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時の話題 新日米原子力協力協定の署名について この協定は、日米間の原子力協力のために、現行の日米原子力協力協定に替わる新しい協力の枠組みを提供するものであり、協力は平和的目的に限って行われること、協定の対象となる核物質等にはIAEA(国際原子力機関)の保障措置、適切な核物質防護措置がとられること、貯蔵、管轄外移転、再処理、形状・内容の変更、20パーセント以上の濃縮には供給国の事前同意を要すること等を規定している。また、この協定の実施取極においては、このような事前同意については、一定の条件の下に一括して与えられることとされている。 この協定の締結により、日米両国間の原子力分野における協力がいっそう安定的な基礎の上に、従来以上に促進されるとともに、核拡散防止への我が国への貢献にも資することが期待される。なお、この協定は両国政府がその効力発生のために必要なそれぞれの国内法上の手続を完了した旨を通告する外交上の公文を交換した日の後30日目の日に効力を生じ、30年間効力を有することとなっている。 (参 考) 1 本協定の交渉経緯 日米両国間には、昭和43年に現行原子力協定が締結されているが(昭和48年一部改正)、我が国は、米国より発電用の濃縮ウランのほとんどの供給を受けており、このような燃料の再処理(使用済燃料からプルトニウムなどを回収することをいう。)を我が国及び国外で行うにあたって必要とされる米国の同意を円滑に取得することに多大の関心を有していた。 他方、米国においては、昭和53年に成立した核不拡散法に基づいて二国間原子力協定の下で行われる活動について以前より広範な活動に関し、米国の同意を必要とするように協定の再交渉を行うことが求められていた。 このような事情の下に、昭和57年に、従前より広い範囲の活動について米国の同意を必要とする一方、一定の条件の下では必要とされる同意が包括的に与えられることとする方向で問題を解決すべく、このための政府間協議が開始され、更に引き続き累次にわたる交渉を経て、昭和62年1月、協定の内容につき実質合意が得られた。その後若干の調整作業を行い、今般日米両国でそれぞれ必要とされる国内手続を経て署名に至ったものである。 2 本協定の骨子 この協定は、前文、本文(16カ条)、末文および2つの附属書から成っており、これに関連して合意議事録が作成されている。また、実施取極は、前文、本文(3カ条)、末文および5つの附属書から成っており、これに関連して合意議事録が作成されている。これらの主な内容は次の通り。 (一) 新日米原子力協定 (1)両国政府は、専門家及び情報の交換、核物質等の供給並びに役務の提供等について協力し、この協力は、この協定の規定並びにそれぞれの国において効力を有する関係条約等に従う。3 我が国及び米国が締結している原子力協定 我が国は現在、米国、英国、フランス、カナダ、オーストラリア、中国との間で原子力協定を締結している。 他方米国は、オーストラリア、オーストリア、カナダ、中国、ノールウエー、スウエーデン、欧州原子力共同体等との間で原子力協定を締結している。 |
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