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委員会の決定等

昭和63年度原子力関係経費の見積について

昭和62年9月8日
原子力委員会


T 昭和63年度施策の概要

 我が国が原子力研究開発に着手してから30年余の歳月が経過し、この間、原子力基本法に謳われている「平和利用の堅持」及び「安全の確保」を大前提として、原子力発電をはじめとする幅広い分野において、原子力開発利用が着実に進展してきている。我が国の原子力発電は、既に総発電電力量の約28%(昭和61年度実績)を賄うに至っており、その安定した運転実績と世界的にも高い水準の信頼性の実現により、今や国民生活及び産業活動に必要不可欠なエネルギー源として定着してきている。

 昨今の国際的なエネルギー需給は、原油価格の下落等により緩和基調にあるものの、エネルギーの対外依存度が主要先進国の中でも依然として最も高い我が国においては、今後、供給安定性及び経済性の面において優れており、しかも需要側の多様なニーズに対応しうる最適なエネルギー供給構造の構築を目指していくことが重要である。このため、我が国としては、原子力をエネルギー供給構造の脆弱性の克服に貢献する基軸エネルギーとして位置づけ、その開発利用を積極的に推進していく必要がある。その際、今後とも長期にわたり軽水炉が原子力発電の主流を占めるとの認識の下に、軽水炉の安全確保に引き続き万全を期すことはもとより、その安全性、信頼性及び経済性をさらに向上させるため、基礎、基盤に立ち返った研究開発を推進することが必要である。

 さらに、軽水炉による原子力発電の自主性を一層向上させるとともに、将来のプルトニウム利用体系への展開の基盤を形成するため、核燃料サイクルの早期確立が必要であり、核燃料サイクルの各分野において所要の技術開発を積極的に進めるとともに、ウラン濃縮、再処理及び低レベル放射性廃棄物の処分について進められている民間事業化の円滑な推進のため、諸施策を講ずる必要がある。

 また、ウラン資源の利用効率において圧倒的に優れている高速増殖炉については、将来の原子力発電の主流となすべきものとして開発を進めることが重要である。さらに、プルトニウム利用に係る広範な技術体系の確立等を図っていくため、軽水炉及び新型転換炉におけるプルトニウム利用を進めていくことが必要である。

 将来の恒久的なエネルギー源として期待される核融合の研究開発、高温熱供給による将来のエネルギー供給源の多様化を目指す高温工学試験研究等の先導的プロジェクトの積極的な推進を図るとともに、原子力船の研究開発を着実に推進していく必要がある。また、放射線利用については、今後原子力利用に新しい途を拓き、幅広い科学技術分野においてより高度な技術を生み出すことを目指した研究開発に重点を置いて推進し、その一層の普及、拡大及び利用の高度化を図っていくことが重要である。

 原子力技術は、広範な科学技術領域にわたり、各種の先端技術、極限技術等を総合化する巨大なシステム技術としての特質を有しており、その研究開発に当たっては、技術の芽の探索、体系的な研究開発の積み重ね等により大きな技術革新を引き起こし、ひいては科学技術全般への波及効果が期待される創造的・革新的領域を重視することが肝要である。この観点から、基礎研究の充実を図るとともに、原子力分野のプロジェクトの共通基盤を形成する基盤技術について、積極的に研究開発を進めていくことが必要である。

 一方、国際的には、原子力分野における我が国の国際社会への貢献に対する要請がとみに高まっており、これに応えるため、原子力先進国としての国際的責務を果たしつつ、欧米の主要先進国とともに原子力開発利用推進の牽引車として主体的・能動的な国際対応を展開していく必要がある。その際、我が国の原子力開発利用は厳に平和目的に限るとの立場を堅持し、世界の核不拡散体制の確立に積極的に貢献していくとともに、より効果的な保障措置体制及び核物質防護体制の整備等を図る必要がある。

 また、先進国間協力については、互恵性及び双務性の確保に十分配慮しつつ、我が国が一定の技術水準を有する分野、要素技術について主体的・能動的な協力を展開するとともに、開発途上国協力については、相手国の国情を勘案しつつ、研究基盤・技術基盤の整備に重点を置きつつ、協力を進めることが肝要である。

 以上の原子力をめぐる内外の情勢を踏まえ、昭和63年度は、本年6月に策定した原子力開発利用長期計画に沿って、以下の施策を講じ、原子力開発利用の総合的かつ計画的な推進を図るものとする。

 原子力開発利用については、計画的にこれを進めることが重要であるが、昭和63年度原子力関係経費については、昨今の厳しい行財政事情から、スケジュール及び資金の支出計画等について可能な限りの調整を行ったところである。政府においては、このような事情を十分考慮し、昭和63年度の予算編成に当たっては、所要資金及び所要人員の確保に特段の配慮がなされるよう期待したい。

