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第59号 原子力委員会メールマガジン 原子力発電の設備利用率向上について

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2010年7月23日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 秋庭委員からひとこと 原子力発電の設備利用率向上について
┣ 定例会議情報 原子力政策大綱の見直しの必要性に関する検討について 
┃        (決定)
┃        高速増殖炉サイクルの早期実用化に向けた取り組みについ
┃        ての五者協議会からの報告
┃        高速増殖炉サイクルに関する研究開発の進捗状況及びその
┃        早期実現に向けた取組みに関する検討結果の報告に対する
┃        委員会の見解について 等
┣ 部会情報等  
┣ 事務局だより ものまね
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せく
ださい。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
 原子力発電の設備利用率向上について 秋庭悦子

 原子力委員会が5月25日に決定した「成長に向けての原子力戦略」において
、原子力発電の推進のために世界最高水準の設備利用率の実現を目標に掲げて
いる。また、6月18日に閣議決定したエネルギー基本計画においても、2030年
に設備利用率90%となることを目指すと記載されている。今や、原子力発電に
おける設備利用率の向上は最重要課題である。
 しかし、そのことが国民にしっかり伝わっているだろうか。まずは今、なぜ
設備利用率の向上なのか、それが国民の暮らしとどのようにつながるのか、そ
して何より重要なことは、設備利用率を向上することは安全性を損なうもので
はないということを丁寧に説明する必要があるのはないだろうか。
 フィンランドや米国、お隣の韓国も設備利用率90%を達成しているが、日本
の原子力発電の設備利用率は、技術的にもプラントの設備的にも十分に実力が
あるにも関わらず、現在60%程度と諸外国に比べて低いことが課題となってい
る。日本でも90年代半ば以降80%を超える水準であったが、事故、トラブル、
地震等による点検期間延長や計画外の点検により低水準で推移している。
 原子力安全・保安院は昨年より新検査制度を導入した。この制度の下では、
運転中保全を実施するなどしてプラントの状態を良好に保つことにより、最長
24ヶ月まで点検間隔を延長し、長期サイクル運転が可能になる。これは、結果
として設備利用率の向上につながるものである。
 しかし、電気の需要側の国民から見ると、設備利用率の向上は、供給側の事
情による問題と受け取られ、暮らしには関わりがないように感じられるのでは
ないだろうか。まずはメリットとして、温暖化対策の中核となっている原子力
発電が効率的に稼動することによって、二酸化炭素排出量の削減につながるこ
とを「見える化」して伝える必要がある。
 例えば設備利用率が65%から85%に高まると、二酸化炭素排出量は年間約5,
000万トン(1990年比4.0%)削減される。これは東京ドーム約2万個分である
。また、家庭からの年間二酸化炭素排出量は約5350kg(2007年)なので約935
万世帯分に匹敵し、東京都と埼玉県の全世帯から排出される二酸化炭素とほぼ
同量になる。2020年までに温室効果ガス排出量を25%削減するという目標達成
に原子力発電が大きく貢献できることをアピールする必要があるのではないだ
ろうか。
 一方、「設備利用率の向上」という言葉は、安全よりもコスト削減、合理化
優先というイメージを持たれ易いので、新検査制度や運転中保全によってより
一層安全性を高めることになることを十分に説明する必要がある。今まで、原
子力発電は13ヶ月に1回、完全に停止して徹底的に検査を実施するから安全と
説明されてきた国民にとって、急に24ヶ月まで延長されれば不安を感じるのは
当然であろう。これに対しては、新検査制度はプラントの個性に合わせた合理
的な検査制度であり、さらに安全性を高める制度であることを納得できるよう
に説明する必要がある。また、検査期間が短縮すれば、従事している労働者の
被曝量も低減することも理解を得易い説明になるであろう。
 その他、立地地域の住民には、地元経済への影響も懸念する声もあるので、
定期検査に携わる人数は減少しても、日頃の検査の人数が増加するため、全体
的には平準化され、今までと変わらないことを具体的な数字で示す必要がある
。そして、新検査制度や運転中保全など制度や仕組みは重要だが、それを動か
す優秀な人材によって始めて信頼できる制度になり、真に「設備利用率の向上
」につながる。人材の育成にどのように取り組み、成果を上げているかについ
ても、合わせてしっかり説明する必要があるのではないだろうか。

●次号は大庭委員からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●7月13日(火)第36回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

・独立行政法人日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターにおける廃棄物
管理事業の変更について(諮問)(原子力安全・保安院)
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院より、日本原子力研究開発機構の大洗研究開発センター
における廃棄物管理事業の変更について諮問がありました。今回の変更は、液
体廃棄物の処理施設における混練方式のセメント固化装置の導入や、固体廃棄
物減容処理施設の新設によるものです。
 委員より、本変更が「放射性廃棄物最小化の原則」、「合理的な処理・処分
の原則」、「国民との相互理解に基づく実施の原則」の観点から適切なのか、
どのように判断しているのかなどの質問がありました。

・中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号、
4号及び5号原子炉施設の変更)について(諮問)(原子力安全・保安院)
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院より、中部電力株式会社浜岡原子力発電所の原子炉の設
置変更について諮問がありました。今回の変更は、固体廃棄物処理の固化材を
従プラスチックからセメントに変更するというものです。
 委員より、固化体数が少なくなるということで導入されていたプラスチック
固化方式からセメント固化方式に変更する理由などについて質問がありました
。

