前頁 | 目次 | 次頁

加速器の医学利用に関する検討会報告書


昭和53年5月
科学技術庁原子力局
加速器の医学利用に関する検討会

 1 まえがき

 国民福祉の向上に多大の貢献が期待される加速器の医学利用は、近年の研究開発の進展による利用技術の高度化等により、放射線の利用分野として急速な発展をみつつある分野である。このような加速器医学利用の現状に鑑み、原子力局は昭和52年10月、「加速器の医学利用に関する検討会」を設置し、世界的に進歩の著るしい加速器によるがんの放射線治療及び核医学を中心に、わが国の現況を調査するとともに、長期的展望に立って、その研究開発の今後の進め方について検討を進めてきた。今般、その結果をとりまとめたのでここに報告する。

 我が国における加速器の医学利用については、今後更に多角的な検討が進められ、国としての研究開発計画が確立される必要があるが、その際、本報告がその検討のための基礎資料となれば幸いである。

 2 今後10年間の医学の動向特に癌の診療及び核医学の進展

2.1 癌の罹患率、死亡率及び放射線療法

 1970年代の日本では毎年約20万人が癌に罹患しており、約14万人が癌のために死亡している。将来を予測するには不確定な要素が多いから、予測の精度は高くないが、現在の傾向が続くと仮定すれば、1980年代には癌による死亡が20万人を超え、1990年代には30万人に近づく可能性がある*。癌の種類については、次第に西欧諸国の型に近づく傾向が見られ、胃癌、肝臓癌、子宮頚癌等による死亡が減少するが、他方では肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌等による死亡が増加すると予想される。現在でも癌による死亡の半数以上は原発部位の病巣が治癒しないために死亡している。この傾向は今後も当分の間は変らないと思われる。癌の難治性の原因が転移の発生にあることは確かであるが、上記の数字で見る限り、当面は先ず原発部位の癌を確実に治すことが先決問題である。今後、化学療法、免疫療法の進歩が期待されているが、原発部位の癌の治療に関する限りでは、これらの療法は補助療法であるので、将来も放射線療法が手術とともに局所の治療方法として基本的な手段であることには変りがない。

 社会全般の癌に関する知識が深まり、その結果として癌の治療に対する要求は年々高度になって来ている。社会の要請は単に癌を治すというだけでなく、より良質の治癒、つまりより高い程度の社会復帰を求めるようになっている。この要請に応えるため理想的な癌治療は、できる限り早期に診断された小さい癌をできる限り機能保存的な手段で治すことである。

 放射線療法はこの方向に沿った可能性を有するものであり、癌治療における有用性は、研究開発の成果により飛躍的に増大するものと考えられる。

2.2 癌の放射線療法の進歩と問題点

 1960年代から急速に普及したテレコバルト、ライナック等の高エネルギー放射線治療装置の利用により、癌の治療成績は大幅に改善されたが、最近は成績がやや伸び悩みの傾向にある。また治療成績の改善ことに生存率の向上にともなって、治療後の放射線障害の発生が増加する傾向があり、その防止が重要な問題になりつつある。現在当面している問題として次の諸点が挙げられる。

1) 従来のテレコバルト、ライナックX線等の低LET放射線の照射では効果の挙がらなかった放射線抵抗性の癌や、進行した病期の癌を治療し効果を挙げるためには、より生物学的作用の強い高LET放射線の利用が有望であり、その実用化が期待されている。高LET放射線としては、速中性子、陽子、α粒子、重イオン**π-中間子等がある。

2) 現在の放射線治療ことに外部照射法では病巣以外の部分の被照射線量が多く。これが放射線障害発生の原因となっている。病巣部分のみを選択的に照射できる放射線源の開発とその実用化が希望されている。荷電重粒子とπ-中間子、速中性子補捉療法等がこれに相当する。

3) 癌の治療成績を高め、しかも放射線障害の発生を減らすためには、1)癌病巣の位置を精密に診断すること、2)診断された病巣に正確に放射線を集中することが必要である。人体は生身であり、その組成が複雑で時々刻々変動しているので、精密な治療を実現することが難しかったが、最近のCTを中心とする診断技術の進歩は、病巣の位置診断及び人体の組成の計測を高い精度で行うことを可能としつつある。理想としては、治療の位置で治療用放射線ビームで、診断と治療が一体化して実行されることが望ましい。治療用ビームによる診断は現在のテレコバルト、リニアックによる治療でも、位置定め撮影等の方法により行われているが、将来の粒子線治療では、それぞれの粒子の特長を生かした新しい技術を開発し、導入すべきである。

4) 如何に優れた性能を持つ治療手段であっても、実用装置として病院に設置され、使用されなければ医療として定着せず、癌治療に寄与しない。そのためには治療装置の規模、設置費用、運転及び維持管理等が医療施設として受入れ可能の範囲内でなくてはならない。加速器による医療の施設は当然大型の施設となり、集中的な医療とならざるを得ないが、その際には運営の能率化をはかり、できる限り多くの患者の診療を行い得るよう配慮する必要がある。このためには加速器の安定な運転と、充分な出力の維持が要求される。


