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原子力第1船開発基本計画の改訂について


昭和53年3月10日
原子力委員会

日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案は、昭和52年11月、第82回国会において、同法が廃止するものとされる期限を昭和55年11月30日とするよう一部修正して成立した。

 その成立の主旨を体し、原子力第1船開発基本計画(昭和38年7月決定、昭和42年3月改訂、昭和46年5月改訂)を別紙のとおり改訂する。

(なお、本基本計画は、4月4日付をもって、日本原子力船開発事業団法第24条第1項に規定する原子力船の開発に関する基本計画として内閣総理大臣及び運輸大臣によって決定された。)

(別紙)

原子力第1船開発基本計画

(昭和38年7月31日決定
昭和42年3月23日改訂
昭和46年5月20日改訂
昭和53年3月10日改訂)
原子力委員会

 原子力委員会が策定した原子力開発利用長期計画(昭和36年2月決定、昭和42年4月改訂、昭和47年6月改訂)に従い、原子力船の開発を総合的かつ効果的に進めるため、日本原子力船開発事業団を中心として一貫した責任体制のもとに、原子力第1船の開発を行うものとし、資金、人材のみならず、研究開発の面においても広く官民の協力を求め、事業の円滑かつ効率的な推進を図るものとする。

 開発を進めるにあたっての基本方針及び事業の大綱は次のとおりとする。

 Ⅰ 基本方針

(1) 原子力基本法の精神が充分生かされるよう努めるものとする。

(2) 資金、人材の面において関係試験研究機関及び産業界の協力を求め、計画の円滑な推進を図るとともに広く我が国の原子力船に関する技術の向上を図るものとする。

(3) 原子力第1船の設計と建造は、塔載する原子炉も含めて可能なかぎり国内技術によって行うものとする。

(4) 原子力第1船の安全性の確保については慎重に検討し万全を期するものとする。

(5) 関係試験研究機関と密接な連携を保ち、研究開発を効率的に進めるものとする。

 Ⅱ 事業の大綱

(1) 船種及び船型

 原子力第1船は、総屯数約8,000トン、主機出力約10,000馬力、航海速力約16ノットとし、特殊貨物の輸送及び乗組員の養成に利用できるものとする。

(2) 搭載する原子炉の型式

 搭載する原子炉は加圧軽水冷却型とする。

(3) 建造等

 原子力第1船は、遮蔽改修及び安全性総点検を行い、建造をできるだけ早期に完了するものとし、これに並行して陸上附帯施設の整備を行うものとする。

(4) 乗組員の養成訓練

 原子力第1船の円滑な運航を期するため、日本原子力研究所等において乗組員の養成訓練を行うものとする。

(5) 実験航海

 原子力第1船の建造完了後、実験航海を行うものとし、操船技術の習得等乗組員の原子力第1船に対する慣熟を図るとともに、原子力第1船の安全性及び性能を確認し、また、出入港の経験を得ることとする。さらに、信頼性確認、安全基準策定等のためのデータの蓄積を図るとともに、原子炉関連機器の開発、安全性の研究に資するための諸試験を行うものとする。

(6) 開発成果の取りまとめ

 原子力第1船の開発の各段階において得られたデータについて逐次解析評価を行うとともに、その総合的取りまとめを行うものとする。

(7) 実験航海終了後の措置

 実験航海終了後、原子力第1船の内部総点検、機器補修等所要の整備を行うものとする。

 また、実験航海終了後における原子力第1船の運航主体、陸上附帯施設等の利用については、慎重に検討のうえ、別途具体的に措置するものとする。



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