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第42号 原子力委員会メールマガジン 「原子力発電をめぐる米国の新しい提案」

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2009年11月13日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 近藤委員長からひとこと 原子力発電をめぐる米国の新しい提案
┣ 定例会議情報 平成22年度原子力関係経費概算要求額総表
┃        伊藤委員のロシア・ウクライナ出張報告
┃        近藤委員長の米国出張 等
┣ 部会情報等  国際専門部会(第4回)の開催について
┣ 事務局だより 東京での週末
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せくだ
さい。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
原子力発電をめぐる米国の新しい提案   近藤駿介

 国際原子力機関(IAEA)によれば、現在、50以上の国が原子力発電に関心
を表明し、トルコ、エジプト、ヴェトナム、ナイジェリアを含む12の国が原子力
発電所新設計画に積極的に取組んでいるので、今後15年間に約70基の新設が予想
されるとのことです。原子力発電に対するこうした関心の高まりの理由としては、
第1には、このところ各国で原子力発電所が安全に運転されていること、第2に
は、各国でエネルギー、とりわけ電力需要が高まっていること、第3にはエネル
ギー資源価格が上昇し、原子力発電の経済性が高まったこと、そして第4には、
地球温暖化対策の推進のために低炭素エネルギー源の採用が求められている状況
にあって、原子力発電は大規模な供給力の実現が実証されている有力な低炭素エ
ネルギー源として評価されるようになってきていることが挙げられます。

 世界がなお不況から脱出していないので、これが予想通りのスピードで進展す
ると考えることには躊躇しますが、このような理由に基づく計画だとすれば、遅
れがあるとしても5年程度ではないかと考えているところです。

 ところで、こうした国際動向を見据えて、これが核拡散リスクを増大させるこ
とを恐れる意見や、このリスクを増大させないため、原子力の平和利用に関する
新しい国際秩序の構築を提案する発言も増えてきています。本日来日された米国
のオバマ大統領も、今年4月にプラハで行った核軍縮・核不拡散努力を強化する
基本方針を述べた演説で、この事に関して原則的な姿勢と提案を明らかにしてい
ます。

 大統領は、核兵器不拡散条約(NPT)がIAEAに査察業務を付託している
ことに鑑み、IAEAへの資源配分を増大し、IAEAの権限を強化すべきとし、
さらに、この条約の違反者に対しては直ちに的確な対応をとるが、核兵器を放棄
した国々には原子力平和利用の権利があり、ルールに基づいて行動する国々の権
利を否定するアプローチは成功しないと考えるとした上で、我々は気候変動との
戦い、全ての人々の生きる機会の増進を目指す努力の一環として原子力を使いこ
なさねばならない。そこで、諸国が核拡散リスクを増大させることなく原子力の
平和利用を享受できるように、国際核燃料銀行を含む原子力平和利用のための新
しい枠組みを構築しようではないかと提案しました。
 最近、クリントン国務長官が「米国平和研究所」において行った演説には、こ
の新しい枠組みのあり方に関する米国の考え方がより具体的に述べられています。
そこで長官は、諸国が核燃料にアクセスできる権利は擁護されなければならない
とした上で、それにも関わらず途上国が濃縮・再処理を国内でしないですむよう
にするには、彼等が利用できる核燃料サイクルのオプションを拡大することが大
切。燃料供給保証のための多国間枠組み、国際核燃料銀行、国際使用済燃料貯蔵
センター等があれば、各国が濃縮・再処理といった燃料サイクル施設を自ら国内
に保有せずとも原子力発電の利益を享受できるという確信を強くもてるはず。よ
って、これらの整備がこれからの核不拡散政策の主要素になると言っています。

 ここにあげられた要素は過去に議論されたものばかりですが、新しい国際環境
の中で再評価してみることは大切ということでしょう。

 私としては、我国は、立地地域社会の持続的発展を支援しつつ原子力発電の利
用を進展させてエネルギー安定供給の確保や地球温暖化対策の推進といった公益
の実現を計るとともに、原子力を国民の福祉の向上に生かしたいとする国々を支
援することは勿論、自ら実施している濃縮・再処理事業を含む取組の経験を生か
して、諸国と共同してこのような新しい国際秩序を形成する構想の有効性や実現
に向けての検討を進め、国際社会における原子力技術の持続可能性を一層向上す
ることにも貢献していくべきと考えています。


●次号は田中委員長代理からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●11月10日(火)第41回定例会議の概要は以下のとおりでした。