* 平山 資料Ⅰ-1
** 重イオンとはAr以下の軽元素(水素及びヘリウムを除く)イオンをいう。

2.3 粒子加速器による癌治療及び研究の現況

 ここでいう粒子加速器は主として陽子以上の質量を持つ荷電粒子の加速器を指しており、これにより発生し利用される放射線の殆ど全部がいわゆる高LET放射線である。

 世界的に見てもまだ粒子加速器による癌治療は研究段階にある。種々の粒子の治療効果を評価するにはまだ情報が不充分である。しかしそれぞれの粒子についてその特長はかなりよく分っており、その特長を生かした医療用加速器の検討が熱心に行われそのあるものは具体化の段階にある。

2.3.1 速中性子線

 高LET放射線の中で最も実用化が早かったのは速中性子である。現在世界の12施設で速中性子線による癌治療が行われている*。その中の9施設はサイクロトロン、2施設はD-Tジェネレータ、1施設はプロトンライナックを使用している。わが国では放射線医学総合研究所及び東京大学医科学研究所において1975年から治療が始められ、1977年末までに計300人以上の患者が治療を受けた。各国共にまだ試験的治療の段階であるため、決定的な評価を下すにはまだ時期尚早ではあるが、次の点については評価がおおむね一致している。

1) 放射線抵抗性癌、進行した病期の癌が速中性子線治療の適応であり、よい治療結果が得られている。

2) 部位によっては低LET放射線と速中性子線の併用(混合ビーム照射)がより結果を挙げている。その理由として、フレキシビリティーの点で優れるライナック、テレコバルト等による照射が総合的には線量分布を改善していることと、低及び高LET放射線の併用がお互いに効果を増強していることが考えられる。将来は更に線量分布の優れる陽子線との併用がより有望と考えられている。

3) 速中性子線治療の難点の一つは正常組織の障害が強いことにある。特に脂肪、類脂質等の水素をより多く含む組織の吸収線量が多く、そのため皮下組織、脳神経組織等に障害が起り易い。このため脳腫瘍の治療には速中性子は不適当とする意見もある**

4) 医療用中性子線治療装置の性能として従来のテレコバルト、ライナックと同等以上のフレキシビリティーと線量分布を確保する必要がある。

 そのためには、回転照射機構、可変絞り装置等を組込み医療機器として設計製作する必要がある。

5) 速中性子線発生装置としては現在の段階ではサイクロトロンが適当である。将来はプロトンライナックの実用化も考えられる。D-Tジェネレータには、出力の低いこと、トリチウム汚染の危険のあること、漏洩線量が多いこと、半影の大きいこと等の欠点があるので、その実用化には疑問点が多い。


* 梅垣、資料Ⅳ-2、3、4、科技庁資料5による。
** Phillips、資料Ⅲ-4

2.3.2 陽子線

 荷電重粒子線として既に医療に用いられているのは陽子線である。陽子には高LET放射線の性質が少いが、その線量分布はシャープなブラッグピークの故に優れており、限局した癌の治療に適している。現在米国のマサチューセッツ総合病院及びソビエト連邦の数施設で陽子線治療が行われており、わが国でも東大原子核研究所で基礎的研究が行われており、1978年度には放射線医学総合研究所において試験的治療が開始される予定である*。スウェーデンのウプサラ大学も近く治療を再開する予定である。米国の報告では眼窩のメラノーマ、前立腺癌、直腸癌等の機能保存手術の困難な部位の癌の治療に応用して優れた成績を挙げている**。陽子線の場合、深部の病巣の線量、線量分布のモニタリングが軽イオンに比べて難しいから、その適応は表層~中層の癌で、線量分布の補正がし易い部位に限られよう。但し、深部病巣でも外科手術により病巣部分を露出させ、直視下に照射すれば線量分布が正確となり、優れた効果を挙げることが予想される。放射線医学総合研究所では陽子線治療室が手術室を兼ねるように作られている。陽子線は診断の目的にも役立つことが分っており、陽子線治療施設では陽子線透過撮像診断も可能となるように設計し、建設されることが望ましい***

 陽子線治療用加速器は、また、速中性子線治療装置を兼ねることができる。今後の医療機器化の方向の一つとして検討されるべきであろう。


* Inada 資料Ⅶ-15による
** Suit 資料Ⅶ-13による
*** Iobias 資料Ⅹ-1及び 秋貞 資料Ⅹ-2による

2.3.3 ヘリウム粒子線

 ヘリウム粒子(α線)は陽子と同様シャープなブラッグピークを示し、陽子よりは高LETであり、既設のシンクロサイクロトロンにより治療に必要なエネルギーまで加速できるのでその治療への利用は比較的早く1955年からローレンスバークレイ研究所で開始された。既に1,000例を超える脳下垂体照射治療の経験があり、その有用性が明らかにされている。1975年から癌治療トライアルが始められている。治療の適応症例として膵臓癌等、腹部の難治の癌が取り上げられている。フランスのサクレー研究所でも研究中で近く治療を開始する予定である。

 陽子及びヘリウム粒子を加速する医療用加速器としてシンクロサイクロトロンが適当とする提案がある。

2.3.4 荷電重粒子線(軽イオン)