1.安全確保対策の総合的強化

(1)原子力安全規制行政の充実
原子力安全委員会においては、安全確保総合調査及び公開ヒアリング等を実施し、行政庁の行った安全審査の再審査(ダブルチェック)等に万全を期すこととする。また、ソ連チェルノブイル原子力発電所の事故を踏まえ、引き続き内外の原子力施設の事故・故障に関する分析評価を実施するほか、原子力先進国間の安全委員会レベルの協議等安全確保に関する国際協力を進める。更に、原子力委員会及び原子力安全委員会が決定した放射性廃棄物の処分に関する基本的な考え方に沿って、放射性廃棄物に関する安全規制を行うために安全基準の整備等を引き続き行う。

 行政庁における安全規制については、引き続き原子力施設の審査、検査、運転管理・監督に万全を期すとともに、商業用ウラン濃縮施設の事業許可申請等核燃料サイクルの事業化、高速増殖炉「もんじゅ」の建設等原子力開発利用の進展に対応して、技術基準の整備、安全審査体制及び検査・運転管理体制の整備等により、安全規制行政の充実・強化及び効率化を図る。

(2)安全研究の推進
 安全規制の裏づけとなる各種データの蓄積、安全評価手法の確立、原子力施設等の各種の安全審査基準・指針の整備・充実等に資することを目的として以下の安全研究を推進する。
@工学的安全研究
 軽水炉については、日本原子力研究所において国立試験研究機関の協力を得て、引き続き加圧水型軽水炉の小破断冷却材喪失事故時の総合実験(ROSA−IV計画)、実用燃料照射後試験施設(大型ホット・ラボ)による燃料の安全研究等を実施するほか、原子炉安全性研究炉(NSRR)を用いて新燃料反応度事故に関する試験研究を継続するとともに、照射済燃料の反応度事故に関する試験研究に着手する。過酷事故(シビアアクシデント)時の安全研究として、炉心損傷時核分裂生成物ソースターム評価試験等を実施する他、事故時格納容器挙動試験に着手する。また、新型転換炉については、動力炉・核燃料開発事業団においてプラント異常時の安全確保に関する研究を行うとともに、燃料の健全性評価等に関する安全研究を行う。さらに、高速増殖炉については、動力炉・核燃料開発事業団等において事故時の炉心挙動等に係る安全研究を行う。

 核燃料施設については、動力炉・核燃料開発事業団において再処理施設、プルトニウム取扱施設、廃棄物処理貯蔵施設に関する安全研究を進める。また、日本原子力研究所において各種安全解析コードの開発等を行うとともに、臨界安全、TRU廃棄物に関する安全研究等に必要な燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)の建設を進める。さらに、金属材料技術研究所においても再処理施設の耐食安全性に関する研究を進める。原子力施設等の確率論的安全性評価に関する研究は、人間のふるまいの信頼性評価手法の開発を含め、一層の拡充を図る。

 放射性物質の輸送に関する安全性については、国立試験研究機関等において、その安全性評価に係る安全研究を推進する。

 さらに、国際協力による安全研究については、ROSA−IV計画を引き続き推進するとともに、燃料挙動に関する試験研究としてのハルデン計画、及びシビアアクシデントに関する試験研究として炉心損傷事故に関する研究計画(SFD計画)並びにOECD/LOFT計画等に引き続き参加する。

A環境放射能安全研究
 放射線医学総合研究所を中心に、公衆の被曝評価に関する調査研究等環境放射能の挙動に関する研究、低レベル放射線による晩発障害、遺伝障害及び内部被曝に関する研究等を充実する。

 特に、プルトニウムの内部被曝に関する研究を一層充実するため、内部被曝実験棟の機器整備を行う。

また、日本原子力研究所において、より広範囲な環境放射能影響を予測するためのシステムの開発を行う他、気象研究所において大気拡散数値モデル等に関する研究を引き続き行う。

B 放射性廃棄物安全研究
 低レベル放射性廃棄物の陸地処分については、日本原子力研究所において、環境安全評価に資するため、環境シミュレーション試験、放射性核種の地表面移行試験等を実施するほか、実サイトに適用しうる総合安全評価モデルの整備を図る。また、海洋処分については、国立試験研究機関等において、海洋学的知見を一層蓄積するための調査研究等を引き続き実施する。

