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第30号 原子力委員会メールマガジン 2009年5月15日号

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    @mieru(あっとみえる) 原子力委員会メールマガジン
           2009年5月15日号
   ☆★☆ めざせ! 信頼のプロフェッショナル!! ☆★☆
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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┣ トピックス  広瀬委員からひとこと スロベニア共和国の原子力事情
┣ 定例会議情報 原子力人材育成関係者協議会報告書について など
┣ 部会情報等  
┣ 読者コーナー
┣ 事務局だより
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━・・・━ トピックス 広瀬委員からひとこと ━・・・━・・・━

今回から3回にわたって、3月に出張した東欧の3カ国、スロベニア共和国、ク
ロアチア共和国、ブルガリア共和国の原子力事情をご紹介します。
今回はスロベニア共和国です。

東欧の小国をなぜ訪問したのか、そして日本の原子力とどのように関わってい
るのか、と不思議に思われる方も多いと思います。これらの国を訪問した理由
は、第1にこの地域が国際協力の1つのパターンを示しているからです。小国
が原子力発電を行おうとする場合、1国で開発、運営するのはコストがかかり
すぎます。当然複数国家による共同所有が1つのオプションとなります。アジ
アでもいずれ可能性を探求することになるかもしれません。
国際協力が一歩進んでいるヨーロッパから学べることは多いはずです。

第2に、ソ連が解体し、東欧諸国が相次いで民主化された時、それらの国が持
っていた原子力発電所の安全が国際的な関心の的になりました。日本は「1000
人研修」というプログラムで、これらの国の技術者などを招いて、教育、訓練
を行いました。その成果がどのように出ているかを知ることも今回の出張の目
的の一つでした。これはブルガリアでの視察です。

さて、スロベニアですが、この国は旧ユーゴスラヴィアから1991年に独立しま
した。面積は四国とほぼ同じ、人口は約200万人という小さな国です。旧ユー
ゴを構成していた6つの共和国のうち、当時から最も工業化が進んでいた先進
国で、さらにクロアチアやボスニアと異なり、独立も比較的スムーズに達成し
ました。戦争はたった10日間だけでした!ちなみにその間、原発は停止させた
そうです。2004年にEUに加盟しています。

東欧には比較的早い時期に原子力発電を導入した国が多いですが、スロベニア
でも1975年に、クルシュコというクロアチアとの国境に近い地で、クロアチア
と共同で原子力発電所の建設が始まりました。当時はクロアチアで独自に原発
を建設する計画もあったのですが、その後反原子力の世論の高まりによりクロ
アチアの計画は頓挫、結果的にこの地域ではクルシュコ原発だけが建設されま
した。1983年に運転が開始されています。

その後独立した両国は2001年に協定に調印し、クルシュコは正式に両国共有の
原発となりました。所有権は両国50%ずつ、そこで発電する電力も50%をクロア
チアが権利を持っています。現在は、スロベニアの総電力量の約38%、クロア
チアの総発電量の約16%を供給しています(スロベニアの発電量のうち半分は
クロアチアに輸出されているため、国内消費されるのは総発電量の約19%とな
ります)。運営委員会は両国の電力会社メンバー4名ずつで構成され、従業員
は2008年の時点で598名、そのうち150名程度がクロアチア人とのことでした。

それでは安全規制やIAEA(国際原子力機関)との関係も両国が半分ずつ負担し
ているかというと、そうではないのです。それらは基本的に立地国の責任にな
りますから、安全規制や保障措置といった問題はすべてスロベニアの責任にな
ります。IAEAもクルシュコに関してはスロベニアのみを相手にしています。ま
た使用済み燃料に関しても、発生するのがスロベニアであるため、第一義的に
スロベニアが責任を負うことになります。

所有権は50%、発電量も50%はクロアチアの権利、しかも面倒なことはほぼスロ
ベニア任せ、ということになってしまいます。これではスロベニアが不満に感
じるのも無理はありません。スロベニアは現在第2号機の計画を進めています
が、これは他国と共同所有にする気はないと言っています。ただし、発電所で
聞いた話では、現場では、クロアチア人技術者との関係は全く問題ないとのこ
とでした。どうやら、政治の問題のようです。次回はクロアチアの言い分をご
紹介します。


●次号は伊藤委員からのひとことの予定です!