 更に重い荷電粒子の治療利用のためには大型の加速器を必要とするため、現在はローレンスバークレイ研究所にあるベバラックが世界で唯一つの利用可能な施設である。同研究所ではC、N、O、Ne、Ar等の粒子の医学利用について研究を進めており、その中のNeについては試験的治療を開始する段階にある。

 軽イオンによる治療は、線量分布の点では陽子あるいはヘリウム粒子とほぼ同じと考えられるが、1)透過診断radiographyの分解能力が優れていること、2)自己放射化autoactivationといわれる現象によりビームの飛程が観測可能であること、3)ブラッグピークの部分のRBEが高いこと、等の点で陽子及びヘリウム粒子より優れている。

 1)のradiographyの精度は粒子が重くなるほどよくなるが、実際にはC粒子以上ではあまり変らない。

 2)のautoactivationとは、C、N、O等のビームを打込むとき、ビームの走向中に原子核反応が起り、11C、13N、15O等のポジトロン放射核種が生成され、これが一次ビームの飛程の近くに停止する現象である。これらの核種から放出されるポジトロン消滅γ線をポジトロンカメラで計測すると、照射範囲及び照射線量を正確に知ることができ、軽イオン治療のモニタリングとしては最良の方法である。また放射性ビームの打ちこみ法は将来治療だけでなく、核医学検査法として大いに発展する可能性がある。

 3)軽イオンの生物学的効果は生物学的効果比RBE及び酸素効果比OERにより評価されているが、一般にブラッグピークの部分の効果が高い。しかし軽イオンの質量が増すとともにブラッグピークだけでなく、入射部位からブラッグピークまでの間の部分-これをプラトーという-でも効果が高くなる。治療の場合には、少しずつ飛程の異なるビームを重ね合わせて、病巣部分が均等な線量で照射されるようにビームを制御する。この場合の病巣をカバーするピークを拡大ピークとよんでいる。拡大ピークの部分の生物学的効果は一般的にブラッグピークそのものの効果よりは低下する。そこで荷電重粒子線(p、α、π-を含む)による治療の際の生物学的効果を比較する目安として、拡大ピーク(4~10㎝の巾)を形成した時の、RBE及びOERのピーク/プラトー比が用いられる。当然のことであるが、RBEのピーク/プラトー比は高く、OERのピーク/プラトー比が低いほど、放射線抵抗性の癌に有利と考えられる。現在はまだこれらの研究が進行中であり、蓄積されたデータはまだ充分ではないが、人体の深部臓器の治療(10㎝の深さ)を想定すると、ピークプラトー比はNeが最も高く、Cがこれに次ぐと推定され、Neより重い粒子の必要性は少いと思われる。

 なお軽イオンの線量分布及び生物学的効果に関与する因子として、フラグメンテイションfragmentation(加速された粒子が原子核反応により、より少い質量の破片に分れることで、autoactivationもその一つである)といわれる現象があり、重い粒子ほど複雑な反応が起るので、その研究を進めることが必要である。

 軽イオン治療には優れた線量分布と高LETの生物効果の両面があるが、どちらかといえば線量分布の利点に重点をおくべきであろう。特にradiographyあるいはautoactivation等の方法により、治療のための診断及びモニタリングができることに利点がある。

 軽イオン治療を実用化するには、加速器の開発だけでなく、ビームの制御技術、計測技術等、なお多くの研究開発を必要としている。軽イオンの場合は荷電当りの粒子質量が大きいので、ビーム偏向のために大きい磁石を必要とし、偏向装置のためのスペースが大きくなる。軽イオン治療の場合にも多門照射が行えることが望ましいので、超電導磁石偏向システムの開発等によりコンパクト化することも必要であろう。

 陽子及び軽イオン治療の利点の一つは、一次線であるため、その出力が大きいことである。人体の内の動いている病巣をシャープな線量分布で、精密に治療するためには出力の大きいことは有利な条件となる。また、出力の大きいことは治療時間を短縮し、治療可能症例数がふえるので、治療のコストを低減し得る可能性がある。しかし出力が高すぎても、治療に危険をともなうことになるので、標準値として、任意の形状の病巣に対し600rad・l/分、15㎝の深さの13.5lの体積の病巣に対して、200rad/分の出力が提案されている。

2.3.5 π-中間子線

 π-中間子は入射部位(プラトー)では低LETの性質を示すが、飛程の終末部(ピーク)ではスター生成により、高LETの線量が集中する性質があり、治療用線源として優れている。π-中間子線による癌治療を実現することを目指して、現在世界の5施設で研究が進められている。その中、ロスアラモス研究所(LAMPF)では陽子ライナックを、スイス原子核研究所(SIN)及びカナダの大学連合研究所(TRIUNF)では陽子サイクロトロンを、スタンフォード大学では電子ライナックを、高エネルギー物理学研究所では陽子シンクロトロンを一次ビーム加速器として使用している。なおロスアロモス研究所では、医療専用π-中間子発生装置として、小型化された陽子ライナック(略称PIGMI計画)の開発研究を行っている*。スタンフォード大学はπ-中間もの収率を高めると共に、多門照射の線量集中効果及び生物学的効果の増強を期待して、60チャネルのスペクトロメータ(所謂SMPG方式)を開発した。SINもSMPG方式を採用し、現在建設中である。日本大学は電子ライナックとSMPGの方式を検討している。