・高速増殖炉サイクル実用化研究開発フェーズTとりまとめ状況について(日
本原子力研究開発機構)
<主なやりとり等>
 日本原子力研究開発機構より、高速増殖炉サイクル実用化研究開発フェーズ
Tの成果のとりまとめ状況について報告がありました。
 委員より、システムとしての妥当性を評価した根拠、国際標準化に向けた取
組の方向性などについて質問がありました。

・高速増殖炉サイクルの早期実用化に向けた取り組みについての五者協議会か
らの報告(文部科学省、経済産業省、電気事業連合会、日本電機工業会、日本
原子力研究開発機構)
<主なやりとり等>
 五者協議会より、高速増殖炉サイクルの早期実用化に向けた取り組みについ
て、2025年の実証炉、2050年前の実用炉の実現を目指し着実に研究開発を進め
る、研究開発課題の優先順位付けや絞り込みにより限られた財源の中で効率的
に研究開発を進める、等の8項目の合意事項について報告がありました。
 委員より、早期実用化に向けたロードマップの具体化の必要性や燃料サイク
ルに関する研究開発の展望について質問や意見がありました。また、本件につ
いては、原子力委員会として見解を出すこととなりました。

・原子力政策大綱に示している人材の育成・確保に関する取組の基本的考え方
に関する評価について(案)に対する意見募集について
<主なやりとり等>
 事務局より、原子力政策大綱に示している人材の育成・確保に関する取組の
基本的考え方に関する評価について(案)に対する意見募集について説明があ
りました。
 審議の結果、7月13日から7月27日まで意見募集を実施することが了承され
ました。

・アジア原子力協力フォーラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備に
向けた取組に関する検討パネル」第2回会合の開催結果について
<主なやりとり等>
 尾本委員より、7月1日、2日に韓国で開催されたアジア原子力協力フォー
ラム(FNCA)「原子力発電のための基盤整備に向けた取組に関する検討パ
ネル」第2回会合の開催結果について報告がありました。
 本会合では、原子力発電プラント導入初期段階より検討しておくべき基盤整
備課題のうちプロジェクトマネジメント、国内産業育成、燃料サイクルと廃棄
物、研究機関の果たすべき役割について、既に原子力発電所を行っている日本
、中国及び韓国の経験と教訓を紹介するとともに、それらを各国の取組にどの
ように生かすかについての議論などが行われました。

●7月20日(火)第37回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

・国際原子力機関(IAEA)使用済燃料の管理に関する国際会議の結果報告
について(電力中央研究所)
<主なやりとり等>
 電力中央研究所より、5月31日から6月4日まで開催された、IAEA使用
済燃料の管理に関する国際会議の結果について報告がありました。
 委員より、施設外貯蔵のニーズの有無や貯蔵期間に関する議論の有無、3〜
4年ごとに開催されている本会合において新しい話題や傾向があるかなどにつ
いて質問がありました。

・高速増殖炉サイクルに関する研究開発の進捗状況及びその早期実現に向けた
取組みに関する検討結果の報告に対する委員会の見解について
<主なやりとり等>
 事務局より、前回の定例会議(7月13日(火)第36回定例会議)で報告され
た、高速増殖炉サイクルに関する研究開発の進捗状況及びその早期実現に向け
た取組みに関する検討結果の報告に対する見解(案)について説明がありまし
た。
 委員より、国民理解の重要性やマイナーアクチニドのリサイクル技術に関す
る記述の意図するところについてコメントがあった上で、原案のとおり原子力
委員会の見解として了承されました。

・原子力政策大綱の見直しの必要性に関する検討について(決定)
<主なやりとり等>
 事務局より、原子力政策大綱の見直しの必要性に関する検討について説明が
ありました。案文では、原子力政策大綱策定後の国内外の原子力利用には様々
な変化が見られること踏まえ、策定から5年が経過した原子力政策大綱につい
て見直しの必要性の有無の検討を行うとしています。
 審議の結果、原子力政策大綱の見直しの必要性に関する検討を開始すること
が委員会決定され、併せて7月29日(木)に第1回の有識者ヒアリングが開催
されることとなりました。


※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm

●次回は7月27日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・日本原燃株式会社再処理工場アクティブ試験の現状について(日本原燃株式
会社)
・「原子力政策大綱(平成17年10月策定)」の見直しの必要性に関する意見募
集について
・平成23年度原子力関係経費概算要求構想ヒアリング(総務省、経済産業省)


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されていま
す。これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴でき
ます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけ
ます。

※現在、開催が予定されている部会はありません。


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
「ものまね」

 会社に入って最初に配属になったのは原子力発電所の運転員でした。最初は
運転操作に必要な知識や技能はありませんので、研修センターでの机上教育や
シミュレータを使用しての操作訓練を受けながら、一人前の運転員を目指しま
した。
 日々の運転業務においても、発電所の巡視などに合わせて、現場において各
系統の配管をたどるなどして、知識を増やしていきました。運転操作について
は、シミュレータでの訓練だけでなく、日々の運転業務における先輩運転員の
指導が大きかったと思います。特に、運転操作における基本動作は、先輩運転
員のまねから始めたと記憶しています。
 運転員は約5年やり、それ以降、机上業務が中心になり、業務も手順がある
ような定常的なものからそれぞれの課題に対応していくものに変わってきまし
た。今後も直面する課題に対して、これまでの経験と知識をもとに、時々ひと
のまねもしながら、クリアして行きたいと思います。
(稲場)

●次号配信は、平成22年8月6日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
 https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
 https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0001.html
○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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