 高レベル放射性廃棄物の地層処分については、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団を軸に、地質調査所等の国立試験研究機関との連携に努めつつ、地層処分に関する安全評価、指針基準等の考え方に係る基本的な調査研究を進めるほか、人工バリアに係る試験研究として、地層処分施設の安全評価手法等に関する研究、ガラス固化体等の安全性及び信頼性の評価に関する研究等を実施する。また、天然バリアに係る試験研究として、処分場周辺の地層の安定性に係る安全性評価に関する研究、天然バリアへの熱的・力学的・水理学的特性の信頼性評価等について研究を進める。さらに、地層処分システムの総合安全性評価手法、システム性能の信頼性評価に関する研究等を進めるとともに、確率論的評価手法の開発に着手する。

 TRU廃棄物の処分については、日本原子力研究所及び動力炉・核燃料開発事業団において、TRU廃棄物の安全性評価手法に関する研究、TRU廃棄物処分システム性能の信頼性評価に関する研究を実施する。
(3)防災対策の強化
 原子力施設の万一の緊急時に備えて、緊急時連絡網、緊急時環境放射能監視体制、緊急医療体制及び防災活動資機材の整備等を一層進める。また、緊急時迅速放射能影響予測システムの整備、緊急技術助言組織の助言の迅速・適確化等のためのシステムの整備、実用発電用原子炉に係る緊急時対応の迅速・適確化に資するためのシステムの整備を進めるとともに、緊急時航空機サーベイシステムの調査、防護対策に関する各種調査の実施、防災訓練の充実、原子力防災に関する専門家等の連絡会の開催等により防災対策の拡充・強化を図る。

(4)放射線障害防止対策の充実
 国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を踏まえ、原子力施設等における従事者の放射線被曝による障害の防止対策及び放射性同位元素等に関する安全規制体制の充実を図る。

(5)環境安全の確保
 ソ連チェルノブイル原子力発電所事故を踏まえ、環境放射能の適確かつ広範な監視体制を整備することとし、放射線監視交付金の交付限度額の引き上げ等の拡充及び環境放射能の水準調査、外国の核実験に関する放射能調査等の拡充を図る。

 また、海洋環境放射能の調査、原子力軍艦の寄港に関する放射能調査等を引き続き行い、環境放射能の監視に万全の措置を講ずる。

 また、原子力利用に係る環境保全に万全を期すため、原子力発電所等の立地に際し、温排水等に係る環境審査を引き続き実施する。

(6)放射性物質輸送の安全確保
 放射性物質の輸送の増大、多様化に対処し、輸送の安全確保を図るため、放射性物質の輸送の安全評価及び緊急時対策のための調査検討を進める。

2.原子力発電の推進

 軽水炉については、信頼性、稼動率の向上、保守点検作業の効率化、作業員の被曝低減化等の観点から、自主技術を基本として技術の高度化を図り、日本型軽水炉を確立するための調査を行うとともに、原子力発電検査技術の開発及び原子力発電施設の補修作業等を行うロボットの開発を行い、民間における原子力発電支援システムの開発の助成を行う。

 また、軽水炉の安全性・信頼性を実証するため、大型再冠水効果実証試験、配管信頼性実証試験、耐震信頼性実証試験、原子力発電施設安全性実証解析等を行う。

 さらに、作業員の被曝低減化のための技術開発を実施するとともに、高機能炉心に関する技術調査、高燃焼度等燃料確証試験をその実用化のため引き続き実施し、その実用化の促進を図るとともに、次世代の軽水炉に適用しうる高度安全システムの調査、実用原子力発電所のヒューマンファクター関連技術開発を実施する。さらに、軽水炉の長寿命化及び稼動率向上のための技術開発、使用済燃料貯蔵対策の調査等を実施する。

 このほか、原子力発電所の廃止の時期に備えて、日本原子力研究所の動力試験炉(JPDR)をモデルとして解体実地試験を行うなど、原子炉解体の技術開発を推進する。また、発電用原子炉の廃止措置に使用される設備について確証試験を行うとともに、原子炉廃止措置に伴って生ずる放射性廃棄物の処理処分方策に係る調査研究を行う。また、原子力発電所の新立地技術として高耐震構造立地技術の確証試験を実施する。

3.核燃料サイクルの確立

(1)ウラン資源の確保
動力炉・核燃料開発事業団による海外ウラン調査探鉱活動を重点的に実施するとともに、民間企業による海外ウラン探鉱開発活動に対する助成を行い、ウラン資源の確保に努める。また、転換の事業化に関する調査を行う。

 また、金属鉱業事業団において行われている海水ウラン回収システムについては、昭和62年度で運転を終了したモデルプラントのシステム開発成果のとりまとめを行う。

(2)濃縮ウランの確保
 遠心分離法によるウラン濃縮の国産化を図るため、動力炉・核燃料開発事業団においてパイロットプラントの運転試験を引き続き行うとともに、原型プラントの建設を終え、本格運転を開始する。

