それ以前の姿が思い出しにくくなっている気がする自分としては、アベノミク
スで日本が元気を取り戻そうとしている中、我々の遺伝子に埋め込まれている
はずの「元気の元」を再確認するのもよいかもしれない、と感じた。
(板倉)

●次号配信は、平成25年10月25日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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