 π-中間子治療の問題点は、二次粒子であるために、大出力が得難いことにある。上記のSMPG方式はこれを克服するために考案された装置であり、身体の中心部の病巣を照射する場合にはビーム収集能率がよく、優れた方式である。しかし偏在した位置の病巣の照射の場合には、SMPGではチャネルの一部分を使用せざるを得ず、その割合に応じて出力が低下する。従ってこのような場合には、大立体角チャネルによる1門照射も必要であり、その開発が望まれる。この場合、π-中間子の運動量分布が連続である故に、チャネルの運動量幅を選択することにより、線量強度(rad/分)を一定に保ちながら、照射野の大きさ(rad・㏄/分)を連続的に変えることが可能という利点がある。

 π-中間子治療装置の出力として、軽イオンのような大出力を望むのは無理であるが、速中性子線治療とほぼ同等の60rad・l/分の出力は標準値として必要であろう。この出力を実用条件として確保するには、SMPG使用を前提として、陽子線では600MeV、60μA、電子線では600MeV、1,000μA程度の一次ビーム強度が必要と推定されている**

 π-中間子治療を実現するためには、高加速エネルギー、大電流の一次ビームを必要とするから、このような条件で安定に稼動する加速器の開発を必要としている。加速エネルギー及び電流の増大にともない、装置の放射化が大きくなるが、この点については国内にも優れた技術的背景があり、漸次解決の方向に向かっている。

 π-中間子治療の場合にも、先に軽イオンの項で述べたように、病巣の大きさと形状に合わせて、そのスターピークを重ね合わせて拡大ピークを形成する。ピークを拡大すれば生物学的効果は低下するが、SMPG方式の場合にはその低下の程度が少く、多門照射による線量集中の効果と相まって優れた線量分布となる。SMPG方式を用いて、種々の形状の病巣に適合する線量分布を形成するには、60チャネルの各々について、そのエネルギー、エネルギー幅、出力等を調整し、また身体の長軸方向についてそれぞれのパラメータを変えられるような高度の線量分布制御システムを開発する必要がある。同様のことが大立体角チャネルにも望まれる。

 π-中間子線治療の場合にも、外部計測により、スター生成部位及び線量をモニタし得る可能性がある。その1)はスター生成にともない放射されるγ線を計測する方法であり、その2)はスター反応により生成されるポジトロン放射核種をポジトロンカメラで観測する方法である。これらの計測方法の感度、ピーク/プラトー比、S/N比等について研究が行われている。

 π-中間子によって人体内に生成する放射性核種の診断利用、ミュオンによる元素分析などの診断利用の可能性がある。この場合には大きいデューティ因子を持つ加速器の採用が望ましい。


* Ⅶ-2
** 資料Ⅶ-2、p.13

2.4 252C€fによる治療

 加速器を使用する治療ではないが、高LET放射線の治療への利用として252Cf及び原子炉を利用する熱中性子捕獲療法がある。

 252Cfは組織内及び腔内照射法として有用で、放射線抵抗性癌の治療によい成績を挙げている。日本では癌研究所及び慶応大学等で研究が進められ、遠隔制御方式腔内照射装置が完成している。

2.5 原子炉を利用する低速中性子捕捉療法

 原子炉を利用する低速中性子捕捉療法は脳腫瘍の治療に有効な方法で、東京原子力産業研究所原子炉(現在廃棄」、武蔵工大原子炉で主に治療が行われてきた。過去10年の我が国での共同研究の成績から、この療法を普及したいという機運が国の内外にもみられている。脳腫瘍以外の癌への応用は研究はされているが実用化にいたっていない。

2.6 加速器によるラジオアイソトープの生産とその診断への利用

 C、N、O等の生物の基本的構成元素のアイソトープには11C、13N、15O等の短寿命ポジトロン放射核種のみが存在し、その計測が難しいためその利用は遅れている。しかし最近サイクロトロンによるこれらの核種の生産と標識化合物の迅速合成法が進歩し、更にポジトロンカメラの技術が進歩したため、急速にその有用性が認識されるようになっている。

 サイクロトロン生産核種の中67Ga、123I、81Rb、81mKr、111In、201Tl等の比較的半減期の長い核種は、RI生産専用サイクロトロンを、メーカー等の生産施設に設置して製造販売されるべきである。11C、13N、15O、18F等の短寿命核種はその輸送が困難であるので、所謂インハウス、サイクロトロンにより自家生産し使用することになる。この目的に適した小型サイクロトロンが世界各国に続々と設置されており、今後その需要が急速に伸びることが予想されている。これらの短寿命核種及び放射性医薬品による核医学検査は特に脳血管、循環器等の疾患の検査に威力を発揮することが期待されている。