 また、高性能遠心分離機の信頼性試験を進めるとともに、低コスト化及び新素材高性能遠心分離機の開発を含む高性能化に必要な研究開発等を引き続き進める。さらに、ウラン濃縮の事業化に関する調査を行うほか、テイルウランの再転換貯蔵システム技術の確証調査を行うとともに、民間における遠心分離機の製造技術確立及び耐振動衝撃システム開発に対し助成を行う。

 また有望な将来技術として期待されているレーザー法ウラン濃縮の技術開発については、早期に技術的見通しを得るよう、積極的に推進することとする。原子レーザー法に関しては、日本原子力研究所において基礎プロセスの解明、データベースの整備等を行うとともに、民間が中心となって設立された、レーザー濃縮技術研究組合が実施する機器開発に対する助成を行う。分子レーザー法に関しては、理化学研究所において、原理実証試験の成果を踏まえ、分子レーザー法のプロセスの最適化及びCO2レーザーの高度化試験を行うこととする。また、動力炉・核燃料開発事業団においても、理化学研究所の協力を得つつ次段階の工学実証試験に必要な技術開発及びシステム機器の設計等に着手する。さらに、化学法ウラン濃縮技術については、民間企業によるこれまでのシステム開発成果のとりまとめに対し助成を行う。

(3)使用済燃料の再処理及び回収ウランの利用
 再処理技術の実証と確立を図るため、動力炉・核燃料開発事業団の東海再処理施設及びプルトニウム転換施設の操業を行うとともに、第2高放射性固体廃棄物貯蔵庫の建設等所要の施設整備を行う。また、同事業団において再処理の改良技術、工程管理技術等の研究開発を進める。

 民間再処理施設の建設に必要な海外導入技術の国内定着化等を図るため民間事業者の行う技術確証等に対し助成を行う。また、環境安全、保障措置及び高燃焼度燃料の再処理に関する試験研究並びに使用済燃料管理に関する技術開発及び原子力発電所内における貯蔵の技術確証等を行う。また、再処理施設の安全解析コードの整備を進めるとともに、再処理施設の安全性を実証するために、耐食安全性実証試験、換気設備安全性実証試験、臨界安全性実証試験及び再処理施設安全性実証解析等を引き続き実施する。さらに、再処理技術の高度化に関する調査を行う。

 高速増殖炉の使用済燃料再処理技術に関しては、動力炉・核燃料開発事業団において、実然料を用いた実規模相当の試験を行うための施設の設計を行うとともに、所要の研究を進める。

 回収ウランの利用に関しては、技術の確立を図るため、動力炉・核燃料開発事業団においてウラン、プルトニウム混合酸化物燃料の母材としての利用を進めるとともにUF6転換及び再濃縮試験を進める。

(4)放射性廃棄物の処理処分
 低レベル放射性廃棄物の陸地処分については、陸地処分に係る安全性実証試験等を実施するとともに、極低レベル固体廃棄物の合理的処分に係る安全性実証試験を行う。さらに、低レベル放射性廃棄物の陸地処分に関する新型容器、新型固化体等の開発及び放射性廃棄物処分の安全解析コードの整備を進めるとともに、埋設の濃度上限値を上回る低レベル放射性廃棄物に関する処分技術等の開発を行う。また、海洋処分については、関係諸国の懸念を無視して強行はしないとの方針のもとに慎重に対処する。

 さらに、民間が行う処理処分技術開発に対する助成を引き続き行う。また、アルファ廃棄物処理処分対策の調査研究及び低レベル放射性廃棄物再利用技術開発を行うとともに、再利用に係る基準調査に着手する。ウラン廃棄物については、処理技術の確証及び処分方策の調査を行うとともに、動力炉・核燃料開発事業団において処分技術の開発を進める。

 再処理施設から発生する高レベル放射性廃液については、ガラス固化体の閉じ込めに関する安全性実証試験を行うとともに、動力炉・核燃料開発事業団において、ガラス固化処理の技術開発等を進め、ガラス固化技術開発施設の建設を進める。

 高レベル放射性廃棄物の処分については、動力炉・核燃料開発事業団を中核として地層に関する調査を進めるとともに、人工バリア、天然バリア、地層処分システム、サイト特性調査技術、天然バリア及び人工バリアの性能を評価するための類似の自然現象に関する調査研究(ナチュラルアナログ研究)、高レベル放射性廃棄物の群分離・消滅処理等に関する研究開発等を積極的に進める。貯蔵工学センターについては、ガラス固化体貯蔵プラント、深地層試験場等の概念設計等を行う。また、日本原子力研究所においては、処理処分に関する安全性評価に関する研究、日豪協力によるシンロック固化処理の研究等を行う。

