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第40号 原子力委員会メールマガジン 2009年10月16日号

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2009年10月16日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┣ 広瀬委員からひとこと ブルガリアの原子力事情
┣ 定例会議情報 IAEA第53回総会の結果概要
┃        核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合の結果概要
┃        原子力関係経費の見積りに関する基本方針の改訂
┣ 部会情報等  国際専門部会(第3回)
┣ 事務局だより 雑感
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●メールマガジンや、原子力委員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せくだ
さい。

━・・・━ 委員からひとこと ━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
ブルガリアの原子力事情   広瀬崇子

 ブルガリアは東欧では原子力大国です。旧ソ連時代から原子力発電所を建設し、
合計6基の原子炉を持っています。合計出力は3,760MWで、ブルガリア国内のみな
らず、近隣諸国へ電力を輸出していました。

 ところが、ソ連の崩壊、東欧の民主化によって事態は大きく変わりました。ブ
ルガリアはEUへの加盟申請をしましたが、そのEU加盟交渉の際に、安全性の問題
から旧式のソ連製の原子炉であるコズロドイ原子力発電所1〜4号機の閉鎖を要求
され、1,2号機を2002年末に、3,4号機を2006年末にそれぞれ閉鎖することになっ
たのです。したがって、現在の出力は5,6号機のみの2,000MWとなっています。

 3,4号機は停止期限前から、既に大々的な改修工事が行われ、その結果安全性
の問題は解決されたとする意見が国内のみならず国際機関からも出されていたこ
とを背景に、閉鎖計画を白紙に戻す動きが出ていました。また、コズロドイ原子
力発電所はブルガリア国内の電力需要の約40%を賄っていたほか、周辺諸国にも
電力を供給していたことから、1〜4号機の停止による影響は周辺国に及ぶことは
明らかでしたが、最終的にはEUとの合意が遵守され、3,4号機は2006年末に停止
されました。停止後の2007年3月には、ブルガリア、セルビア、マケドニア、ア
ルバニア、クロアチアの5カ国が、電力不足により、電力価格が2006年度比で80-
100%上昇したことを明らかにしたうえで、「電力不足は地域にとって深刻な問題
で、経済・政治が不安定になる」として、3,4号機の運転再開を求める声明を出
しています。3,4号機の停止について、発電所の関係者は、「原子炉がEU加盟と
いう政治的駆け引きの犠牲にされた」と、怒りを隠そうともしません。彼らにし
てみれば、原子炉は自らの子供のようなもので、大事に、大事に育て上げ、そし
て改修を行ってきたのです。その改修工事が完成した矢先に停止命令というので
すから、許せないと憤る気持ちも理解できます。多くの人たちはこの話をする際
に涙を流していました。停止はしましたが、燃料はまだ残っており、いつでも再
開できるように準備はできているとのことでした。

 3,4号機の話はブルガリアではとてもホットでデリケートな話題でした。この
問題をめぐってナショナリズムがかなり高まっているのです。発電所関係者のみ
ならず、規制当局にもその熱は伝わっていました。

 ところで、ブルガリアの発電所はきわめて清潔で、効率的、そしてオペレータ
ーなどの間に安全文化が浸透しているという印象を受けました。また、さすがに
原子力大国だけあって、規制当局もてきぱきと仕事をこなしており、特に高いプ
ロ意識で業務をこなしている様子でした。実は、彼らは、チェルノブイリ事故の
後、日本が旧東欧などの原子力関係者を対象に実施した「千人研修」というプロ
グラムを日本で受講を受けた人たちだったのです。当時若手の技術者として日本
の発電所などで研修を受けた人たちは現在まさにトップの座を占めています。発
電所も規制当局も原子力関係の指導者はほとんど日本での研修の経験のある人た
ちでした。彼らは、改めて、日本の援助に感謝と敬意の意を表してくれました。

 日本では、すでに「千人研修」は過去のものとなり、これを覚えている人も少
なくなりました。でも、日本が蒔いた種は着実に東欧で育っています。現在、ブ
ルガリアのような国が原子力安全文化を着実に身につけている姿を見て、日本の
貢献を再評価するとともに、今後、原子力先進国として、日本が果たす役割の大
きさを再認識したしだいです。