2.7 加速器によるradiography診断

 荷電重粒子はその種類とエネルギーにより定まる飛程があり、ごく僅かな組織の厚さの差を検出するには従来のX線よりはるかに有利である。その上に定量性においても優れている。解像力は粒子が重くなる程よくなるが、人体を透過するためには極めて高いエネルギーまで加速する必要があるので、実用上はヘリウムないしC粒子程度が適当と考えられる。

2.8 加速器によるアクチベイションアナリシス

 加速された荷電重粒子又は速中性子、中間子等を検査材料もしくは直接人体に照射してアクチベイションアナリシスを行うことができる。この場合放射化された核種を測定する方法と、照射により発生する特殊X線、μX線等を測定する方法があり、後者は今後更に発展する可能性がある。

 3 実用化が期待される医療用放射線源とその発生装置としての加速器

 前項に加速器医学利用の現況を概説した。診断及び治療のためには、一種類の放射線源で足りるわけではなく、診断、治療の目的方法に応じてそれぞれの線源を使い分け、また、併用するのが望ましい。この意味で現在広く用いられているテレコバルト、電子ライナック等の医療装置は当然のことながら、今後10年間、更にその後も必要な線源である。ただし新しい線源の実用化により、診断及び治療の分担が変るということになる。

 この章では、現在の技術水準に基づいて医療用加速器として開発し得ることを前提として、それぞれの線源及び加速器につき、今後10年間の開発計画の予備的検討を行った。それらを参考資料表5.2に一覧表として掲げた。

3.1 速中性子線治療用加速器

 癌の速中性子線治療が既にある程度の実績を挙げていることから見て、そのコストパーフォーマンスを検討した上で医療専用装置の実用化とその設置に踏み切ってもよいと考えられる。諸般の条件から見て、現時点ではdを30~50MeV、あるいはpを50~70MeV程度に加速し得るサイクロトロンをさし当り整備することが望ましい。将来は陽子線治療と速中性子線治療を兼用し得る加速器が実用化されることが望まれる。速中性子線治療専用であれば、固定エネルギーでよいが、アイソトープ生産用を兼ねる場合は、可変エネルギーでp、d、3He、α粒子が加速し得る方がよい。治療用の速中性子線出力としては、治療位置の空中照射線量率として、最低40rad/分を確保することが望ましい。治療装置のフレキシビリティーが従来のテレコバルト、ライナックと同等以上になるよう機器開発を行うことが必要である。

 速中性子線治療の適応は前項にも述べたように、放射線抵抗性癌ないしは病期の進行した癌であることから、その年間発生数は控えめに見積って現在1万人であろう。その半数が治療可能(地理的事情その他を考慮して)と仮定し、また、1台当り年間500人治療可能と見込むと必要台数は10台となる。この数の速中性子線治療用サイクロトロンが地域がんセンター等の診療施設に適正に配置せられるならば、癌の治療成績向上に大いに寄与するものと期待される。更にその中のあるものは核医学診療用にも利用され、活用されることが望ましい。

3.2 陽子線診断治療用加速器

 2.1に述べたように、現在陽子線の医学利用は既設の加速器を用いて実験的に行われており、まだ最初から医療用を目的として作られた陽子加速器はない。しかし現在でも陽子線治療が比較的表在性の腫瘍の治療に用いられて優れた効果を挙げていることから見て、医療用の陽子線加速器を建設することは有意義である。特に3.2にも述べたように陽子線専用でなく速中性子線治療を兼ねた加速器が医療用に適していると考えられる。陽子線による診断治療研究の経験は次の段階である荷電重粒子線治療の計画に役立つと思われる。

3.3 荷電重粒子線治療診断用加速器

 2.2、2.3.4等で述べたように、荷電重粒子線ことに放射性ビームは、もし実現されれば治療用線源として最適であり、また、その診断利用の将来性も大きい。治療及び診断用として適当な線源として、C、Neが挙げられている。これらの粒子を身体を透過するエネルギーまで加速する加速器としてはシンクロトロンが最適であり、インジェクタとしてはサイクロトロン又はリニアックが使われる。インジェクタ用サイクロトロンを用いて、速中性子線治療、ラジオアイソトープ生産をも兼ねることも可能であろう。

 医療用として建設する場合には、治療室の複数化と垂直及び水平方向できれば多門照射が可能となるようにビームポート、偏向システム等を設計する必要がある。

3.4 π中間子線治療用加速器

 π中間子は原理的には優れた性質を持ち、癌治療に適した線源と思われるが、実用化に当っては、二次粒子であるため、その出力が少いことが最大の問題点である。この問題点を克服するため、2.3.5に述べたように、加速器のみならず、ビームチャネルについても研究開発が必要である。医療専用のπ中間子発生用加速器として、どのような機種が最適であるか、また、その仕様を如何にするかについて、まだ結論を下し得る段階ではない。現在提案あるいは計画されている加速器としては、1)電子ライナック、2)陽子ライナック、3)陽子サイクロトロン、4)陽子シンクトロンがある。この中1)はπ中間子専用、2)、3)はπ中間子と陽子線の両方、4)は陽子、軽イオン、π中間もの兼用として使用される可能性がある。機種の選択については国内の既設施設による研究の他に、国際協力も含めて国外の研究の進展についても充分に情報を収集した上で、慎重に検討すべきであろう。