 TRU廃棄物の処理処分については、動力炉・核燃料開発事業団及び日本原子力研究所において、固化技術の開発を進めるとともに、天然バリア中における核種移行に関する研究等の処分技術の開発を行う。

 また、海外再処理に伴う返還固化体については、我が国への受入れが円滑に行えるよう、
受入れ・貯蔵システムに関する調査、検査機器の開発、仕様承認に関する調査及び発送前の検査システムの確立のための調査を行う。さらに、放射性廃棄物輸送容器の安全性実証試験を行う。

 以上のほか、核燃料サイクル分野における技術移転の円滑化方策、核燃料サイクル支援基盤技術等の調査を行う。また、放射性物質の輸送に関する調査及び核燃料施設の解体技術に関する調査を行う。

 さらに、動力炉・核燃料開発事業団において、金属燃料等の新型燃料による核燃料サイクルに関する技術についての調査を行う。

4.新型動力炉の開発とプルトニウム利用

(1)高速増殖炉及び新型転換炉の開発
 長期的観点に立った核燃料の有効利用を目指す次代の動力炉である高速増殖炉及び新型転換炉の開発を進める。

 高速実験炉については、運転経験を蓄積するとともに、高速増殖炉用燃料、材料の照射試験を行う。

 高速増殖原型炉については、設計研究、炉物理、機器、燃料・材料、安全性、蒸気発生器等の研究開発を実施するとともに、昭和67年度臨界を目途に建設を進める。

 さらに、高速増殖炉開発全般にわたる基盤的、共通的な研究開発を進めるとともに、大型化のための研究開発を進める。また、同実証炉の大型構造設計に関する技術確証試験を行う。新型転換炉原型炉については、定格運転を継続し、運転経験を蓄積するほか、供用期間中検査装置の開発等の運転に関連する研究開発を進める。同実証炉については、昭和71年度運開を目途に建設・運転の実施主体である電源開発株式会社において、用地取得等を進め、動力炉・核燃料開発事業団においては、プルトニウム燃料の改良、加工に関連する研究開発を行う。また、同実証炉の安全解析コードの整備を進めるとともに、建設、運転に必要な技術確証試験等を行う。

 また、新型動力炉の原型炉については、機器等の寿命信頼性等に関する実証試験を行うとともに安全性の実証解析等を実施する。

(2)プルトニウム燃料加工技術の開発等
 プルトニウム燃料の加工については、動力炉・核燃料開発事業団において、高速増殖炉用燃料製造技術開発施設の運転、新型転換炉用燃料製造技術開発施設の建設等を進めるとともに、プルトニウム燃料加工技術の開発及び照射試験等を行う。

 また、軽水炉用プルトニウム燃料加工について燃料棒の溶接、組立検査技術の確証を行う。さらに、プルトニウム燃料加工事業体制確立のための調査を行う。

 また、プルトニウム航空輸送のための技術開発等を行うとともに、軽水炉及び新型転換炉におけるプルトニウム利用方策に関する調査並びにプルトニウム及びウランの効率的、計画的な利用を促進するため、核燃料サイクル評価システムの確立を図る。

5.先導的プロジェクトの推進

(1)核融合の研究
 人類究極のエネルギー源である核融合動力炉の実現を目指し、その前提となる臨界プラズマ条件を達成するための研究を日本原子力研究所及び国立試験研究機関において、大学との連携を図りつつ推進する。

 日本原子力研究所においては、臨界プラズマ試験装置(JT−60)による加熱実験を行うとともに、高性能化を図るための機器等の整備を行う。

 また、JFT−2M等を用いた非円形断面トーラスプラズマの研究、プラズマ加熱の研究開発、核融合炉心工学、炉工学技術、トリチウム取扱技術の研究開発等を進める。

 電子技術総合研究所においては、逆磁場ピンチ核融合装置(TPE−1RM15)等を用いて高ベータプラズマの研究を進める。金属材料技術研究所及び名古屋工業技術試験所においては、材料の基礎的研究を行う。

 なお、超電導磁石技術については、日本原子力研究所、電子技術総合研究所、金属材料技術研究所等において研究開発を進める。特に、日本原子力研究所において、原型トロイダルコイルの試作を行うとともに、20メガジュール・パルスポロイダルコイルの実験に着手する。日米協力では材料共同研究等を引き続き進めるとともに、ECとの研究協力を行う。また、多国間の核融合研究協力については、OECD/IEAの研究協力プロジェクトとして、米国のTFTR、ECのJETと我が国のJT−60との間で大型トカマク装置の研究協力を行う。さらに、核融合先進国(日、EC、米、ソ)間で検討が進められている国際熱核融合実験炉(ITER)に関しては、共同設計及びこれに必要な研究開発に参加する等積極的に国際協力を推進し、我が国の核融合研究開発の効率的実施に資することとする。

