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新日豪原子力協力協定の発効について



原子力局調査国際協力課

 新日豪原子力協力協定は、昭和53年8月から3年余にわたる交渉を経て、旧日豪原子力協力協定(昭和47年7月)に代わるものとして、本年3月5日豪州キャンベラにおいて、日本側黒田駐豪大使と豪側ストリート外相との間で署名された。(協定改正交渉の経緯、新協定の内容等については、原子力委員会月報第27巻第3号参照)。

 この新協定は、その後国会での審議を経て、本年7月9日締結について国会の承認が得られた。(国会審議の経過については、(参考1)参照)。

 国会承認後は、さらに、日豪間では新協定の対象となる核物質の初期在庫量の確定及び新協定履行のための細目手続について話合いが進められるとともに、国内では、新協定で新たに規制の対象となる資材を国際規制物資として原子炉等規制法に基づいて規制するために、告示改正の準備が進められた。

 これらの作業がすべて完了した上で、本年8月17日東京外務省において桜内外務大臣とプリムソル駐日豪州大使との間で、新協定を発効させるための書簡が交換され、同日付で新協定が発効するとともに旧協定が終了した。


(参考1)
新日豪原子力協力協定署名から発効までの経過

57年3月5日 閣議決定、署名(キャンベラ)
3月12日 閣議決定、国会提出-衆議院外務委員会へ付託
4月2日 提案理由説明(衆・外務委)
57年4月23日 審議(衆・外務委)
5月12,13日
5月14日 採決(  〃  )
5月15日 衆議院本会議可決-参議院外務委員会へ付託
7月1日 提案理由説明(参・外務委)
7月1日 審議      (  〃  )
7月6日 審議採決   (  〃  )
7月9日 参議院本会議可決

(参考2)
新日豪原子力協力協定の主要な改正点

ⅰ 豪州産核物質に関し規制の対象となる行為として「管轄外移転」の他に新たに「再処理」及び「20%を超える濃縮」が加えられ、このうち、「管轄外移転」及び「再処理」の規制については、IAEA保障措置の適用等の一定の条件の下で、再処理及び管轄外への移転が自由に行い得るとの長期的包括的事前承認方式となった。

ⅱ 協定に基づいて入手した重水等の資材及び核物質の濃縮、再処理又は重水の生産に関する核拡散防止のために特に規制すべき技術情報を新たに管轄外移転の際の事前同意の対象としたこと(従来は、核物質及び設備のみが対象となっていた)。

ⅲ 核物質に対して適切な防護措置をとることとしたこと。

ⅳ いわゆる平和的核爆発を明示的に禁止したこと。

ⅴ 核兵器不拡散条約(NPT)に基づく保障措置協定による保障措置が適用されることを定めたこと。



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