3.5 医療用アイソトープ生産用加速器

 1.5に述べたように、サイクロトロンによる短寿命アイソトープの生産とその診断利用は現在急速に進展しつつあり、その需要の伸びは治療用加速器のそれを上まわっている。日本国内の事情を考慮すると、次のような加速器の設置が希望される。

(1)大、中型p40~100MeV

 サイクロトロン、大、中型研究施設用に2~3台(主として既設)この場合は多目的共同利用

(2)小型p30~40MeV

 サイクロトロン、RI生産専用として、生産施設(メーカーが主)に設備する。日本を数ブロック(4~5ブロック)に分け、そのセンターに配置し生産されたアイソトープを配分する。

(3)超小型サイクロトロンp~10MeV

 インハウスサイクロトロンとして、大核医学センター、脳血管疾患、心疾患診療センターに配置する。台数として20~30台が見こまれる。

3.6 その他の加速器と医学研究

 フォトンファクトリーを利用する生物物理学的研究、陽子ないしは重イオン加速器を利用するactivation analysis等が期待されるが、これらの目的のために加速器を建設する必要はない。

 radiographyの研究は治療用加速器を用いて行うこととなろうが、診断目的のためにはdutyfactarのよいことが望まれるので、有用性が明らかになった時点では、診断専用加速器の建設も検討すべきであろう。

3.7 医療用原子炉について

 現在武蔵工大及び京大の原子炉が医療用に利用可能であり、東大原子炉も限られた時間の利用が可能である。この治療の対象が主に脳腫瘍であることを考慮すると原子炉の必要台数はさほど多くないであろうが、現状では医療を目的として建設された原子炉はないので,関係者間では医療用仕様を充分考慮した施設を有する原子炉が要望されている。ことに深部の脳腫瘍の治療にはエピサーマル中性子が不可欠であり、このための特殊な原子炉設計が共同研究されつつある。今後このような医療用施設が作られることを希望する。

 4 まとめ

 加速器の建設それ自体が一つの巨大科学であるが、医療用加速器の建設とその有効な利用のためには、従来より以上に広い範囲の専門家から成るプロジェクトチームの編成と、研究診療の体制の確立が必要になろう。

 加速器の医学利用、特に癌の治療については最近数年間の国際協力研究の結果、速中性子線及び陽子線については既に見るべき成果を挙げており、今後の癌対策に取入れるべき方法としての評価が確立されつつある。その他の粒子の医学利用については、まだその評価を行い得る段階ではないが、研究の進歩が急速であることから、10年以内に実用化することも可能と思われる。

 このような現状に鑑み、今後10年間の医学利用を目的とする加速器の開発とその利用計画については、次の3項目に集約して対策を講ずるべきである。

 第1には、サイクロトロンを利用する短寿命放射性同位元素の生産及びその診断利用である。これについては、法規制の問題、病院の受入れ体制の問題、生産された同位元素の供給の問題等、いくつかの解決すべき問題が残されている。

 第2には、速中性子線治療の実用化である。病院内に設置可能なコンパクトな医療用サイクロトロンは既に生産可能の段階にある。また、10年計画の間にはよりコンパクトで安価な陽子線治療兼用の陽子ライナックの実現の見込もある。

 第3には、より優れた診断及び治療効果を期待して、陽子(α)、軽イオン、n-中間子等の粒子線の医療利用の研究を推進することである。しかしながらこれらの粒子線を発生させる加速器はなお巨大で高価格であるので、医療装置としてその実用化をはかるためには、コスト低下、高い信頼度と安定性の確保、コンパクト化、維持管理を容易にすること、医療を集中化して能率をよくし医療コストの低下をはかることなど、多くの困難な問題を解決しなければならない。このためには広い範囲の専門家から成るプロジェクトチームを組織し、総合的な検討を行うべきであるが本来ならばその前段階である医学研究用加速器についても検討が行われるべきである。特にわが国の場合には、本格的に医学研究を行い得る加速器が少く、これが医療用加速器の実現を困難にしていると考えられる。医学研究用としては一つの線源に限ることなく、多数の線源について、研究を行い得ることが望ましい、医学研究用として大電流陽子及び軽イオンシンクロトロンを適当とする提案がある。この方面の研究の進歩は急速であるので、毎年計画の見直しを行うことが必要である。

 わが国においては加速器の建設及び運営を担当する加速器専門家、放射線による癌の診療を担当する放射線科医は数が少いながらも存在するが、両者の橋渡し役というべき医学物理学者が極端に不足している。このことは病院内に医療職(一)として医師以外に専門職種をおいていない現行の医療制度にもその原因がある。とくに大型加速器の医学利用のためには、加速器技術以外に、加速器のコンピュータ化、照射制御システムの開発等に相当の努力を必要とする。従って大型加速器を含む最近の新しい医療技術を病院内に導入するためには医学物理学者、コンピューター専門家及び広く高度の技術者等の人材を養成し、病院内に適正な地位を設けてその参加をはかることが必要不可欠であるので、関係する行政諸機関が積極的に検討されることを期待する。なお、このような人材の育成には、各面における所要の人員の推定と長期的な計画が重要であろう。