(2)放射線利用の推進
 放射線の医学利用については、放射線医学総合研究所において、がんの治療成績の著しい向上が期待される重粒子線等の医学利用に関する調査研究を実施するとともに、重粒子線がん治療装置の製作、建屋の建設及び所要の用地の取得を推進する。また、短寿命ラジオアイソトープによる画像診断技術の開発を推進する。さらに、国立衛生試験所、国立病院等においても、放射性医薬品に関する研究、がん治療研究等を推進する。

 また、日本原子力研究所において、放射線化学関係の研究、ラジオアイソトープの生産等を実施するとともに、種々のイオン粒子線を重照射することにより、耐放射線極限材料、機能材料、ライフサイエンス等の分野において画期的な新材料の開発、新技術の創出に寄与できる研究として、産・学・官の研究者から強い要望が寄せられている放射線高度利用研究については、前年度に引き続き高エネルギーイオン照射装置の整備を行う他、イオン照射研究棟、中エネルギー重イオン照射装置等の建設、製作に着手するなど積極的に推進する。

 理化学研究所においては、重イオン科学用加速器の前段加速器である線型加速器を用いて、重イオンに関する各種研究を継続するとともに、重イオン科学用加速器の後段加速器であるリング・サイクロトロンの建設を進め、一部実験を行う。

 大型放射光(SOR)施設に関しては、原子力分野においても研究の基盤を形成するものと期待されるとともに、原子力分野におけるこれまでの技術蓄積を活用しうる分野であることから、日本原子力研究所及び理化学研究所においてその研究開発、設計研究等に着手する。

 国立試験研究機関においても、医療、工業、農業等の各分野における放射線利用に関する研究を推進する。

 また、鹿児島県奄美群諸島及び沖縄県における放射線照射によるウリミバエ防除事業に対して必要な助成を行う。

(3)原子力船の研究開発
 原子力船「むつ」については、日本原子力研究所において今後の舶用炉の研究開発に必要不可欠な知見・データを得るため効率的な実験を行うこととし、そのために必要な新定係港の建設等を引き続き推進する。また、将来の舶用炉の開発のための研究を行う。

 さらに、船舶技術研究所においても、原子力船についての基礎的研究等を行う。

(4)高温工学試験研究
 日本原子力研究所において、高温ガス炉技術基盤の確立とその高度化及び高温工学に関する先端的基礎研究を行うための研究施設である高温工学試験研究炉の建設に着手する。また、新たに安全解析コードの整備に着手する。さらに、大型構造機器実証試験ループ(HENDEL)等既存の装置を活用して、国際協力も積極的に展開しつつ、高温ガス炉の要素技術開発を行う。

6.基盤技術開発等の推進

(1)基盤技術開発及び基礎研究の推進
 原子力技術の高度化、多様化に対応することを可能にし、現在の原子力技術体系に大きな波及効果を与えうる革新技術の創出を期待できるような技術である(i)原子力用材料、(ii)原子力施設への知的機能の付与、(iii)原子力用レーザー及び(iv)放射線リスク評価・低減化の4つの分野に重点を置き、日本原子力研究所、動力炉・核燃料開発事業団、理化学研究所、国立試験研究機関等各機関に蓄積されたポテンシャルを活用して研究を分担し、産・学・官の連携の下に基盤技術の開発を推進する。

 (i)については、材料照射損傷の分析・評価技術の開発(金材研)等、(ii)については人間動作シミュレーシヲン技術の開発等(原研)、原子力プラントの自動保守制御システム研究(動燃)及び原子力プラント保全用ロボットの開発(理研)等、(iii)については、波長可変の大出力自由電子レーザー(原研)、原子力用短波長レーザー(理研)の開発等、(iv)については、公衆被曝のリスク評価研究(放医研)等を行う。

 また、基礎的な研究として、汎用研究炉JRR−3の改造、材料試験炉等による各種燃料・材料の照射試験を引き続き実施する。さらに、タンデム型重イオン加速器については、一層の性能向上を図るとともに、核データの取得のための研究等を行う。高転換軽水炉については、炉物理、熱水力の研究を行い、炉の概念について検討を行う。

 また、固有安全炉等新型炉の概念検討及び原子炉の設計システムの高度化を図るための調査検討に着手する。

 超電導技術に関しては、昨今の研究開発の進展を踏まえ、日本原子力研究所において、耐放射線性高温超電導材料の開発等、動力炉・核燃料開発事業団において、原子力分野における超電導技術の利用に関する調査を進める。