●次号は伊藤委員からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●10月6日(火)第37回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・国際原子力機関(IAEA)第53回総会の結果概要について(外務省・内閣
府)
<主なやりとり等>
 9月14日〜18日にウィーンで開催された、IAEA第53回総会における
野田前大臣の政府代表演説の概要と主要な議題について、事務局及び外務省より
報告がありました。
 総会では、天野之弥次期IAEA事務局長の任命が承認されました。「IAE
Aと北朝鮮との間の核兵器不拡散条約(NPT)保障措置協定の実施」に関する
決議やイスラエルに対しNPT加入や全ての核施設をIAEA保障措置の下に置
くことを求める決議の採択等が行われました。
 委員より、総会の各議題について日本のとった対応(賛成/反対)についての
質問等がありました。

・核不拡散・核軍縮に関する安保理首脳会合における安保理決議1887号の採
択について(外務省)
<主なやりとり等>
 9月24日にニューヨークで開催された、核不拡散・核軍縮に関する国連安全
保障理事会首脳会合において採択された安保理決議1887号の概要について、
外務省より説明がありました。
 同決議には、「核兵器のない世界」に向けた条件構築の決意や、NPT強化、
核軍縮に向けた交渉の要請、北朝鮮やイランへの要求、核テロ対策についての呼
びかけ等が記載されています。
 委員より、「市民社会の貢献に留意」と記載された具体的な内容についての質
問や、原子力の平和利用の重要性についてのコメントがありました。


※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo37/tei-si37.htm



●10月13日(火)第38回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・平成22年度原子力関係経費の見積りに関する基本方針について
<主なやりとり等>
 7月7日の第25回定例会議において委員会決定を行った「平成22年度原子
力関係経費の見積もりに関する基本方針」を修正する案について、事務局より説
明をしました。
 具体的には、新政権の方針を踏まえ、基本認識の中に鳩山総理が国連総会で表
明したCO2削減目標や、「安全を第一として国民の理解と信頼を得ながら原子
力利用について着実に取り組むことが重要」との記載を追加する等の修正を行い
ました。
 委員より、「今後とも、CO2の排出を抑制するという目的のために、安全確
保を大前提に原子力を基幹電源として最大限活用される必要がある」、「CO2
の削減目標を達成するために、この基本方針をしっかりと実現、実行していくよ
うに我々も努力するし、関係の方々の努力が必要である」、等のコメントがあり
ました。


※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2009/siryo38/tei-si38.htm


●次回は10月20日(火)に開催します。
 ・米国政府による原子炉供給メーカーの認定について(株式会社 東芝)
 ・原子力大綱に示される「放射線利用」及び「人材の育成・確保」に関する政
策の評価について
 ・近藤原子力委員会委員長の海外出張について


●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞ヶ
関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や配布
資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されています。
これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴できます。
開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


●10月2日(金)の国際専門部会(第3回)の概要は以下のとおりでした。
<議題>
  ・核不拡散にかかわる状況について
<主なやりとり等>
 核不拡散にかかわる状況の事実関係について事務局より説明をした後、第2回
に整理した論点のうち、核不拡散と平和利用の推進について、議論しました。
 具体的には、IAEA追加議定書の有効性とその普遍化に向けた取組み、核不
拡散に関する日本の貢献と経験の活用策、アジア地域における核不拡散や原子力
平和利用に係る枠組の構想等について議論が交わされました。
 今後は、日本が国際展開を図るための技術や産業といった観点からの議論がな
されるとともに、中間取りまとめに向けて議論が進められる予定です。


※資料等は以下のURLでご覧いただけます。
 http://www.aec.go.jp/jicst/NC/senmon/kokusaisenmon/siryo/3/index.htm


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+

 事務局にきて2年以上経ち、入れ替わりの多いこの職場では断トツの最古参に
なりました。この間、FNCAやGNEPなど種々の国際会議への対応とともに原子力ビ
ジョン懇談会や国際専門部会を担当し、多彩な方々と仕事をする機会を得ました。
その結果、長年原子力屋として培ってきた狭い視野が少しは広がったような気が
しています。

 私は元々研究開発畑の人間であり、技術を過信して着想の段階から「うまくい
くはずだ」と思い込んでしまうことが多いのですが、困難に出会った時には広く
応援を得て客観的な目で対処することが極めて重要なのだと改めて認識しました。
今後の仕事においても、なるべく大きく目を開いて上手に試行錯誤していくこと
ができたら良いなあと考えています。
(横尾)

●次号配信は、平成21年10月30日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
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