 今後の医療用加速器開発のための諸研究は当然国内の既存の加速器を用いて行われるべきではあるが、これだけでは制約が大きいから、医学研究用加速器の建設が望まれる。また、海外においては、既設の大型加速器を利用する研究、特に臨床的研究が既に実施されているので、わが国としては当面可能な限りこれらの諸研究に参加協力し、情報を収集することが今後の計画策定のために必要である。

 5 参考資料

5.1 治療用放射線源の比較

5.2 今後10年間に利用、建設が期待される医学利用加速器(主要なもの)

 6 資料リスト

資料Ⅰ 癌診療の将来予測

Ⅰ-1 疫学研究からみた癌診療の将来平山雄 他(1975)

資料Ⅱ 癌放射線療法の現況と将来

Ⅱ-1 癌診療の高精度化梅垣洋一郎 他(1975)
国立がんセンターの診療統計あり
Ⅱ-2 US-Japan Cooperative Cancer Research Program Summary of Tokyo Conference:Sept.29-30 1977
Ⅱ-3 照射治療装置の種類別、機関別使用台数51年度末科学技術庁資料

資料Ⅲ 将来の癌放射線治療用線源

Ⅲ-1 The next particle after neutrons.
1977日米癌研究協力事業セミナー論文T.Phillips
Ⅲ-2 Future sources of particles fo clinical use.
1977 日米癌研究協力事業セミナー論文H.Grunder
Ⅲ-3 種々の放射線の特性の比較
Ⅲ-4 The biologic and physical properies of Accelerated particles from helium to argon and a comparison to neutron effects.
1977 日米癌研究協力事業センター論文T.Phillips
Ⅲ-5 Radioactive beamsA.Chatterjee and C.Tobias
Ⅲ-6 Heavy particleによる放射線治療の展望坂本澄彦
Ⅲ-7-1 重イオン治療への疑問点梅垣(1977.11.22)
1及びこれに対する回答(1977.12.9)
Ⅲ-7-2 重-5 患者の受ける照射野以外の被曝-稲田
Ⅲ-7-3 重5~6 照射野形成法、スキヤッタリング法とスキャニング法-稲田
Ⅲ-7-4 加速器の放射化とメンテナンスの問題-平尾
Ⅲ-8-1 π-中間子治療への疑問点及びこれに対する回答梅垣(1977.11.22)
Ⅲ-8-3 π-中間子の線量分布の鮮鋭度-重荷電粒子との比較-日大
Ⅲ-8-4 ビームスキャニングの可能性-〃
Ⅲ-8-5 半影と最小照射野-〃
Ⅲ-8-6~12 SMPG方式の線量分布、出力、セイフティファクター必要出力について-日大
Ⅲ-8-13 π-中間子の生物学的効果について-坂本
Ⅲ-8-14 不均一構造に対する補正-稲田
Ⅲ-8-15 π中間子による透過診断能-稲田
Ⅲ-8-16 患者の被曝線量-日大
Ⅲ-8-17 問14、17、18に対する回答
Ⅲ-9 速中性子線治療の展望とPost neutronの見通し秋貞雅祥(1977.11.11)
Ⅲ-10 速中性子線治療用サイクロトロン施設の現況(1977)
Ⅲ-11 治療用放射線源の比較梅垣(1978)

資料Ⅳ 癌診療と加速器

Ⅳ-1 第8回放医研シンポジウム「加速器の医学利用」論文集1976年12月9-10日
Ⅳ-2 特別研究「サイクロトロンの医学利用に関する調査研究」報告集上・下放射線医学総合研究所 1977年3月
Ⅳ-3 がん治療と加速器梅垣洋一郎(1977
Ⅳ-4 高エネルギー粒子線による癌の治療梅垣洋一郎(1977)
Ⅳ-5 海外の医用及び医学・生物学研究サイクロトロンの設置状況科学技術庁資料
Ⅳ-6 将来建設される予定の加速器坂本澄彦(1977.11.11)
Ⅳ-7 RI生産用加速器の将来予測梅垣(1977.11.11)

資料Ⅴ 粒子加速器説明資料

Ⅴ-1 加速器概説山崎敏光、福本眞義
Ⅴ-2 わが国の各種加速器案内文部省学術国際局(1976年9月)
Ⅴ-3 わが国のサイクロトロン設置状況科学技術庁資料
Ⅴ-4 世界の重い元素の加速器設置状況科学技術庁資料

資料Ⅵ サイクロトロン

Ⅵ-1 放医研 医用サイクロトロン要覧
Ⅵ-2 理研リングサイクロトロン建設計画
Ⅵ-3 RI製造用小型サイクロトロン資料日本製鋼所
Ⅵ-4 東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター計画

資料Ⅶ 荷電重粒子(シンクロトロン)