 このほか、国立試験研究機関においても、核融合、安全研究、放射線利用等の分野で基礎研究を引き続き実施する。

(2)科学技術者の人材の確保
 原子力関係科学技術者の資質向上のため、その養成訓練については、大学に期待するほか、海外に留学生として派遣する。また、日本原子力研究所のラジオアイソトープ・原子炉研修所及び放射線医学総合研究所において、養成訓練を引き続き実施する。

 さらに、長期的観点から、原子力研究開発の推進に必要な研究者等の人材確保に努める。

7.主体的・能動的国際対応の展開

 原子力分野における我が国の国際貢献への要請に答えるべく、原子力開発利用について核不拡散との両立を図るとともに、安全確保の重要性を認識しつつ、今後主体的・能動的な国際対応を展開していくこととする。

(1)二国間対応
 先進国との協力については、原子炉の安全研究、核融合に関する日米協力のほか、新型動力炉、高温ガス炉の研究開発等の各分野に関し、米国、西ドイツ、フランス等との二国間協力等を進める。また、我が国原子力施設の規制の充実に資するため、米国、フランス、西ドイツ等との規制情報交換を進める。

 基礎研究の分野においても、米国、フランス等と重イオン物理等の研究協力を進める。開発途上国との協力については、原子力関係要人の我が国への招へい及び原子力技術アドバイザーの開発途上国への派遣を引き続き行う。また、開発途上国原子力研究者の我が国研究機関への招へい及び我が国研究者の開発途上国への派遣並びに開発途上国原子力関係管理者の招へい及び研修を拡充・強化するとともに、原子力研究者の派遣、斡旋事業を開始する。また、国際原子力機関(IAEA)技術援助協力計画に積極的に参加し、「原子力科学技術に関する研究開発及び訓練のための地域協力協定」(RCA)に基づくRI・放射線利用分野の協力を引き続き進めていく。

(2)近隣地域対応
 近隣アジア地域の原子力分野における共通課題の解決に当たって本地域の限られた研究開発資源を効果的効率的に活用するとの観点から、各国ごとの特殊事情及びニーズに応じ、その国の研究ポテンシャルから見て最適な分野に重点を置き、近隣アジア諸国の共同利用に供する地域センターの整備構想の調査に着手する。

(3)国際機関対応
 IAEAの保障措置の改善に協力していくとともに、IAEAを中心として行われている原子力国際協力の枠組について国際的検討の場に積極的に参加する。
 また、IAEAを中心として進められている原子力発電所の安全基準作成事業に参加するなど、IAEA、経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)等の国際機関の活動に積極的に貢献するとともに、我が国の原子力活動に対する国際社会の理解の増進を図るため、これら国際機関会合の招致等を行う。

(4)国内環境整備
 我が国の国際対応を円滑に進めていくため、適切な国内環境の整備を進めていくこととし、増大する外国人研究者の受入れに対処するための宿舎の整備、外国人研究者の受入れ制度(リサーチフェロー制度)の創設等を行う。

(5)核不拡散対応の強化
 我が国の核不拡散対応を一層明確かつ主体的なものとして確立するため種々の検討を積極的に進める。

 保障措置については、原子力の平和利用を確保し、核兵器の不拡散に関する条約を履行するため、国内保障措置体制の拡充・強化を図る必要がある。このため、核物質に関する情報処理、試料の分析、査察等の業務を充実・強化するとともに、IAEA等との協力を図りつつ、保障措置の有効性向上のための技術の研究開発を推進する。

 また、民間再処理施設建設の円滑化に資するため、IAEAにおける大型再処理施設保障措置適用性評価に関する検討に対し、必要な支援を行う。

 このほか、最近の国際動向を踏まえ、核物質等の新たな国籍別管理システムの開発を行う。

 核物質防護については、62年の核物質防護条約の発効等物質防護に関する国際的な動向にも留意しつつ、我が国の核物質防護体制を一層強固なものとするため、核物質防護に関する具体的施策の推進を図るほか、動力炉・核燃料開発事業団において核物質防護に関する技術開発を進める等関連調査研究等を行う。

8.立地の促進

 原子力発電をはじめとする原子力の研究開発利用を円滑に推進するためには広く国民の理解と協力を得ることが極めて重要である。

 このため、前述の安全確保対策の強化を図るほか以下の施策を進める。

(1)広報活動等の強化
 国民の原子力に対する正しい認識に資するため、テレビ、出版物等の活用、講演会、各種セミナーの開催、オピニオンリーダーに対する資料送付、原子力広報映画の作成、原子力モニター制度の活用などにより、広報活動を積極的に推進する。

