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第55号 原子力委員会メールマガジン ユニオンジャックの国で考えたこと

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2010年5月28日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 大庭委員からひとこと ユニオンジャックの国で考えたこと
┣ 定例会議情報 放射線障害防止法の改正について
┃        原子力人材育成関係者協議会の報告について
┃        成長に向けての原子力戦略について(決定) 等
┣ 部会情報等  
┣ 事務局だより 私の成長戦略
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せく
ださい。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
ユニオンジャックの国で考えたこと  大庭三枝

 今年3月に私が「一言」を担当したときは、イギリスとフィンランドへの出
張に旅立つ直前でした。この海外出張は原子力委員として最初の出張であり、
「様々な知見が得られることを期待して、出発準備をしています。」とコラム
には書いていましたが、その期待通り、同行した方々の多大なご助力のおかげ
もあり、非常に実り多い海外視察となりました。今回は特にイギリス出張にお
いて印象深かったことをご紹介しようと思います。
 皮切りは、イギリスのセラフィールドサイトの視察でした。マンチェスター
空港から車で3時間ほどのところにある施設です。原子力関連の施設は、都市
から遠く離れたところにあるのが一般的である、ということを改めて認識しま
した。私が視察したのは、酸化物燃料再処理施設(THORP)とガラス固化関連
施設でした。セラフィールドサイトは、日本の電力会社と再処理契約を結んで
おり、我々と関係が深いところです。ガラス固化体の製造、検査についは、「
顧客」である日本の要求に基づき、特別な配慮がなされているとのことでした
。日本の安全基準の厳しさは、こういうところにも貫徹されているようです。
 翌日には、西カンブリア州MRWSパートナーシップの関係者との意見交換のた
め、ホワイトヘブンという町に行きました。西カンブリア州MRWSパートナーシ
ップとは、イギリスにおける高レベル放射性廃棄物施設の誘致について「関心
表明」を行っているコープランド市をはじめとする3つの自治体の代表を中心
に、その他の周辺自治体、労働組合、国立公園管理組合など、地元のステーク
ホルダーの代表者で構成されています。ちなみにコープランド市はセラフィー
ルドサイトがある自治体です。処分場選定プロセスには、このパートナーシッ
プが主体的に関わりつつ、慎重に進められることとなっています。すなわち処
分場選定の各プロセスにおいて、このパートナーシップが、地元の自治体に、
次のステップに進むかどうか、また最終的に地層処分サイトを受け入れるかど
うかについても勧告することになっているのです。「決定」ではなく「勧告」
ですが、パートナーシップの中には地方自治体からの代表も入っているため、
この勧告の事実上の効力は担保されていることになります。
 また興味深かったのは、処分場選定プロセスの最初のステップを踏み出した
ばかりの現時点では、安全性や、対象となる放射性廃棄物の詳細については議
論する段階ではない、ということをパートナーシップの方々が強調していたこ
とでした。まず安全性の問題から入る日本とは、リスクというものについての
とらえ方がかなり異なるのではないかという印象を持ちました。
 さらに次の日には、ロンドンにおいてエネルギー・気候変動省(DECC)、地
層処分の実施主体である英国原子力廃止措置機関(NDA)、および高レベル放
射性廃棄物の処分やプロセスについての勧告を行う独立した委員会である放射
性廃棄物管理委員会(CoRWM)の方たちとの意見交換を行いました。先ほど西
カンブリア州MRWSパートナーシップについて述べましたが、このような地元の
ステークホルダーによって構成されるパートナーシップが、選定プロセスに深
く関わっていくというやり方は、1990年代にイギリスにおいてNirex社がトッ
プダウンのサイト選定を行おうとして失敗したという手痛い経験の反省から生
まれたものです。この「Nirexの失敗」についてはパートナーシップの方々も
言及しておりましたし、DECC、NDA、そしてCoRWMの方々も何度も強調していま
した。いわば関係者にとっては一種のトラウマなのでしょう。その経験を乗り
越え、十二分にボトムアップのアプローチを取ろうとしているのは大いに評価
できるところです。ただそうしたアプローチが成り立つためには、様々なステ
ークホルダーによって、リスク等についての十分なデータ開示を前提とした冷
静な評価と議論をじっくり行い得るような社会的素地が醸成されていることが
必要でしょう。