Ⅶ-1 Biological and medical research with accelerated heavy ions at the BEV-ALAC 1974-1977Lawrence Berkeley Laboratory
University of California
April 1977
その概要の紹介
Ⅶ-2 Final report.“Dedicated medical ion accelerator design study” Dec.1977Lawrence Berkeley Laboratory
University of California
Arizona Medical Center
University of Arizona
Ⅶ-2′ その概要の紹介(梅垣 1978.2.3)
Ⅶ-3 医療専用陽子・イオンシンクロトロン案西川哲治、福本眞義
(1978.2.3)
b>Ⅶ-4 Design of future biomedical accelerators
1977 日米癌研究協力事業セミナー論文H.A Grunder
C.W.Leemann
Ⅶ-5 NUMATRON INS-NUMA-7August 1977(赤表紙)
Ⅶ-6 NUMATORON August 1977(白表紙)
Ⅶ-7 重イオン科学の振興伏見康治 1974
Ⅶ-8 放医研シンクロサイクロトロン計画案稲田(1978)
Ⅶ-9 筑波大学 シンクロトロン計画案稲田(1978)
Ⅶ-10 平尾泰男氏よりのコメント(1978.2.10)
Ⅶ-11 稲田哲雄氏よりのコメント(1978.2.10)
Ⅶ-12 小寺正俊氏よりのコメント(1977.12.14
Ⅶ-13 Clinical experience and expectation with Protons and heavy ions
1977 日米癌研究協力事業セミナー論文H.Suit 他
Ⅶ-14 Proposal for design study for a dedicated medical ion accelerator(1974)
Lawrence Berkeley Laboratory
Ⅶ-15 Particles other than neutrons for radiation therapyT.Inada(1977)
1977 日米癌研究協力事業セミナー論文

資料Ⅷ π中間子

Ⅷ-1 π-中間子および関連文献リスト昭和51年度日大総合研究報告
Ⅷ-2 A large acceptance pion channel for Cancer therapyD.Boyd et al(1973)
Ⅷ-3 Initial Performance of the Stanford Medical Pion GeneratorD.Pistenma et al(1977)
Ⅷ-4 SIN Pion Therapy Facility(1977)
Ⅷ-5 Pion Cancer therapy:Positron activity as an indicator of depth-doseM.Taylor et al(1970)
Ⅷ-6 A method for mapping the spatial distribution of stopping π- mesons in tissueJ.Sperinde et al(1970)
Ⅷ-7 Pion stopping region visualization experimentsP.Dean and D.Holm(1971)
Ⅷ-8 π-中間子の医学利用の評価に関する研究結論の要約日本大学(1977)
Ⅷ-9 がん治療におけるπメゾンの基礎的調査に関する研究昭和50年度日本大学総合研究報告
Ⅷ-10 試験研究結果説明書日大
昭和51年度原子力平和利用研究委託費報告
Ⅷ-11 π-中間子による放射線治療の文献調査昭和51年度日本大学総合研究報告
Ⅷ-12 π-中間子による悪性腫瘍の治療昭和51年度 日本大学総合研究報告
Ⅷ-13 パイ中間子による癌治療施設計画日大 昭和52年5月
Ⅷ-14 Project plan of π--meson therapy facility for cancer at Nihon University
1977年 日米癌研究協力事業セミナー論文O.Hara et al(1977
Ⅷ-15 π-中間子の医学利用の評価に関する研究原子力平和利用研究委託費による研究成果報告書 日大(1977)
Ⅷ-16 中間子科学の振興のために山崎敏光(1977)
Ⅷ-17 A Pion Generator for medical application-Proposal for developmentLASL #P-540(1975)

資料Ⅸ 熱中性子捕獲療法(原子炉)

Ⅸ-1 Slow-neutron capture therapyH.Hatanaka(1975)
Ⅸ-2 イヌにおける腫瘍の硼素、中性子捕捉療法に関する研究吉広欣一 他(1977)

資料Ⅹ 診断関係

Ⅹ-1 Heavy ion radiographyC.A.Tobias et al(1977)
Ⅹ-2 プロトンラジオグラフィーの現況秋貞雅祥(1977)

資料XI その他

XI-1 高LET放射線生命科学センター筑波大学(1977)

7 検討会開催実績

第1回 昭和52年10月28日(金)
第2回 昭和52年11月22日(火)
第3回 昭和52年12月9日(金)
第4回 昭和53年1月11日(水)
第5回 昭和53年2月15日(水)
第6回 昭和53年3月15日(水)
第7回 昭和53年4月7日(金)

注)WG、幹事会を除く。


8 検討会構成員
秋貞 雅祥 筑波大学医学専門学群放射線科教授
伊藤 彬 東京大学医学研究所助手
主査 梅垣洋一郎 放射線医学総合研究所臨床研究部長
小寺 正俊 理化学研究所リニアック研究室主任研究員
幹事 坂本 澄彦 東京大学医学部助教授
津屋 旭 癌研究所附属病院放射線科部長
西川 哲治 高エネルギー研究所長
浜田 政彦 国立がんセンター治療部放射線科医長
原 治 日本大学理工学教授
原田吉之助 日本原子力研究所物理部次長
幹事 山崎 敏光 東京大学理学部物理学科教授
大谷 藤郎 厚生省大臣官房科学審議官
手塚 晃 文部省学術国際局審議官
児玉 勝臣 科学技術庁長官官房参事官


前頁 | 目次 | 次頁