━・・・━━ 定例会議情報 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━
●4月21日(火)第15回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・原子力人材育成関係者協議会報告書「原子力人材育成に向けた取組」(平成
21年4月)について(原子力人材育成関係者協議会)
<主なやりとり等>
原子力人材育成関係者協議会報告書について、原子力人材育成関係者協議会・
原子力人材育成ロードマップ作業会主査の辻倉様より説明していただきました。
委員より、報告書での提言を生かすための取組みについての意見等がありま
した。

・東京電力株式会社福島第二原子力発電所の設置変更(1号、2号、3号及び
4号原子炉施設の変更)について(諮問)
<主なやりとり等>
東京電力株式会社福島第二原子力発電所の設置変更(1号、2号、3号及び4
号原子炉施設の変更)について、原子力安全・保安院より説明がありました。


●4月28日(火)第16回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・分離変換技術に関する研究開発の現状と今後の進め方について
<主なやりとり等>
分離変換技術検討会の山名座長より、分離変換技術に関する研究開発の現状と
今後の進め方について説明していただきました。委員より、分かりやすい議論
が行われたことを評価するコメントがありました。

・伊藤原子力委員会委員の海外出張について
<主なやりとり等>
伊藤委員が5月11日〜17日に米国へ出張し、American Academy of Arts &
 Sciencesのワークショップで講演及びパネルディスカッションを行うと共に
、米国の原子力関係要人との意見交換や研究所の視察を行うことを事務局より
説明しました。

・田中原子力委員会委員長代理の海外出張報告について
<主なやりとり等>
田中委員長代理が4月19日〜23日に野田聖子内閣府特命担当大臣(科学技
術政策担当)に同行して中国へ出張して出席したIAEA主催の「21世紀の原子
力エネルギー」閣僚級会合や、中国の原子力関係施設の視察、関係者と意見交
換の概要・結果について、伊藤委員長代理及び事務局より報告がありました。


●5月12日(火)第17回定例会議の概要は以下のとおりでした。
・科学技術と社会安全の関係を考える市民講座2008について
<主なやりとり等>
東京大学大学院工学系研究科の班目教授より、東京大学大学院工学系研究科原
子力国際専攻の特別講義として開催している「科学技術と社会安全の関係を考
える市民講座2008」の開催背景・結果についてご説明いただきました。一
般の人が議論したいのは安全性よりも決定のプロセスや制度ではないかという
こと、また、国主催の対話集会が増えていることは評価できるがその効果を調
べ改革する努力が重要であること、などがコーディネータとして印象に残った
ことであるとのお話をいただきました。


●次回は5月19日(火)に開催します。
 ・医療用アイソトープ原料の安定供給にかかる現状と取組むべき対応 
(社団法人 日本アイソトープ協会)
 ・伊藤委員の海外出張報告について

●定例会議を傍聴にいらっしゃいませんか。定例会議は通常毎週火曜午前、霞
ヶ関の合同庁舎4号館で開催しており、どなたでも傍聴できます。開催案内や
配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけます。


━・・・━━ 部会情報等 ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━━

●原子力委員会には調査審議組織として専門部会や懇談会等が設置されていま
す。これらの部会や懇談会等は原則として公開しており、どなたでも傍聴でき
ます。開催案内や配布資料はすべて原子力委員会ホームページでご覧いただけ
ます。


━・・・━━ 読者コーナー ━━・・・━━・・・━━・・・━━・・・━

●皆さまからのお便りをお待ちしています!このメールマガジンや、原子力委
員会の活動に関するご意見・ご感想等を、
https://form.cao.go.jp/aec-melmaga/opinion-0002.htmlまで、ぜひお寄せく
ださい。なお、お寄せいただいたご意見・ご感想などは、個人情報を除きこの
メールマガジンに掲載させていただくことがあります。また質問につきまして
は、そのすべてには回答できない場合がありますので、ご了承をお願いいたし
ます。


+-+-+-+-+-+-+ 事務局だより +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+
委員からのひとことで広瀬委員が書かれている東欧出張に関して、現地との調
整等を担当したほか、随行メンバーとして同行させていただきました。直前ま
でアポが確定しなかったり、相手によって同じ質問への回答が全く違っていた
り、会合の途中に相手側メンバー内で意見の違いが明らかになったりと、日本
ではなかなか遭遇することのない状況もあり戸惑うことも少なからずありまし
たが、今にして思えば良い経験になったように思います。

さて、やや個人的な話になってしまいますが、昨年5月に原子力委員会の事務
局へ異動してきてから、もう間もなく1年となります。異動してきて最初に担
当したメルマガは第7号だったので、20号以上のメルマガの発行に関わって
きたことになります。その間、メルマガの登録者数は順調に増加を続け、現在
では1800名以上の方に登録していただいています。読者の皆様から届く意
見や、事務局内のメンバーからの意見を参考にして、皆様にとって、これまで
以上に有用で、かつ楽しんでいただけるメルマガを目指して頑張りたいと思い
ます。今後ともよろしくお願いします。


●次号配信は、平成21年5月29日(金)午後の予定です。

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発行者:内閣府原子力政策担当室(原子力委員会事務局)
○ご意見、ご感想、ご質問などはこちらへ 
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○原子力委員会ホームページ  http://www.aec.go.jp/
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