●次号は尾本委員からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●5月18日(火)第28回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

・放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律の改正について(文
部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、4月に改正された放射線障害防止法の内容について説明が
ありました。改正内容は、クリアランス制度の導入、放射化物への規制、廃止
措置の強化、譲渡譲受制限の合理化、罰則の強化の5点です。
 委員より、クリアランス制度が運用されるためには、制度についての経済性
及び安全性の合理性についての説明は行政責任であるなどのコメントがありま
した。

・平成21年度原子力人材育成関係者協議会の報告について(日本原子力産業
協会)
<主なやりとり等>
 日本原子力産業協会の服部理事長より原子力人材育成関係者協議会の報告書
について、日本原子力研究開発機構原子力人材育成センターの杉本センター長
より同協議会の原子力人材育成に関する国際対応作業会の報告書について説明
がありました。
 委員より、よい人材を集めるためには、大学に研究費を、学生に奨学金を出
すことが重要である、人材の国際化を進めるにあたっては、キャリアシステム
の変革が大事であるなどのコメントがありました。


●5月25日(火)第29回定例会議の概要は以下のとおりでした。詳しくはホー
ムページに掲載される議事録をご覧下さい。

・平成22年度「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」の公募結果につい
て(文部科学省)
<主なやりとり等>
 文部科学省より、同省が1月29日から3月4日まで公募した「原子力基礎基
盤戦略研究イニシアティブ」について、総計77課題の提案を審査した結果、17
課題を採択したことについて説明がありました。

・成長に向けての原子力戦略について(決定)
<主なやりとり等>
 事務局より、成長に向けての原子力戦略として重要と考えられる事項及び重
点的に推進すべき施策について取りまとめた報告書案と、国民の皆様からのご
意見の概要と対応案について説明をしました。報告書案について一部の文言を
修正した上で、「成長に向けての原子力戦略」として原子力委員会決定しまし
た。

・尾本原子力委員会委員の海外出張報告について
<主なやりとり等>
 尾本委員より、中国への出張(5月16日〜21日)の結果について報告があり
ました。委員は、西安で開催された第 18 回原子力工学国際学会(ICONE)に出
席し、原子力利用の拡大に関する国内動向と世界レベルでの課題について講演
を行うとともに、中国の原子力発電の動向、規格基準の国際標準化などについ
て意見交換を行いました。


※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/index.htm


●次回は6月1日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・原子力政策大綱に示している放射線利用に関する取組の基本的考え方に関す
る評価について(決定)
・鈴木原子力委員会委員長代理の海外出張について

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されていま
す。これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴でき
ます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけ
ます。

※現在、開催が予定されている部会はありません。


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
私の成長戦略

 事務局にきて、早くも2年2ヶ月が過ぎ、異動の時期が参りました。こちら
を離れるにあたり、今後の自分の成長戦略を少々。

 こちらでは、国際専門部会等を通じて世界の原子力の情勢にも触れ、また、
たまに国際関係の仕事のお手伝いをさせていただいた機会を通して、海外への
関心も高まり、今後、ぜひ海外で仕事をしてみたいと強く想うようになりまし
た。

 最終的な目標として、国際機関で仕事をしたいと思っています。それを達成
するために、向こう数年くらいの中期的な目標として、自分自身の核となる領
域をつくること、語学も含め国際的な場での議論に耐えうるように鍛えること
かなと思います。さらに、より短期的には、海外の方と議論する場に積極的に
参加し、自分自身の足りないところ、課題をよく見極めたいと考えています。

 事務局での仕事をとおし、多くの方にお会いし、さまざまなお考えをうかが
えたことが、今後の自分を考えるきっかけになりました。ありがとうございま
した。今後、ここで多くの方から学んだことをいかしつつ、原子力で国際的に
貢献できるような人材になりたいと思います。
(大釜)


●次号配信は、平成22年6月11日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
 https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.html
○配信希望、アドレス変更、配信停止などはこちらへ
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
○このメールアドレスは発信専用のため、ご返信いただけません。
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