・北陸電力株式会社志賀原子力発電所の原子炉の設置変更(2号原子炉施設の変
更)について(諮問)(原子力安全・保安院)
<主なやりとり等>
 原子力安全・保安院より、志賀原子力発電所に新たにタービン保管庫を設置し、
低圧タービン取替えに伴い取り外したタービンロータ等を貯蔵保管する内容の設
置変更許可申請について説明があり、当委員会に諮問されました。
 委員より、タービンロータの放射能汚染状況や貯蔵保管する理由等について質
問があったほか、クリアランス制度の活用に期待するコメントがありました。

・平成22年度原子力関係経費概算要求額総表について
<主なやりとり等>
 事務局より、各省庁が10月にとりまとめた平成22年度予算の概算要求における
原子力関係経費の概要について説明をしました。これは新政権の方針に基づき、
各省庁が概算要求を見直したことから、再度、報告をしたものです。10月の概算
要求の時点において、一般会計では平成21年度予算から約3%増の約1193億円、
特別会計では平成21年度予算から約3.7%増の約3272億円となっています。
 例年通り8月にとりまとめられた概算要求については、第28回定例会議及び第
29回定例会議においてヒアリングを行っています。今回まとめられた概算要求で
は金額等に変更が生じているものの、その内容には大きな変更がないことから、
当委員会としては改めてヒアリングは行わないこととしました。
<参考>
第28回定例会議議事録:
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo32/siryo2.pdf
第29回定例会議議事録:
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo33/siryo5.pdf

・伊藤原子力委員会委員の海外出張報告について
<主なやりとり等>
 伊藤委員及び事務局より、伊藤委員がモスクワで開催された国際会議「AtomEc
o」へ出席し、併せてチェルノブイリ原子力発電所及びアンガルスク国際濃縮セン
ターの視察を行った海外出張(10月28日〜11月4日)について、報告がありま
した。AtomEcoの熱気ある会場の様子、チェルノブイリの石棺の状況や周辺での生
活の様子、ウラン濃縮施設の安全対策などについて、説明がありました。
 委員より、AtomEcoで行った我が国の不拡散に関する講演に対する他の出席者の
反応や、国際社会でロシアが果たそうとしている役割等について質問がありました。

・近藤原子力委員会委員長の海外出張について
<主なやりとり等>
 近藤委員長が、11月14日から21日に米国へ出張し、米国ワシントンD.C.で開
催される第8回日米原子力ワークショップ会合に参加し講演・意見交換を行うと
ともに、米国原子力学会の2009年トミー・トンプソン賞授賞式に同賞受賞のため
出席します。
 トミー・トンプソン賞とは、原子炉安全の分野で活躍したマサチューセッツ工
科大学のトンプソン教授を讃えて1980年に創設された賞で、これまでに29人に授
与されています。


※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo41/tei-si41.htm


●次回は11月17日(火)に開催します。議題は以下のとおりです。
・原子力政策大綱に示している原子力研究開発に関する取組の基本的考え方の評
価について
・「埋設処分業務の実施に関する計画」について(日本原子力研究開発機構)

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞ヶ
関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布
資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されています。
これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴できます。
開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


●11月20日(金)に国際専門部会(第4回)を開催します。
開催日時:平成21年11月20日(金) 10時00分〜12時00分
開催場所:東海大学校友会館「望星の間」(霞が関ビル35階)
議題:・技術開発の状況等について
   ・論点整理について
※開催案内は以下のページでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kokusaisenmon/yotei/yotei04.htm


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
東京での週末

 4月にこちらに赴任する際、家族から呆れられつつSONYのPS3を抱えて引っ越
してきました。週末、誰にも邪魔されずにゆったりと映画でも、との目論見でし
たが・・・

 年齢がバレてしまいますが、学生時代には、SONY製のオーディオの愛好家を
「SONY小僧」と呼んでいました。かくいう自分も現役SONY小僧ですが、当時印
象的だった出来事に、ビデオのVHS-Beta戦争があります。性能に優れると言われ、
メディアのサイズもコンパクトだったBeta方式ですが、結果はご承知のとおり。
VHSがスタンダードになってしまいました。Betaの敗因については様々な話があ
りますが、製品やコンセプトが受け入れられるかは、単に性能だけではなく、社
会の情勢やニーズなど他の多くの要因が複合的に関連するようです。

 温室効果ガスの抑制に優れるとして原子力が注目される機会が増えてきていま
す。研究畑に居ると、とかくシステムの性能向上に注意が偏りがちですが、様々
な要素に常にアンテナを張り、それらを多面的に考えていくことが大事だと、こ
れまでの定例会の資料を勉強しながら、改めて感じています。

 ところで週末ですが、目論見通り、勉強の合間にしっかり映画を見ています。
とはいえ、字幕を追いながらアイロン片手にYシャツやハンカチと格闘している
と、ついつい火傷しそうになるんですよね・・・(佐々)

●次号配信は、平成21年11月27日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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