 特に、原子力発電所、核燃料サイクル施設等の立地を円滑に進めるために、地方自治体に対する交付金等により、その立地予定地域等における広報活動を積極的に展開する。さらに原子力発電所、核燃料サイクル施設の立地予定地域の住民及びオピニオンリーダを対象とした原子力講座等の開催、フォーラムの開催、海外有識者による講演会等を行うとともに、地域ごとに講習会等を行うなど地元住民の理解と協力を得るための施策を進める。また、原子力発電所の立地推進に資するため、放射性廃棄物の処理処分の経済性評価を行う。また、研究開発段階原子炉施設及び核燃料サイクル施設の運転管理に関する地元住民の理解の増進のための調査に着手する。

 さらに、電源立地調整官等の機能的活動により原子力発電所の立地に係る地元調整を推進するとともに、原子力発電所の設置県及び核燃料サイクル施設の立地予定地域については、北海道原子力連絡調整官事務所を新設するなど原子力連絡調整官による地元と国との密接な連絡調整を進める。

(2)立地地域の振興方策の充実
 電源三法等を活用し、原子力発電施設等の周辺の地域の振興を図るため、公共用施設の整備、地域の産業振興及び住民、企業等に対する給付金の交付等の施策を引き続き講じることとし、昭和63年度においては、電源立地促進対策交付金の交付対象施設に新たにガラス固化技術開発施設及び燃料サイクル安全工学研究施設(NUCEF)を加える。

U 見積りの概要

 昭和63年度において、以上の施策を進めるために必要な原子力関係経費は、総額約3,698億円(一般会計約1,827億円、電源開発促進対策特別会計約1,872億円)、国庫債務負担限度額約1,275億円(一般会計約455億円、電源開発促進対策特別会計約820億円)と見積られる。

 原子力関係機関別の見積りについては、「III 概算要求総表」に示すとおりであるが、主要な原子力研究開発機関別の見積りの概要を示せば以下のとおりである。

1.日本原子力研究所

 日本原子力研究所の総事業費は約1,076億円であり、これに必要な政府支出金は約980億円(国庫債務負担行為限度額約281億円)である。また必要な人員増は総計52名である。

 このうち原子力施設の工学的安全研究及び環境安全研究に必要な経費は約109億円(国庫債務負担行為限度額約80億円)であり、増員は12名、核融合の研究開発に必要な経費は約237億円(国庫債務負担行為限度額約40億円)であり、増員は11名、高温工学試験研究に必要な経費は約48億円(国庫債務負担行為限度額約61億円)であり、増員は7名、放射線高度化利用研究をはじめとする一般研究等に必要な経費は約304億円(国庫債務負担行為限度額約101億円)であり、増員は20名である。原子力船の研究開発に必要な経費は約74億円であり、増員は2名である。

2.動力炉・核燃料開発事業団

 動力炉・核燃料開発事業団の総事業費約2,192億円であり、これに必要な政府支出金は約1,378億円(一般会計約629億円、電源開発促進対策特別会計約750億円)、国庫債務負担行為限度額約916億円(一般会計約96億円、電源開発促進対策特別会計約820億円)である。また、必要な人員増は、総計61名(一般会計26名、電源開発促進対策特別会計35名)である。

 このうち、高速増殖炉及び新型転換炉の開発に必要な経費は総額約1,235億円であり、これに必要な政府支出金は約918億円(民間拠出金約202億円、国庫債務負担行為限度額約717億円)であり、増員は26名、ウラン濃縮技術開発、探鉱開発等核燃料開発に必要な経費は、総額約324億円であり、これに必要な政府支出金は約190億円(政府保証借入金約90億円、国庫債務負担行為限度額約14億円)であり増員は1名、再処理施設の運転等に必要な経費は総額約633億円であり、これに必要な政府支出金は約271億円(政府保証借入金約250億円、国庫債務負担行為限度額約185億円)であり、増員は34名である。

3.放射線医学総合研究所

 重粒子線等の医学利用、リスク評価に関する生物学的調査、公衆の被曝評価に関する調査等の特別研究の強化推進等に必要な経費は約83億円であり、必要な人員増は1名である。

4.国立試験研究機関

 先端的基盤研究、核融合、安全研究、食品照射等、原子力研究に必要な経費は約19億円である。

5.理化学研究所

 重イオン科学、サイクロトロン等の研究、重イオン科学用加速器の建設、原子力用短波長レーザーの研究、原子力プラント内保全作業ロボットの研究、放射光研究等及び赤外レーザーによるウラン同位体分離濃縮等の原子力研究に必要な経費は約44億円である。

V 概算要求総表

1.昭和63年度原子力関係予算概算要求総表


2.科学技術庁一般会計概算要求総表


3.各省庁(科学技術庁を除く)一般会計概算要求総表


4.電源開発促進対策特別会計原子力関係予算概算要求表



5.原子力関係予算概算要求重要事項別総表






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