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資料

総合エネルギー調査会原子力部会報告書



-原子力発電分野における発展途上国協力のあり方について-

昭和61年3月28日
資源エネルギー庁

  Ⅰ.検討の経緯

 近年、発展途上国においては、原子力発電開発への気運が高まっているが、各国とも人材の不足など様々な困難な問題に直面している。これら諸国から原子力発電を自主技術として定着させ、極めて高い運転実績を示している我が国に対しての協力の期待は、年々高まっている。我が国は、20年余にわたり原子力発電の定着化に努めてきたが、原子力発電を巡る発展途上国の情勢を見れば、これら諸国に対し、積極的に協力を行うべき時期に来ている。

 このような状況を踏まえ、総合エネルギー調査会原子力部会においては、原子力発電国際協力小委員会(委員長:大島恵一東京大学名誉教授)を設置し、昭和60年8月30日以来、今後の原子力発電分野における発展途上国協力の基本方針や具体的進め方について検討を行い、その結果を昭和61年3月10日に同小委員会報告書として、また、昭和61年3月28日に原子力部会報告書としてとりまとめた。

  Ⅱ.報告書の構成

1.原子力発電分野における発展途上国協力の意義
 一般的技術協力、エネルギー政策及び原子力政策の観点から協力の意義を整理した。

2.協力の進め方に関する基本方針
 協力の基本方針として、協力の体制、姿勢、枠組及び相手国について明確にした。

3.原子力発電協力に関する基本的事項の考え方
 原子力発電分野での協力に固有な事項として、核不拡散及び安全問題について、その考え方を明確にした。

4.今後の協力のあり方
 相手国の原子力発電開発の段階に応じた協力の重点を整理するとともに、そのために今後整備あるいは活用すべき協力の手段、制度等を抽出した。また、官民各機関の役割、情報提供の考え方及び費用負担の考え方を明確にした。

  Ⅲ.報告書の概要(別紙)

原子力発電分野における発展途上国協力のあり方




(参考)
1.日本の原子力発電の現状(昭和61年3月28日現在)
 ① 原子炉基数:32基
(営業運転中)うち   ガス炉(GCR):1基
 沸騰水型軽水炉(BWR):16基
 加圧水型軽水炉(PWR):15基

 ② 出力:2,452.1万KW
(昭和59年度末の発電設備容量の13.9%、
昭和59年度の発電電力量>の22.9%)
             * いずれも電気事業用

 ③ 設備利用率(過去5年間)


2.発展途上国から我が国への協力要請(例)
(人材養成、安全管理分野)
(1)韓国 ・人材育成(溶接検査分野等)
・技術基準等の整備
・事故情報の交換
(2)中国 ・我が国で建設中のPWR発電所で起動調整試験時及び試験運転時に実地研修
 (既に民間において研修員受入れを実施)
・運転管理要員、保修員の養成
・安全審査、検査に関する指導


-21世紀への軽水炉技術高度化戦略-

昭和61年3月28日
資源エネルギー庁


  Ⅰ.検討経緯

・昭和58年6月 原子力発電高度化懇談会(座長 向坂正男 国際エネルギー政策フォーラム議長)報告とりまとめ
①技術の高度化、②情報活用の高度化、③人材の確保及び育成、④経済性の向上
・昭和59年2月 総合エネルギー調査会原子力部会(部会長 山下勇(社)経済団体連合会副会長)軽水炉技術高度化小委員会設置を決定
・昭和59年2月 軽水炉技術高度化小委員会(委員長三島良績 東京大学名誉教授)軽水炉技術高度化についての検討を開始
・昭和60年12月 同小委員会 報告とりまとめ
・昭和61年3月 同部会 報告とりまとめ

  Ⅱ.報告書の概要

1.軽水炉技術高度化の背景
(1)軽水炉時代の長期化への対応
(2)社会的経済的要請への対応
 (経済性の向上、ウラン資源の有効利用、地域社会との調和、国土の有効利用)
(3)原子力新技術及び先端技術を取り入れたハイテク化

2.軽水炉技術高度化の推進
(1)軽水炉技術高度化の概要(別紙1)
(2)軽水炉技術高度化の開発目標と技術開発課題(別紙2)

3.開発体制と資金の確保
(1)開発体制
・軽水炉技術高度化の実施は基本的には民間が中心だが、安全確保上重要な技術の開発等については国自らが実施。
・技術開発の計画的推進(軽水炉技術高度化計画)
(2)技術開発資金
・コストベネフィット評価を踏まえた資金の確保(既存型軽水炉技術高度化に約600億円、次世代型軽水炉の開発に1,000億円前後が必要。)
4.国際協力
・既存型軽水炉の技術高度化及び次世代型軽水炉の開発について新型軽水炉の開発と同様に国際的な協調の下に推進

(別紙1)

軽水炉技術高度化の概要


(別紙2)

軽水炉技術高度化の開発目標と技術開発課題



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